GRAPEVINEの貫禄とbetcover!!の野心が交差した対バンライブ 世代を超えた熱狂的な夜に

『MAGNIFIK GRAPEVINE×betcover!!』レポ

 歌い終えた田中が思い出したように手に取った団扇には忍者の絵が。それをヒラヒラ扇いでみせると亀井のドラムと金戸覚のベースが強力なビートを鳴らして「NINJA POP CITY」へ。7月10日にデジタルリリースされた目下の最新曲だ。タイトルそのままに切れ味のいい演奏と時代を超える歌詞で謎なポップワールドを描き出す。アニメのタイアップにでもなればいいのにと思ってしまうのは私だけではないだろう。ライブではまだあまり演奏していないがストレートな曲だけに演奏は申し分なく、オーディエンスにはすっかり浸透しているようだ。

『MAGNIFIK GRAPEVINE×betcover!!』

『MAGNIFIK GRAPEVINE×betcover!!』

 亀井の短くもタイトなドラムソロから始まった「ねずみ浄土」は程よい緊張感で空気を変えた。抑制の効いた演奏とコーラスを背景に田中のボーカルはフェイクを交えながらソウルフルに響いていく。これも「雀の子」と同様にライブで演奏するうちに新たな解釈をまとった曲になっている。これからも変わり続けていくのだろう。本編最後は「SEX」。シンセとリズムボックスが醸し出す浮遊感が、一言では語れないことを浮き上がらせる。シンセの音を残したまま「どうもありがとう」と田中は手を挙げ、メンバーと共にステージを降りた。

 アンコールに応えて再登場した田中は「どうもありがとう。betcover!!もありがとう。いい夜になりました。わしらだけでちょっとやらせてもらいます」と2ndアルバム『Lifetime』からの「光について」、9thアルバム『Sing』からの「Glare」を演奏。若々しくアグレッシブなbetcover!!と、それに負けず攻めた曲を揃えたGRAPEVINEの熱量高いライブの最後を、こうした曲で落ち着かせてくれるのが嬉しい。新作リリースタイミングではないツアーやライブは思いがけないセットリストで意外な曲を聴けたりするが、今回もまた、そうしたライブの一つになった。次はどんなライブで彼らと会えるだろう。

■MAGNIFIK GRAPEVINE×betcover!!@EX THEATER ROPPONGI
<セットリスト>
betcover!!
M01.翔け夜の匂い草
M02.バーチャルセックス
M03.狐
M04.鉄に生まれたら
M05.母船
M06.イカと蛸のサンバ
M07.不滅の国
M08.火祭りの踊り
M09.炎天の日
M10.あいどる
M11.メキシカンパパ
M12.フラメンコ
M13.鏡

GRAPEVINE
M01.Alright
M02.EVIL EYE
M03.HESO
M04.Scarlet A
M05.アマテラス
M06.雀の子
M07.実はもう熟れ
M08.NINJA POP CITY
M09.ねずみ浄土
M10.SEX
En.Glare
En.光について

■関連リンク
GRAPEVINE 公式サイト:https://www.grapevineonline.jp/
betcover!! 公式サイト: https://www.instagram.com/betcover_official

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