BTS JIMIN「Who」が世界規模で愛される理由とは? 作品に滲む成長と努力を惜しまない姿勢を紐解く
BTSのJIMINが、また新たな記録を樹立した。7月19日(日本発売は7月20日)にリリースした2ndソロアルバム『MUSE』。そのタイトル曲である「Who」が、音楽プラットフォーム・Spotifyで1億ストリームを達成したのだ。
7月23日にはSpotify「デイリー・トップ・ソング・グローバル」チャートで1位を獲得し、歴代K-POPソロ歌手のソロ曲として首位最長記録を更新。7月28日には日本のSpotify「デイリー・トップ・ソング」チャートでも1位に輝き、K-POPソロアーティストによるソロ曲史上最高ストリーミングを記録。その他、50カ国以上の国々でチャートにランクインし、世界的なヒットとなっている。
1から学び直したボーカルへの真摯な姿勢
本楽曲はギターの力強いカッティング音で始まるのだが、「Who」のイントロを聴いた瞬間、個人的に「!」と声にならない衝撃を覚えた。それは紛れもなくJIMINの歌声なのだが、どこかこれまでと違った雰囲気を感じたからだ。
7月19日にYouTubeにて公開されたMVを観ると、ハンガリーの映画スタジオに設営された街のセットはどこか懐かしさを感じる風景で、一昔前のビデオで撮影されたかのようなザラリとした質感の映像に仕上がっている。そんな楽曲の世界観に合わせて声色を変えているのかと思ったが、どうやらそんな単純なことではないらしい。
「ボーカルを1から学び直したの?」「はい」ーーこれはJIMINが、まさにMV撮影のためにハンガリーへ発つ前日に収録されたという、RMのYouTubeコンテンツ「交換アルバム MMM (Mini & Moni Music) - JIMIN」(以下、「MMM」)での一幕だ。
JIMINは1stアルバム『FACE』の活動を通じて「僕自身を知った」「(自分自身と)向き合いました」と話していた。それは「クレンジングした?」と笑顔でたずねたRMに、「クレンジングだけでよかったのに、皮膚まで剥いてしまいました」と返すほど。
『FACE』を発表し、グループの1人として立つステージとは全く違う感覚を味わったというJIMIN。実際、歌番組の生歌歌唱について厳しい声が上がったときもあった。対してJIMINは、グローバルファンプラットフォーム Weverse配信で「足りないところがあった」と真正面から反省の言葉を発信していたことも。
「MMM」では「このままだと僕という人間の成長はないだろうなと思った」と振り返り、喉に負担がかかっている今の歌い方を修正し、安定感のあるライブができる歌唱法へと変えることにしたそう。まるで床を工事するように基礎から固め直したと話し、「Who」をレコーディングしたときには、これまでの歌い方と新たな歌い方の中間を目指したのだと続けた。
「一番人間味のある人」RMが語ったJIMINが愛される理由
考えてみれば、BTSとしてのキャリアは10年を数えるが、ソロアーティストとしては歩みだしたばかりなのだ。BTSのメンバーがその豊かな才能を発揮しているから、当たり前のようにソロとしての活躍も見届けてきた。だが、どんなにスキルがある人でも、これまでと環境が変われば思うように力を発揮できないこともある。
思い描いていた自分になれない歯がゆさを抱いたのは、他でもないJIMIN本人だったのではないだろうか。同時に、そうして一つひとつしっかり課題を受け止めて、成長していくのがJIMINという人であることを思い出した。
練習生時代には「練習の虫」と呼ばれていたこともあったJIMIN。BTSとして脚光を浴びるようになっても、うまくできなかったときにはちゃんと落ち込み、次に何ができるかを考えて実行してきた。
そんなJIMINを長年見つめてきたRMが、改めて「JIMINさんが愛らしい理由は、自分自身を保つ強い面を持ちながらも、自分の欠点や弱い面も併せ持っている一番人間味のある人だと思います」と語っていたのが印象的だった。
さらにRMは、JIMINに向かって「昔、僕たちが『'피 땀 눈물 (Blood Sweat & Tears)』ですごく人気が出だしたころ。あの頃のJIMINさんのパワーを忘れないでほしいんだ」と話しかける。その言葉にJIMINも「僕のカラーをはっきりと出した時期だった」と手応えを感じていたことを思い出したようだ。その上で「また成長するために向き合う時がきたんです」とも。