連載『lit!』第119回:Giga×TeddyLoid×Reol、はるまきごはん、夏代孝明ら手掛けた『プロセカ』各ユニット曲最新5選
いまやVOCALOIDシーンを語る上で欠かせない一大コンテンツである、スマートフォン向けゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)。シーン再興の一端を確かに担ってきた本アプリゲームが、今月9月末でローンチから4周年を迎える。
魅力的なキャラクターたちや、既存の人気ボカロ曲が遊べるリズムゲームの要素のみならず、一定のペースで人気ボカロPによるアプリ書き下ろし楽曲が配信される点も、大勢のユーザーを楽しませてきたポイントだ。
そこで今回は周年に際し、本アプリで各ユニットに書き下ろされた最新曲5曲をピックアップ。それぞれのユニットの持つムードと、多彩なボカロPのカラーが掛け合わさり起こる化学反応もまた、大勢のリスナーが注目する理由のひとつでもあるのだろう。
Leo/need × MEIKO「すれすれ」
作詞・作曲:すこっぷ
ユニット・Leo/needのアプリイベント「Parallel Harmonies」に際し提供された楽曲「すれすれ」。制作を手掛けたのは「指切り」「アイロニ」「クライヤ」などを代表作とし、ボカロ黎明期の2008年から現在に至るまで長く活動を続けるすこっぷだ。
デビュー曲の制作を行う中でのすれ違いと和解を経て、その絆をより強固なものとしたLeo/needの面々。内省的な心情を反映した歌詞と楽曲全体のシックな雰囲気に、大人びたMEIKOの声は相性抜群だ。バンドの煌びやかなサウンドのイメージはそのままに、普段に比べてややミドルなテンポ感が印象的なナンバーへと仕上がっている。
9月末の周年というアニバーサリーなタイミングが近づく中、次回の新曲もすでに葵木ゴウ提供作との発表があったLeo/need。今作と併せてそちらにも期待を寄せたい。
25時、ナイトコードで。 × 鏡音リン「エンパープル」
作詞・作曲:はるまきごはん
母親との確執を抱え、精神的に摩耗する朝比奈まふゆが、父親の介入によって自己開示の一歩を踏み出すストーリーを描いたアプリイベント「灯を手繰りよせて」。本イベントに寄せて、ユニット・25時、ナイトコードで。への書き下ろし楽曲を手掛けたのは、キタニタツヤとの共作「月光」に続き二度目の楽曲提供となるはるまきごはんだ。
イントロこそパーカッシブなラテン調のサウンドが印象的なものの、全体を通して大人びた湿度を伴う雰囲気が、25時、ナイトコードで。の持つ独自性ともしっかりマッチングした今作。取り繕った仮初の自我と、心の奥底にしまったままの本心。そのバランスに葛藤するまふゆをはじめとしたユニットの面々の心情を、混じり合う色になぞらえて文字通り色彩豊かに表現した1曲となっている。
Vivid BAD SQUAD × 初音ミク「ULTRA C」
作詞:Reol 作曲:Giga & TeddyLoid
Vivid BAD SQUADが長年の悲願として掲げていた目標への到達を描いたアプリイベント「OVER RAD SQUAD!!」。ユニットの記念碑ともなる今エピソードの書き下ろし曲提供で、Giga×TeddyLoid×Reolというシーンの一時代を築いた夢のゴールデンタッグが約5年半ぶりに実現。ユニットと制作陣、双方の縁も深く、そこに初音ミクも加わって、これ以上ない最強の布陣が揃ったことも大きな話題を呼んでいた。
提供勢の十八番とも呼べる攻撃力の高いEDMサウンドに乗るのは、冷静さを残しつつも夢を掴んだユニットの熱の高さをそのままに閉じ込めた力強いリリックだ。Vivid BAD SQUADのこれまでの歩みのみならず、これからの未来も予感させる爆発力に満ちた本作。この先もユニットを代表する1曲として、末永く大勢に愛されるナンバーとなるに違いない。