BTS JIMIN、自分自身との約束を掲げた1曲がバイラル好調 親密なサウンドの中で光る豊かなボーカル表現
Spotifyの「Daily Viral Songs (Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの3月8日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:B2S, Koala「真的没喝多」
2位:JIMIN「Promise」
3位:由薫「星月夜」
4位:De La Soul「The Magic Number」
5位:XAN「SKI MASK」
6位:新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」
7位:BSS「Fighting (feat. Lee Young Ji)」
8位:PinkPantheress & Ice Spice「Boy's a liar Pt. 2」
9位:indigo la End「名前は片想い」
10位:BOYS PLANET「Here I Am」
3月第2週のSpotifyウィークリーバイラルチャートを制したのは、B2SとKoalaの「真的没喝多」。TikTokでひそかにバズり始めている「真的没喝多」は、日本ではあまり聞き慣れない中国語のラップ楽曲ということもあり、中国語特有の発音の響きをフックに「歌ってみた動画」が多く投稿されている。とはいえ、中国語のラップであるだけでなく、Eminemを彷彿とさせる高速マシンガンラップの「真的没喝多」を簡単に歌ってみることはできない。そこで派生動画として、カタカナで歌詞を解説する動画やテンポをスローダウンした動画も投稿されるなど、みんなで難しい早口言葉に挑戦しているような独特な一体感が生まれている。このように楽曲にある種のゲーム性を持たせ引用投稿が引用投稿を呼ぶような構造は、なんともTikTokらしいバズり方といえよう。
今週のバイラルチャートでラップを話題に上げたのであれば、無視することができないのは、De La Soul「The Magic Number」のチャートインだ。De La Soulは、1989年にデビューしたニューヨーク・ロングアイランドのラップグループ。2023年、このタイミングで彼らの楽曲がランクインした要因は、満を持して解禁されたサブスク配信にある。彼らの偉大さをひと言で語ることは難しいが、最も大きな功績はDe La Soul登場までのマッチョイズム的なヒップホップ観に、開かれた多様性を与えたことであろう。今週ランクインしている彼らの代表的な楽曲「The Magic Number」は、数え歌を下敷きにカラフルなサンプリングを用いた楽曲で、これまでのヒップホップにはあまり見られなかった気の抜けたナードで虚勢を張らない雰囲気。このようなDe La Soulのニュースクールなスタイルは、以降のヒップホップ作品に多大なる影響を与え続けている。
そして、今週のSpotifyウィークリーバイラルチャートからさらに注目したいのは、2位のJIMIN「Promise」。もはや説明不要のK-POPグループ BTSのメンバー JIMINのソロ楽曲だ。現在活動休止中のBTSだが、各メンバーのソロ活動が徐々に活発化してきている。最近であれば、BTSではラップを担当するJ-HOPEのソロシングル「on the street (with J. Cole)」の発表は衝撃的で、USヒップホップの若きレジェンド J. Coleを客演に招く大胆さは、ヒップホップヘッズにも大きな驚きを与えた。また、BTSではリードラッパーを務めるSUGAのソロ初となるワールドツアー開催の話題も聞こえてきており、日本公演の決定もARMY(BTSファンの総称)を沸かせている。