A.B.C-Z 戸塚祥太、新体制初のアルバムに自信 何者かを問い続ける先に見出す“らしさ”

戸塚祥太、A.B.C-Z新作への自信

 A.B.C-Zが、8月21日に8thアルバム『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』をリリースした。14thシングル『君じゃなきゃだめなんだ』にて新体制でのスタートを切った彼ら。その際に意識されていた“数々の先輩グループが取り組んできたサウンドの踏襲”や“レトロ感”といったポイントが今作にも反映されており、アルバム冒頭を飾る2曲のリードトラック「Jigsaw」「君の隣で目覚めたい」を聴けば、今のA.B.C-Zのモードがはっきりと伝わるだろう。全編を通してA.B.C-Zというグループのニュースタンダードが確立された一作に仕上がっている。

 リアルサウンドでは、前回の橋本良亮に続き、今回は戸塚祥太に単独インタビュー。ソロ曲も含めたアルバム収録曲に関する話題はもちろん、4人体制となったメンバー同士の関係性、カルチャー好きとしても知られる戸塚の近況など幅広く話を聞いた。(編集部)

ライブで見えた新体制のA.B.C-Z

――約4年ぶりとなるオリジナルアルバム『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』は新体制になって初のアルバムですが、4人になってメンバーに変化は見られましたか?

戸塚祥太(以下、戸塚):みんな、いい意味で自分らしくなっていってるかな。とにかくみんなが楽しそうに、健やかに、充実しているのが一番ですね。

――14thシングル『君じゃなきゃだめなんだ』リリース時のインタビューで、橋本良亮さんが「戸塚さんから4人でご飯食べながら今後の話をしようとメールが来た。今までこんなことを言う人じゃなかったので驚いた」と言っていました(※1)。なぜ集合をかけたのでしょう。

戸塚:4人での初ライブとなる『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』(以下、『WE ARE!』 )前だったし、メンバーだけで話した方がいいなと思ったんです。もちろん、スタッフさん含めた話し合いはしていたけど、メンバーだけというのはなかったから、「最近どう?」くらい気軽な気持ちでいいと思って。結局実現はしなかったけど、自分の中では実際にライブをして埋まった気がしています。もともと「飯行く?」なんて誘い合うグループでもないのに、らしくないことをしちゃいました(笑)。4人で食事をするにはもう、YouTubeを回すとか、仕事にするしかないな。

――4人になって、メンバーとの関係値は変わりましたか。

戸塚:全然変わってはいないですね、僕の中では。

――改めてメンバー各人をどう見ているのか教えてください。

戸塚:はっしー(橋本良亮)は王子様だし、それをやりきる人。ずっとこの世界で戦い続けて、キラキラしていられるってすごいと思います。

――ちなみに橋本さんは、戸塚さんを「ギターばかり弾いてるロッカー」とおっしゃっていました。

戸塚:合ってます! ギター男になりたいので、俺(笑)。

――五関(晃一)さんはどうでしょう。

戸塚:五関さんは、一番面白い。飄々としていて、素敵ですよね。そして、すべてを悟っているんですよ。僕の大好きなNirvanaは、単語として和訳すると“涅槃=悟りの境地”なのですが、僕の場合「どうしたらNirvanaになれるんだろう」と煩悩に縛られちゃって、五関さんの境地にぜんぜん行けない(笑)。振付ができるというのも、頭の中で立体的に組み立てられるということだからすごいと思います。

――塚田(僚一)さんは。

戸塚:塚田さんは、今、すごく充実していますよね。塚☆リカ、全力で応援しています。『SASUKE』やボディビルもだけど、やりたいことをやって、そのすべてで成功体験を積んでいるのがカッコいいですよね。

――では、自分はどうですか。

戸塚:う~ん、永遠にわからない。「何者なんだろう」とこれからも問い続けるんだろうな。ついにゴッホが生きていた年齢を超えてしまったし、どうしよう……。

――The Rolling Stonesは80代でも現役だし、まだまだ先は長いですよ!

戸塚:そうですよね。デヴィッド・ボウイを最終設定にしていたけど、キース・リチャーズがいたか!

――グループの中での自分の立ち位置については、どのように受け止めているのですか。

戸塚:あえて決めないようにしている……かも。好きなように使っていい駒、何も書いていないカードみたいに、状況に応じてどう使ってもらってもいい感じでいたいんですよね。自分で何かを作り出したい欲があるタイプではありますが、A.B.C-Zに関しては、任されたものを全力でやるのが自分の仕事だと思っているから、変な欲がない方がスムーズにできると思っていて。そこから吸収できることも多いですしね。

「Jigsaw」「君の隣で目覚めたい」……今のA.B.C-Zにしか歌えない曲たち

A.B.C-Z
A.B.C-Z最新アーティスト写真

――では、アルバムのお話をじっくりうかがっていきましょう。『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』という、タイトルからサブタイトルまでがまず気になります。

