DOBERMAN INFINITYが『1st SONG』で改めて伝えたいこと 10年の歩みの中で見つめる“これから”

DOBERMAN INFINITY、10年周年のその先へ

「1st SONG」に続く「ラストフォーエバー」で描く“最後の夏”

――続く「ラストフォーエバー」は?

KAZUKI:当初「1st SONG」になる予定だったデモのイントロをループさせたのが、この曲のビートです。その方がきっとエモくなると感じて。

P-CHO:BACHLOGICも同じようなアイデアを持っていたようですね。

KAZUKI:その上でフワッと歌ってみたのが〈これが最後の夏〉というフレーズでした。みんなもこれに「なんかいいね」と言ってくれて。そこからテーマが決まっていきました。

――皆さんのバースが4小節しかないのも夏の儚さを感じさせました。

KUBO-C:なるほど。もちろん計算通りです(笑)。

P-CHO:フックとトップラインが決まってから、繰り返す回数やバースなどの構成を想定するんですよ。その結果、この曲はサイズ感的にこの尺がベストかなと。

SWAY:色々な場面に当てはまった方がいいと思ったので、統一したテーマは正直あまり決めていません。固有名詞も特定の場所も出てきません。わざとフォーカスをぼかして、聴く人の“最後の夏”に引っかかってくれたら嬉しいですね。

GS:もともと「この夏を最大に楽しもう」という曲にしようと考えていたんです。とはいえ、夏は何度も巡ってきますから“最後の夏”という感覚になりづらくて。そこをどう考えるかは、ディスカッションを重ねていきました。

――なるほど。

SWAY:それにしても、これを聴いて「DIって解散するのか?」と思った人がいると思うんですよね。

P-CHO:そう捉える人もいそう。

KAZUKI:1カ月だけ解散してたみたいな(笑)。

SWAY:それで注目度をあげて……しませんと。

GS:まあ「1st SONG」に繋がるという意図もあるんですけどね。

それぞれが「1st SONG」に込めた10年の想い

――では、その「1st SONG」の制作はいかがでした?

P-CHO:タイトルはSWAYが出してくれたんですよ。

SWAY:やっぱり「ラストフォーエバー」があったのは大きい。「まるで最後みたいな曲ができちゃった」という感覚だったので「いやいや、これからっしょ」という曲があったらコントラストになると思ったんです。

――フック部分はヒップホップクルーらしく、全員でユニゾンしていますね。

GS:THEヒップホップな作りですね。

P-CHO:「KAZUKIのボーカルだけで表現するのではなく、ラップサビにしよう」とは話していました。それからSWAYが提案してくれたアイデアをみんなでブラッシュアップして今の形になりました。

SWAY:この曲が一番サクッと終わった気がします。

――EPの各曲におけるフックの提示方法が違う点は、DIの強みだなと改めて思いました。ではそれぞれのバースについてはいかがでしょう?

KAZUKI:いつもは主題やスローガンのようなものを、LINEで共有することが多いです。でもこの曲については「とりあえず、それぞれが思う10周年に向かう気持ちだけにしよう」と。

SWAY:僕は10周目の「1st SONG」と未来を見つめた内容なのですが、リリックを書く時の自分の心情を16小節に入れた感覚ですね。これまでを振り返ると新鮮なものを求めたり、手癖が出たりはありつつ、当時の自分だから出せたラップばかりだったんですよ。〈Go and go〉の部分は最初の楽曲「Infinity」とかけてます。照れくさくはありましたけど、やはりあの曲からスタートしていますからね。

P-CHO:あれは「入れたな」と思った。

SWAY:それからマーク・ハントが出てくるのも僕の年代っぽいですよね。何度も音楽にコテンパンにされている自分がいるので、彼くらいのハートを持たないとやっていられません(笑)。

――なるほど。他の皆さんはいかがですか?

GS:僕は音楽人生を歌いました。DOBERMAN INC時代も含めたら25年ほど音楽をやり続けていて、まだまだ個人としては腑に落ちてない部分もある。何が正解で、どうなれば納得できるのかを考えてきた結果、音楽を続けられていること、DOBERMAN INFINITYでいえば10年やってきたことが自分にとっての解答だったかなと。最近気付きました。初心を新たな気持ちで歌ってます。

KUBO-C:10年と「この先も行くぞ」という気持ちを軸にしたのが自分のバースでした。〈日の丸〉には武道館にもう一度立つビジョンも込めてますが、それだけでなく世界を見ているという意志もある。

P-CHO:武道館については僕も〈玉ねぎ〉で匂わせました。公演の1年前に母が亡くなり晴れ舞台を見せることはできませんでしたが、父親は来てくれたんですね。その景色をよく覚えています。あの時の気持ちは、メンバーがいなかったら乗り越えられなかったかもしれない。「おかげで強くいられる」というリアルな気持ちが僕のリリックになっています。その点でたくさんの夢を叶えたと同時に、失ったものもある10年でした。

――最後にマイクを握ったKAZUKIさんは?

KAZUKI:普段トリで歌うことは少ないのですが、この曲は自分から「最後に行きたいです」と言いました。なぜかそういうモードでしたね。描いたシーンはアーティストとしての日常。「相変わらず歌詞が出てこない。ようやく朝方にアイデアが降ってきて、急いでレコーディングしなきゃ」みたいな生活を10年やり続けて、それを今も楽しめているんですよ。

 過去にすがるわけではありませんが、当時は「武道館やアリーナなんて遠い夢だよ」と考えることもあったんです。でも僕らはやってきた。それを経て「自分たちにはできる」と改めて言いたくて。それをリリックに落とし込みました。

――LAや南国に行く話題も出てきますね。

KAZUKI:よくメンバーで「みんなでどこか旅行したいね」と話すんですよ。どでかい夢を叶えて、南国でアフターパーティしてると先行して書いておくことでドキュメンタリーとかで追ってもらえたら嬉しいです(笑)。オチに使った〈無限大〉も迷いましたが、この曲なら言っちゃおうかと。そういう未来に歩むことを“仕向ける”バースですね。

――ありがとうございます。今後の10周年を記念した活動については?

P-CHO:コロナ禍で開催できていなかった主催イベント『D.island 2024』 の開催も発表できましたし、『ThanX "THE REVIVAL"』もあるし、更なる“盤”も発表できたらと思ってます。

――盤とは今回リリースされる『1st SONG』のこと?

SWAY:いえ盤ですよ。“盤”。

P-CHO:(笑)。ようやく10周年イヤーが走り出しました。今までで一番盛り上げて、応援してる皆さんに感謝をいっぱい伝えたい。そして明るい未来を目指せるような節目にできたら。これからもよろしくお願いします。

■リリース情報

DOBERMAN INFINITY10周年記念シングル『1st SONG』
2024年6月26日(水) 発売
◾️通常盤(CD ONLY)
1,320円(税込)
◾️初回生産限定盤(CD+DVD)
6,930円(税込)
※スリーブケース(プラスチック仕様_付き
◾️10周年記念盤(2CD) 
3,300円(税込)
※スリーブケース付き
予約はこちら:https://ldh.lnk.to/0626PKG

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