GLAY、ベルーナドームで堂々飾った30周年のキックオフ 1999年と現在をつなぐ記念碑的な『GLAY EXPO』に
GLAYが6月8日・9日、デビュー30周年のキックオフ公演『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025』を埼玉・ベルーナドームで開催した。
この公演に際して、メジャーデビュー以降に行われた全ツアーと全単独公演から100公演を対象としたファン投票を実施。最も多くの票を獲得したライブ『MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL』(1999年7月31日千葉・幕張メッセ駐車場)をリバイバルさせた。1999年に開催された同公演でGLAYは、約20万人の観客を動員。彼らの最初の金字塔であり、日本の音楽史上に残るライブとして知られている。
今回のリバイバルライブでTERU(Vo)、TAKURO(Gt)、HISASHI(Gt)、JIRO(Ba)は、さらに進化したバンドサウンドとステージングを披露。1999年と2024年をつなぐ記念碑的なライブを体現してみせた。本稿では、9日公演の模様をレポートする。
17時ちょうどにライブはスタート。アメリカ西部を想起させる大自然と壮大な宇宙をモチーフにしたオープニング映像、漫画家・尾田栄一郎が手がけた30周年のキービジュアルがステージのスクリーンに映し出される。アリーナの中央に置かれたバルーンが割れ、円形ステージが出現。メンバー4人が姿を見せると、ドーム全体から大きな歓声が沸き起こった。オープニングを飾ったのは「HAPPY SWING」。さらに「泣いても笑ってもたった2日間のライブのファイナルです! 俺はもう感動してるぜ!」(TERU)という言葉から「口唇」「グロリアス」とヒットチューンを連発。超キャッチーなサビのフレーズ、ロックバンドとしての鋭さを共存させた楽曲はまったく色褪せることなく、会場を埋め尽くしたオーディエンス(親子連れや20代の観客も多い)とともに新たな感動を生み出していた。
「今日はすごく不快な日(湿気が多い曇り空)だけど、俺の気持ちは最高だ!」(JIRO)というシャウトから、JIROがメインボーカルを務める「SHUTTER SPEEDSのテーマ」。「More than Love」でメンバー4人がメインステージに移動するのも、99年のライブと同じ演出。この後の「サバイバル」「生きてく強さ」「Yes,Summerdays」という流れも当然同じなのだが、ここで記しておきたいのは、“ステージから4人が発していたのは単なるノスタルジーだけではなかった”ということだ。25年前と同じセットリストにも関わらず、さらに深みを増したアンサンブル、メンバー全員のプレイヤビリティの向上によって、現在進行形のGLAYが立ち上がる。それこそがこのライブの最大の醍醐味であり、彼らがファン投票によるリバイバル公演を決めた意図なのだと思う。
「(99年のライブは)デビュー5年目、メンバーは全員20代。あのときの思いをより強く表現できるバンドになって、たくましくなって帰ってきました。あの場所にもしいたのであれば、今のGLAYと比べてもらって。もしあのときいなかったのなら、新鮮な思いで聴いてもらって。もし生まれていないのであれば! それはそれで新しいバンドとして楽しんで」(TAKURO)という言葉からも、今のGLAYに対する矜持を感じることができた。
この後は、シティポップテイストのアニメーションに乗せて届けられたGLAY流のサマーソング「summer FM」、モノクロの映像とともに憂いのある音像を描き出した「INNOCENCE」、シンフォニックメタルの要素を感じさせる「Freeze My Love」。メジャーデビューから5年目の時点でこれほどまでに幅広い音楽性を獲得していたのかと、改めて実感させられた。そしてライブ中盤におけるハイライトは「HOWEVER」。言わずと知れた代表曲だが、歌に込められた思いを丁寧に際立たせる演奏、そして、ひとつ一つの言葉に強いエモーションを込めたTERUのボーカルは本当に感動的だった。この日のTERUは最初から最後まで素晴らしいコンディションをキープ。昨年のツアー『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-』でも感じたが、音域、声量、声のスタミナを含め、今現在もTERUは、ボーカリストとして向上しつづけている。
「LADY CLOSE」「TWO BELL SILENCE」とインディーズ1stアルバム『灰とダイヤモンド』(1994年)の収録曲をデビュー当初のライブ映像とともに披露した後は(HISASHIのエッジーなギターがカッコよかった!)、hideの楽曲「MISERY」をカバー。hideは幕張ライブの前年、1998年に逝去。「大好きな先輩で、(99年のライブは)悲しみを乗り越え、これからもがんばりますという気持ちでした」(TERU)という言葉とともに演奏された「MISERY」は、すべての観客の心に強く刻まれたはずだ。
TERUにLEDリストバンドを巻いてもらったTAKUROがアンプの上に立ち、豪快にギターをかき鳴らす。パンキッシュな勢いに溢れた「COME ON!!」からライブは一気にクライマックスへ。巨大なステージの端から端まで移動し、センターステージでハイトーンシャウトを響かせる。本編ラストは「ACID HEAD」。性急なビート、鋭利なメロディが響き合い、4人のテンションも頂点へ。観客はジャンプしながら大合唱を巻き起こし、ドーム全体が心地よい一体感で包まれた。