戸塚:もともとは4人の“Four”を考えていたのですが、手に取ってくれるファンのみなさんのためにとか、そちらに行くよ、という意味を込めた“For”の方がカッコいいんじゃないかと。さらに「もう1個フックが欲しいね」という意見が出て、この長いサブタイトルが付きました。個人的には、漢字が入るアルバムタイトルを推していたので、その意見も反映されたサブタイトルなのかなと思っていたりします。長いフレーズ、目を引きますよね。

――“輝く君と踊りたい”というだけあって、ダンストラックばかりで。

戸塚:そうなんですよ。EDMの曲もあって新鮮です。

――これからのA.B.C-Zのサウンドについて、メンバーと話し合ったりしたのでしょうか。

戸塚:『君じゃなきゃだめなんだ』を制作していた時点で、五関さんも橋本さんも塚田さんも、「先輩方のやってきたサウンドを踏襲したい」という話はしていました。そのミッションをしっかり果たせているんじゃないかな。

A.B.C-Z「君じゃなきゃだめなんだ」 Music Video

――しっかり継承されていると思います。実は新体制になったことでトレンドっぽい曲ばかりになってしまっていたら寂しいなと思っていたんです。でも、安心して聴けました。

戸塚:後半の「宇宙旅行」「拝啓 今日を共に生きる貴方へ」「I-MI-JI」「怪奇な美少女」あたりは特にね。僕たちにしか歌えない曲かもしれない。「怪奇な美少女」なんてタイトルからして気になるしなぁ(笑)。写真も、めちゃくちゃおしゃれじゃないですか?

――確かに! 4人になって、制作上の変化はありましたか。

戸塚:僕たちに力を貸してくれているアーティストさんが作ってくださった作品を全力で表現させていただくだけです。

――あまり変わりなく?

戸塚:そこは、“変わりゆく時代の中で”ってことなのかな……変わっていくしかない部分はどうしてもありますよね。その中で自分は、一つひとつを受け止めながら、喰らいながら、噛み砕きながらやっているイメージです。昨日もライブの立ち位置を確認していて「そっか、いないよな」と(河合郁人の脱退を)実感したけど、それもプラスに変えて、そう感じる自分も許していいと思っています。変化はネガティブなことではないですからね。

――リードトラックが冒頭の2曲ということですが、1曲目の「Jigsaw」はイントロからインパクトがありますね。

戸塚:攻めてますよね。電源オンのイメージ。「Jigsaw」で目覚めると、強制的にスイッチが入りそう。明日から“朝「Jigsaw」”やっちゃおうかな(笑)。

――「Jigsaw」は、MVではなくダンスクリップを制作したんですね。

戸塚:はい。全員同じ振り、全く同じ衣装で、サングラスをバチっとかけて。くすっとするシュールな世界観を真面目に演じきっています。ちょっとだけカウントが違ったりする脳トレみたいな振りが難しかったですね。1人で踊るカットは、誰もノーミスでいけてないんじゃないかな。僕も後半ボロボロでした。これをノーミスで踊れるのは、Travis Japanしかいないと思う(笑)。

――そして2曲目がメインとなる「君の隣で目覚めたい」です。4人体制初シングル曲「君じゃなきゃだめなんだ」から今作のサブタイトル「変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。」、そしてリードトラックの一つが「君の隣で目覚めたい」と、新生A.B.C-Zは“君”がキーワードに?

戸塚:いえいえ、“君”は偶然なんですよ。最初は別の曲がリード曲候補だったですけど、「君の隣で目覚めたい」は、歌詞が出来上がってきたら曲にバチッとハマってひっくり返りました。時代性を感じるけど、2024年的じゃない感じもする曲。僕は、歌詞が付く前の曲を聴いたときに橋本くんが歌っているのがイメージできて、「この曲、いいぞ!」とメモしていた佳作ですね。歌詞が付いて、さらに良くなりました。

――「君の隣で目覚めたい」は、MVが制作されました。

戸塚:「君じゃなきゃだめなんだ」は『ザ・ベストテン』風だったけど、「君の隣で目覚めたい」はトレンディドラマ風です。女性とバーで飲んでいたり、偶然ぶつかって手と手が触れあってドキッ……みたいな(笑)。

――戸塚さんはどういうシチュエーションなのでしょう。

戸塚:僕は、“「硝子の少年」担当”とでも言いますか(笑)。雨の中の電話ボックスで涙を流す様子をガラス越しに撮られるという……ソロはイメージカットくらいかと思っていたら、けっこうガチなお芝居を求められて。そんな心づもりもなかったし、「トレンディドラマだからオーバーに」と言われて、涙のスイッチがなかなか入らなくて……。いや~、頑張りました。頭の中に江頭2:50さんが作詞してくださったA.B.C-Zの「頑張れ、友よ!」を再生させながら涙を出しました。本物の涙なので、ご注目ください(笑)。

――ちなみに、目覚めはいいですか?

戸塚:悪くないけど、ギリギリに起きるので、いつも追い詰められてますね。目覚ましをパンと止めて、忍者みたいにスライドしながらベッドから出る。今朝も、忍者スタイルでした。誰も見ていないのに、ちょっと見られている意識があって「カッコよくしなきゃ」と思っているかも(笑)。

A.B.C-Z / 君の隣で目覚めたい (YouTube Edit)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる