スキマスイッチの応援歌はなぜアスリートに支持される? 五輪選手も鼓舞した「全力少年」「逆転トリガー」の魅力

スキマスイッチ、応援歌の魅力

 8月11日に幕を閉じた『パリ2024オリンピック』。閉幕式にはフランスのロックバンド・Phoenix、AIR(エール)が登場。さらに次回の開催国・アメリカからRed Hot Chili Peppers、ビリー・アイリッシュ、スヌープ・ドッグなどが参加し、音楽ファンからも大きな注目を集めた。

 オリンピック期間中も、各放送局のテーマソングが話題に。その一つが、パリ五輪テレ東アスリート応援ソングに起用されたスキマスイッチの「逆転トリガー」(ニューアルバム『A museMentally』収録)。「これぞスキマスイッチ!」と快哉を叫びたくなる応援歌だ。

 これまでにもスポーツ関連のタイアップ曲を数多く手がけ、リスナーやアスリートの背中を押してきたスキマスイッチ。ここでは彼らの楽曲とスポーツ、アスリートとの関わりについて紐解いてみたい。

 スキマスイッチとスポーツの関係において、最初に取り上げるべきはやはり「全力少年」だろう。

スキマスイッチ - 「全力少年」Music Video : SUKIMASWITCH / ZENRYOKU SHOUNEN Music Video

 2005年4月に5thシングルとしてリリースされた「全力少年」は、スキマスイッチのキャリアを代表する楽曲だ。爽やかさと力強さを合わせ持ったメロディ、心地よい高揚感を伴ったバンドサウンド、そして、“純粋に目標に向かって突き進んでいた頃を思い出そう”というメッセージをたたえた歌詞が響き合い、多くのリスナー(そしてアスリート)を応援してきた。特に〈積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って〉という歌詞は、2000年代J-POPを代表する名フレーズ。2022年には、Spotifyの「今年もっとも再生された00年代の曲」1位を獲得するなど、時代を超えて支持されている。

 「全力少年」は、新井貴浩(広島東洋カープ)、小笠原道大(中日ドラゴンズ)をはじめ、プロ野球選手の登場曲に選ばれるなど、スポーツとの親和性も高い。7月5日、パリ五輪に向けた日本選手団の壮行会でスキマスイッチは、「全力少年」を生パフォーマンス。歌詞に絡めて「世界を開くのは私だ」と宣言した藤波レスリング女子53キロ級の藤波朱理(日本体育大学)はご存じの通り、見事に金メダルを獲得した。

 その他にも「スフィアの羽根」(『第88回全国高等学校野球選手権大会』テーマソング)、「夏のコスモナウト」(2014年『全国高等学校総合体育大会』公式応援ソング)、「ハナツ」(『第95回全国高校ラグビー大会』大会テーマソング)、「up!!!!!!」(ボートレース2022年CMシリーズ『アイ アム ア ボートレーサー』CMソング)、「ガラナ」(映画『ラフ ROUGH』主題歌)、「Ah Yeah!!」(アニメ『ハイキュー!!』第2期オープニングテーマ)など、スポーツ系とのタイアップ曲を数多く担当。さらに〈いっそ違ったベクトルへ飛ぶんだ〉と聴く者を鼓舞する「ユリーカ」、勝負が決まる瞬間をスリリングに描いた「ゴールデンタイムラバー」、そして少年の頃に体験した胸の鼓動をテーマにした「SL9」なども、強い支持を得ているパワーソングだ。

 オーディエンス、アスリートの背中を押し、モチベーションを上げる力を持った楽曲を数多く送り出してきたスキマスイッチ。「逆転トリガー」がパリ五輪関連の楽曲という役目を果たしたのは、いわば必然だったと言っていいだろう。

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