夢限大みゅーたいぷ、七海うらら、廻花、SZNO……アバターとリアル両軸の展開も増加、バーチャルアーティストの新潮流

SZNOら次元を超えるアーティスト

 さらに本形式で活動するバーチャルアーティストとして、直近でも大きな注目を集める存在にはSZNO(スズノ)も挙げられる。2024年8月にデビューシングル「xx」をリリースしたばかりの新進気鋭アーティストである彼女。その正体は現状大半が謎に包まれている一方で、楽曲「xx」は洒脱なサウンドやSZNO本人の透明感ある歌唱が話題を呼び、投稿からわずか1カ月で楽曲PVはYouTube 90万回再生を突破。新人バーチャルアーティストとしてはやや異例の勢いで、その人気を拡散し始めている。

SZNO「xx」 (Official Music Video)

 そのプロフィールビジュアルこそ二次元の姿である一方、注目を集める上記PVでは1人の実在する少女が登場する。未だ数少ない本人情報からそれらのファクトを拾うと、本稿でここまで触れたような「二次元と三次元の側面両方を押し出したアーティスト」という実像がおぼろげながらも予測できるだろうか。

 重ねて彼女の注目すべき点は、YouTube公式アカウントに投稿された複数の「story動画」の存在だ。全映像が1分半~2分という短い尺ながら、そこではボイスドラマ形式で楽曲にまつわる物語が展開される。そのストーリーもまた、彼女の正体を知る上で大きな手掛かりとなるに違いない。

 さらに公式にクレジットされている、「SZNOを構築するスタッフ陣」も注目ポイントとなる。世界観・キャラクター設定の原案を担当したのは、過去に「カゲロウプロジェクト」シリーズでも一大旋風を巻き起こしたボカロP・じん(自然の敵p)。キャラクターデザインはこれまで自身も所属するKAMITSUBAKI STUDIO所属のバーチャルアーティスト達や、アプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』などのビジュアルも手掛けた、イラストレーター・りたおが担当。その他にも脚本:森地夏美、楽曲提供:中居廉、映像ディレクター:荒木悟、音楽ディレクター:タノウエマモルといった、各界の錚々たるクリエイターが彼女のバックにいることが現状すでに明らかとなっている。

 単なる“次元を超えて活動するバーチャルアーティスト”という肩書きには収まりそうにない、謎多き新星・SZNO。そんな彼女の2ndシングル『flag』が、9月27日にリリースされた。軽快なサウンドが印象的なデビュー曲から一転、タイトかつ重厚感ある音像が聴く者の意識を掴む今作。楽曲に準じてYouTubeで投稿される物語でも、今回は一体彼女のどんな側面が描かれるのか。その点も興味深い一作だ。

 二次元のアバターと生身の姿。そのどちらもをシーン/活動によって使い分ける彼女たちは、言わば新時代のバーチャルアーティスト像を体現する存在とも言える。

 過渡期を迎えるシーンを今後切り開いて行くのは、きっと前例のない道を今まさに突き進む、彼女らのような挑戦意欲溢れるアーティストたちなのかもしれない。

SZNO「flag」ジャケット写真
「flag」

■リリース情報
2ndデジタルシングル「flag」
2024年9月27日(金)配信リリース
各種配信サイト:https://lnk.to/LZC-2920
作詞:中居廉
作曲:中居廉、side
編曲:side

■SZNOメインスタッフクレジット
・世界観/キャラクター原案協力:じん
・キャラクターデザイン:りたお(PHASE STUDIO)
・脚本:森地夏美
・音楽:中居廉
・音楽ディレクター:タノウエマモル(ハートカンパニー)
・映像ディレクター:荒木悟(Hifumi,inc.)
・音楽制作:ランティス
・企画/プロデュース:SZNO project(バンダイナムコミュージックライブ、ミュージックレイン)
(C)SZNO project

■関連リンク
・YouTube:https://www.youtube.com/@szno_xx
・X(旧Twitter):https://x.com/szno_xx
・TikTok:https://www.tiktok.com/@szno_xx
・Official Site:https://lantis.jp/szno/

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