BTS JIMIN、1stソロアルバム『FACE』リリース 心の深部に迫る歌詞と多彩なサウンドから見える楽曲制作力

 BTSのJIMINが3月24日、1stソロアルバム『FACE』をリリースした。同アルバムは、発売日に世界で100万枚のセールスを達成。タイトル曲「Like Crazy」は、25日午前9時までにアメリカ、カナダ、イギリスなど世界111カ国・地域のiTunesトップソングチャートで1位を獲得するなど、アルバムリリース直後から数々の記録を打ち立てている。(※1)

 全5曲(隠しトラック、「Like Crazy (English Version)」は除く)が収録された同アルバムは、JIMINの変幻自在な歌声を堪能できるのはもちろんのこと、多彩なサウンドと自身の心境を巧みに織り交ぜた歌詞から、彼のソングライティングスキルの高さを改めて実感できる作品となっている。今回、そんなJIMINのソロアルバム『FACE』について、彼が各所で語った言葉にも触れながら、その魅力を深掘りしていきたいと思う。

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 制作におよそ10カ月の期間を要したという、今回のアルバム。制作チームにはBTSのメンバーが信頼を寄せる、グループのチーフプロデューサー・Pdoggも参加した。アルバムタイトル『FACE』は、「自分自身と向き合う」という意味を込めて名づけられたもの。楽曲制作の過程では、合宿のような形をとりながら、プロデューサーらと何時間もの話し合いを重ねてJIMINの心の深部まで深掘りしたのだという。

 そのように作られたアルバムについて、JIMINは「1stトラックから順序通り聴いていただくと、僕たちが会えなかった間、僕が何を考えていたのか。メンタルの揺らぎも、そこからどう克服していったのかも、感情の変化が手に取るようにわかると思います」と語っている(※2)。実際、全曲を歌詞とともに聴いてみると、その変化を彼の類まれなソングライティングのスキルとともに感じ取ることができる。

Jimin ‘FACE’ Playlist l 지민 'FACE' 플레이리스트 - BTS (방탄소년단)

 例えば、1曲目の「Face-off」では、電子オルガンの可愛らしいイントロから始まったかと思いきや、すぐにトラップソウルを取り入れたミステリアスなメロディへと移行。〈지금 내 모습을 봐 살아 머저리같이 사람을 믿는 건 지독한 악몽의 시작인 걸(今の僕の姿を見て 生きてる 馬鹿みたいに)〉と、コロナ禍で無力さを感じたことを暗に示すような歌詞や、〈사람을 믿는 건 지독한 악몽의 시작인 걸(人を信じることは あまりにひどい悪夢の始まり)〉と人間関係に悩む姿を率直に描いた歌詞が、JIMINのクリアに響く声で歌われ、アルバムの冒頭からリスナーをグッと惹きつける。

 2曲目「Interlude : Dive」は、さまざまなサウンドをコラージュした歌詞のない楽曲だ。ゆったりとしたサウンドときらめく光のような効果音の中で、人の息遣いやコンサートでの歓声の音が響いた後、ドアの開閉音とゴソゴソとした音が流れ、水を汲んで飲み干す音で締めくくられている。言葉で想いを訴えかけるのではなく、印象的なサウンドを集めることで、ひとつの物語を生み出した本楽曲。そこに描かれているのは、努力の末に世界的なスターへと昇りつめたJIMINの姿と、一方でひとたび舞台を降りれば1人の人として生活している彼のギャップであるように感じられる。歌ではない形で楽曲の意図を考察させる、彼のセンスの高さを実感できる一曲となっている。

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