ATEEZ、BE:FIRSTとのコラボが果たした大きな意義 国境を越えたシナジーが繋ぐ音楽シーンの未来
同曲に引き続き2度目のコラボとなるのが、今作に収録される「Royal (ATEEZ X BE:FIRST)」だ。目まぐるしい展開を見せるサウンドの中で、ボーカルが次々に入れ替わり激しいラップを繰り出す。とりわけ二者の掛け合いによって繰り広げられるラップパートは秀逸だ。トラックはダークな雰囲気を醸し出す重厚感のあるトラップ系のビートで、低音の効いた迫力あるサウンドが土台にある。だからこそ、縦横無尽に行き交う彼らのラップ表現が生きている。
ATEEZとBE:FIRSTというトップランカー同士だからこそ、巧みなラップスキルを含め、それぞれの魅力を引き出し合えた今回のコラボ楽曲。高度なテクニックを必要とするラップやボーカルは、リスナーにとって、たとえ言葉の意味が理解できなくともそのスキルの高さそのものは理解できるはずだ。今後もラップやボーカル、ダンスといった表現を通じて、国境を越えたコラボがさまざまな場所で起きるかもしれない。そうなれば、両グループの一連のコラボはその先駆けとして位置づけられるだろう。そうした意味でも大きな意義のあるコラボだったと感じる。
インパクトの強いこれら2曲とともに収録されている3曲目「Forevermore」は永遠を誓う壮大なピアノバラード。流麗なストリングスをはじめとした豊かなアンサンブルを奏でるサウンドと、日本語の響きを重視した温かみのある歌詞が印象的。途中でラップも登場し、緩急のついたボーカル表現によって耳を飽きさせない。そして〈どんな奇跡より〉からはじまる歌い上げるソロ歌唱で、このグループの魅力が非常に多面的であることが伝わる。この伸びのあるエモーショナルかつ美しいボーカルワークによって、このシングルの盛り上がりは最高潮に達するのだ。