SEVENTEEN、TOMORROW X TOGETHER、LE SSERAFIM、YOASOBI……『Weverse Con Festival』で韓国エンタメのすごさを体感

『Weverse Con Festival』レポート

■J.Y. Parkによる圧巻のトリビュートステージ

J.Y. Park
J.Y. Park

 「Weverse Con」の見せ場の一つが、両日出演したJYPエンターテインメントの創業者であるJ.Y. Park(パク・ジニョン)のトリビュートステージ。1日目、J.Y. Parkはギター、ベース、シンセサイザー、ドラム、パーカッション、ブラス、コーラスからなるビックバンドを背負いながら派手に姿を現した。白い豹柄の毛皮のコート、真紅のスーツを身にまとい、ジェームス・ブラウンさながらのリーダーシップでバンドを操りながらステージを闊歩する。その姿はまさに“King of K-POP”の風格。BOYNEXTDOORとコラボした1曲目「You’re the one」で韓国R&Bの真髄を見せつけ、ILLITとは古き良き歌謡テイストの「When We Disco」、TWSとは80'sディスコライクな「Honey」を届ける。J.Y. Park流エンターテイメントの独壇場と化した会場は、驚嘆と歓声、そして笑いが入り混じり、そのカリスマ性に魅了されていた。そしてラストナンバーは「Don't Leave Me」。コラボしたアーティストやダンサーがステージ上に勢揃いし、「Weverse Con」がここで終わるのかと思わせるくらいの豪華なエンディングを迎えた。

J.Y. Park

 1日目よりも尺を伸ばし、全12曲にパワーアップした2日目。J.Y. Parkはベクホ、ジウォン(fromis_9)、HEESEUNG(ENHYPEN)とのスペシャルなステージを次々と見せていくが、観客の度肝を抜いたのがHYBE創設者のパン・シヒョクとのコラボだ。驚きの声が会場いっぱいに響き渡る中、パン・シヒョクによるアコギのアルペジオに乗せて「I have a lover」がスタート。曲が進むごとにどんどんエモーショナルになっていく歌声をJ.Y. Parkが披露したかと思えば、パン・シヒョクがエレキギターに持ち替えて痺れるようなギターソロで応える。両者の間で交わされるリスペクトが音の波に乗って会場中に伝播したかどうかはわからないが、なににせよ韓国の音楽エンターテインメント最重要人物の2人がステージで音楽を楽しんでいる風景は、“伝説のステージ”として今後語り草になるのは間違いない。「I have a lover」を終えた後もパン・シヒョクは退場せずに、気づけばシンセサイザー奏者としてバンドに参加。そこから「Lie」ではJAY(ENHYPEN)、「One Candle」ではBEOMGYU(TOMORROW X TOGETHER)がギター&ボーカルで参加して会場を大きく沸かす。そしてラストナンバーは1日目と同じく、参加者が一同に介した「Don't Leave Me」を披露し、最高の大団円を見せてくれた。

J.Y. Park

 アーティストとはいえ、競合会社のトップが2日間合わせて20曲を披露するのは異例なこと。ただ、J.Y. Parkのプロデュースによって、参加アーティストの普段見られない一面を知ることができたのは確かだ。普段は切磋琢磨しながらも、特別なタイミングでは手を取り合う。こうした大手事務所の良好な関係性が、韓国エンタメシーンのさらなる発展に繋がっていくのではないか。そう思わずにはいられないステージだった。

■YOASOBI、imaseによる日本アクトのパフォーマンス

YOASOBI
YOASOBI

 「Weverse Con」1日目、韓国での人気ぶりを示すには十分すぎるほどの歓声で迎えられたYOASOBIは、デビュー曲「夜に駆ける」「怪物」といったアップテンポナンバーの連続披露で冒頭から観客のボルテージをマックスにまで高める。お馴染みのバンドメンバーを引き連れたギア全開のパフォーマンスはさることながら、無数に飛び交うレーザービーム、縦横無尽に回る照明、ハイテンポで切り替わる映像といった豪華なステージ演出も相まって、会場の空気を一瞬で支配してみせた。そこからメロウなミディアムバラード「たぶん」でブレイクを挟みつつ、ikura(Vo)が手を左右に振りながら観客とコミュニケーションを取る。そしてラストの「アイドル」は待ちに待ったと言わんばかりの歓声が上がり、自然と観客から「オイ!」コールが発生するほどの大盛り上がりだった。

 YOASOBIは昨年のアジアツアーにて韓国で初の2DAYSワンマンを開催したばかり。しかし、今回のステージにはチャレンジャーとしての姿は微塵もなく、むしろ観客を先導する堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。これからもYOASOBIのグローバルにおける快進撃は続く、そんな期待がますます膨らむひとときであった。

imase
imase

 「Weverse Park」2日目のimaseも、アウェイな環境の中で気概を見せてくれた。ENHYPENから幕間のMCタイムを挟んで始まったimaseのステージ。ちょうどお昼ご飯の時間帯、ENHYPENで盛り上がった熱も冷め、落ち着いた空気が流れる中での登場は多少分が悪かったようにも思う。しかし、imaseはそんな場の空気をもろともせずに勢いよく登場。座り込んでいる観客に向けて「Stand Up!」と明るく呼びかけ、夏にピッタリのポップナンバー「Nagisa」で陽気な風を会場に送り込む。そこから「Shine Out」を繋げ、立ち上がった観客も手を振り上げて自由に体を揺らす。これまでのステージにはなかった、フェスらしいハッピーな光景を生み出したのは間違いなく彼だった。

imase

 MCではカンペシートを取り出し、慣れない韓国語で挨拶。こうした等身大の姿を見せられるのもimaseらしく、そんな彼の言葉に嬉しそうに応える観客の様子も印象的だった。「でもね、たまには」「Have a nice day」の心地よいビートが会場を包み込んだあとは、韓国でも爆発的なヒットを記録した「NIGHT DANCER」へ。同曲はさすがの人気具合で、観客もサビのダンスをしたり、〈響めき 煌めきと君も“踊ろう”〉というサビを一緒に歌ったりと一体感のあるステージを見せてくれた。

 魅力的なアーティスト、優れた楽曲、テクノロジーを駆使したライブ演出と、グローバルを視野に入れたステージはどこをとっても刺激的だった『2024 Weverse Con Festival』。これまで以上にファンの存在がエンタメに大きな影響力を及ぼすようになり、「いかにしてファンの心を捉えて離さないコンテンツを作れるか」が重要なテーマになっている今、こうしたファンファーストの精神を起点としたフェスティバルは今後より広がっていくように思う。

 直近ではアリアナ・グランデが「Weverse」の公式コミュニティを設立。今は韓国をはじめとしたアジアのアーティストが中心に参加しているが、これからますます参加者が増えていくだろうし、そうなればフェスのラインナップのバリエーションも広がっていくのではないか。そんな期待に胸を膨らませながら、次回の『Weverse Con Festival』の開催を待ちたい。

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