連載『lit!』第111回:STU48、清 竜人25、ファントムシータ……令和のコンセプチュアルなアイドルグループ
ファントムシータ「おともだち」
女性ソロアーティストでは初となる国立競技場でのワンマンライブを成功させ、本格的な海外進出を目論む歌い手・Adoがプロデュースを手がけた新時代の5人組アイドルグループ・ファントムシータ。デビュー間もないタイミングで日本武道館での1stワンマンライブ開催が発表され、反響を呼んだのも記憶に新しいが、“レトロホラー”をコンセプトに始動した彼女たちが本稿執筆時点で発表済みなのは「おともだち」の1曲のみ。パイプオルガンやアコーディオンで奏でられるレクイエムのような装いに、喉奥から強く発せられるAdo譲りの表情豊かな歌声、MVでコックリさんに興じる5人は(オーディション募集要項より「顔出しのアイドル」ではあるようだが)はっきりとは顔出ししていないこともあり、想像力を掻き立てられる。レトロホラー、とりわけ日本のそれを体感できる旋律感の楽曲はチャラン・ポ・ランタンの小春によるもので、Ado自身が「日本アイドル」としてプロデュースしていく意欲を見せているのも納得の仕上がりになっている。
7月14日より開催中の「Ado JAPAN TOUR 2024 『モナ・リザの横顔』」全公演にオープニングアクトとして出演するファントムシータ。ぜひこのタイミングで目撃しておきたいものだ。
YOLOZ『record of life』
アイドル×ロックサウンドの融合を図るライブアイドルの中からは、YOLOZの1stフルアルバムをプッシュしておきたい。多種多様なカルチャーが混ざりあったライブ空間“neo tokyo”をコンセプトとして掲げ活動してきたuijinのありぃがプロデュースするOn the treat Super Seasonが昨年8月に活動終了し、今年に入ってからYOLOZへと名前を変えて再始動。改名後イベントで一度だけライブを観たことがあるが、モッシュやリフトからのクラウドサーフが続出する光景はパンクバンドの熱狂ぶりに匹敵し、声が嗄れるほどにコールを飛ばしていたフロアの様子が忘れられない。
ライブアイドルシーンを象徴するような強力なライブアンセム「DIVE in LIVE」(映像の上昇コード進行のSEですでにブチ上がれる)、否応にもテンション爆上がり必死の「VS」、雲ひとつない青空の下で崖っぷちの心情を歌い上げるMVが印象的な「ONLY」。どの楽曲も鋭く切迫感のあるリリックと、それぞれのキャラクターを反映した四者四様のパフォーマンスで思いきり鼓舞してくれる。YouTubeにアップロードされているライブ映像でピンときた方は、ぜひライブハウスに足を運んでみてほしい。
FANCYLABO「Sugar Sugar」
これまで数々のコンピレーションアルバムやコラボレーション企画を打ち出してきた韓国の音楽プロデューサー/DJ・Night Tempoの呼びかけにより、元Maison book girlの矢川 葵、元AKB48/NMB48の市川美織を迎えた3人組レトロポップユニット。Night Tempoは、八神純子「みずいろの雨」、Wink「淋しい熱帯魚」など昭和ポップスを現代版にアップデートした『昭和グルーヴ』シリーズや、竹内まりや「プラスティック・ラブ」のリエディットにより、80年代~90年代のシティポップ、渋谷系と呼ばれたサウンドが近年国内外でリバイバルヒットを見せている現象の立役者のひとりと言える。3人はその名のとおり“お洒落研究所”をコンセプトとして活動しているが、矢川と市川は以前のグループに所属していた頃とは異なる大人びた表情を見せ、昭和のアイドルを彷彿とさせる衣装にドレスアップした姿が見られるのも楽しみのひとつ。新たに配信リリースされた「Sugar Sugar」、ブラウン管の画面を鮮やかに彩る映像美と、あどけなさの残る甘い歌声がクセになるMVは実に趣深い。
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