ATEEZ、BE:FIRSTとのコラボが果たした大きな意義 国境を越えたシナジーが繋ぐ音楽シーンの未来
韓国の8人組ボーイズグループのATEEZが、10月3日に日本オリジナルシングル『Birthday』をリリースした。出荷枚数40万枚を記録した前作『NOT OKAY』以来約7カ月ぶりとなる今作には、日本のBE:FIRSTとの新たなコラボ曲「Royal (ATEEZ X BE:FIRST)」を含む計3曲が収録。いま最も勢いがあると言っても過言ではないATEEZの最新作に、大きな注目が集まりそうだ。
まず、表題曲「Birthday」がとにかく面白い。癖になるトリッキーなメロディ、迫力あるビート、笛の音など独特のアレンジの施されたサウンド。アメリカのヒップホップシーンを意識したような無駄のない洗練されたトラックは、決して王道とは言えないがそれでも確かな中毒性がある。その中で、“誕生日”とタイトルされているように祝祭感のあるリリックがリズミカルなビートの上で踊るように展開される。独特のトラックと、力強く聴き心地のよいラップが融合したこの曲は、彼らのヒップホップグループとしての側面を非常に強く感じさせる一曲だ。
ATEEZはこのところ日本での存在感が増している。2019年に日本デビューして以来、日本でも精力的に活動してきたATEEZは、今年2月にワールドツアーをさいたまスーパーアリーナにて開催し、2日間で約3万4,000人を動員。さらにロート製薬「ロートUV」テレビCMに「NOT OKAY」が起用されると、5月には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演を果たした。6月にはミニアルバム『GOLDEN HOUR : Part.1』がオリコン週間アルバムランキングにて1位を記録。群雄割拠のK-POPシーンの中で破竹の勢いで人気を拡大している(※1)。
特に印象的だったのが、7月に全世界一斉配信リリースされたBE:FIRSTとのコラボシングル「Hush-Hush」だ。昨年京セラドームにて開催されたダンスイベント『D.U.N.K.』での共演を経て実現したこのコラボ。ラップ表現を軸とした両グループの特長を生かし、スリリングなサウンドの上で両グループのメンバーが激しいラップを披露している。ヒップホップカルチャーではフィーチャリング(客演)という形は一般的だが、こうしたダンスボーカルグループによる対等な関係のコラボレーションという形は珍しく、また国境を越えた交流となるとあまり例がない。そのためこの企画自体も鮮烈だった。