YOASOBI、藤井 風、BUMP OF CHICKEN、あいみょん、ME:I、XG……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

　毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はYOASOBI「舞台に立って」、藤井 風「Feelin’ Go(o)d」、BUMP OF CHICKEN「strawberry」、あいみょん「ざらめ」、ME:I「Hi-Five」、XG「SOMETHING AIN'T RIGHT」の6作品をピックアップした。（編集部）

YOASOBI「舞台に立って」

　「NHKスポーツテーマ2024」の書き下ろし新曲。制作にあたっては3名の漫画家に作品を依頼し、仕上がった漫画をもとに江坂純が小説を執筆、それらを原作小説として楽曲が生まれているという、ややこしい手続きを経た一曲ではある。ただ、ギター、ベース、ドラムで構成されるサウンドは意外なほどストレート。青春系ロックバンドのスタンダードのようでもある。こういう曲調では特にikuraのリズムの的確さが際立つ。その瞬間の感情が出てきやすいのがロックサウンドの特徴だが、彼女はどれだけ熱い歌詞も、どれだけ悔しさの滲む言葉であっても、ジャストなタイムの歌唱で応えていくのだ。これもYOASOBIブランド。（石井）

藤井 風「Feelin’ Go(o)d」

　心地よい余韻を残すキック、しなやかさと奥深さを兼ね備えたベースライン、幾重にも重ねられたカラフルなシンセの音色。藤井 風の新曲「Feelin’ Go(o)d」は、彼自身の奔放なクリエイティビティが発揮された楽曲だ。一つひとつの音色やフレーズが本当にチャーミングで、どの音にフォーカスするかによって楽曲の印象はかなり異なるはず。そう、リスナーそれぞれの解釈を楽しめる自由度の高さもこの曲の魅力であり、それは〈ついに自由へと化したみたい〉というラインにもつながっているとも思う。誰もが好きなように享受でき、いつの間にかあたたかい気持ちに包まれていることに気づく、極上のポップチューンと言えるだろう。浮遊感をたたえたトラックの中で、ゆったりとリラックスした旋律を描くボーカルもとことん楽しい。（森）

BUMP OF CHICKEN「strawberry」

　ドラマ『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）主題歌となる新曲。ドラマはハートフルラブコメディだが、こちらは柔らかなミドルテンポのラブソング。歌を主軸に始まり、あたたかいエレクトリックピアノの音色やギターの単音がゆっくりと重なり、そこに控えめなリズムとベースが寄り添っていく。隙間を活かしたアレンジ、ビブラートをあまりかけることなく、一語一句を切るように歌う藤原基央（Vo/Gt）の唱法も、全体にさらりとした風通しのよさを与えている。ドラマティックな余韻をあえて避けた印象もあって、音を入れるタイミング以上に、音を切りあげるタイミングに気を遣っているのでは。いかにも彼らの王道の曲ではないが、簡単には真似できない大人の思索を感じる。（石井）