マニアックだけど聴きやすいポップスへの挑戦 SUKEROQUE、特異な展開と情緒が織りなす独自性
「こだわりを詰め込んだ上で、どこまで聴き手側のハードルを下げられるか」
――他のEP収録曲についても教えてください。
SUKEROQUE:「レモネード」は、UKガラージ風の感じでドラムのフレーズから作りました。そこから譜割りもリズムに合わせていって、そこに合う形で言葉を選んでいきましたね。
――「中央線とビター」は? ちょっとニューロマンティックを彷彿とさせるシンセも入っていたりして、アレンジがすごく凝ってますよね。
SUKEROQUE:「中央線とビター」は、メロディと歌詞のはまり具合が気に入っていて。どんなアレンジでもいい曲になるだろうなと思ってたんで、自分が作ったデモの段階では、そんなにアレンジを頑張らなかった方の曲です。それを伊藤立(agehaspringsParty)さんとやることによって、僕では思いつかないアレンジになって。楽しかったなぁ。
――「Blood on the dance floor」は?
SUKEROQUE:これはもう……はっきり言っちゃいますね。スティーヴィー・ワンダーの「Superstition」みたいな曲を作りたかったんです。
――あら、すごくはっきりですね。でも、今種明かししてもらって「そうか!」と思いました。私はParliamentやプリンスあたりを意識したのかと勝手に思ってました。
SUKEROQUE:「Superstition」を頭に浮かべながらコードとかを作り始めて。そんな中、ちゃんとJ-POPの形に則る……とまで大げさではないですけど、そこも考えてちゃんと聴きやすい音楽に仕上げていったら面白そうだなと思って、トライしてみた曲なんです。おそらくコードは今回のEPの中で一番凝っている曲なんですけど、どれだけ難しく凝ってもすごく聴きやすい音楽に仕上げるのが最終目標だったので。その目標は達成できたと思ってます。
――その“聴きやすい”っていうのは、SUKEROQUEの中でのポップスに繋がります?
SUKEROQUE:そうですね。
――なるほど。聴きやすいという言葉をあえて他の言葉に置き換えると?
SUKEROQUE:“ハードルが低い”ですかね。そういうものを作りたいと思っているんです。でも簡単に作るんじゃなくて、自分のこだわりや難しいことを全部詰め込んだ上で、どこまで聴き手側のハードルを下げられるか。どの曲も、作ってる時に一番考えることですね。
――今のお話を伺って、ものすごく納得しています。『Blue Cheese Blues』って、家の中でスピーカーで聴くと、よくできたポップス作品という印象なんです。メロディと歌が強い。でも、ヘッドフォンで聴いて「うわ、フィル・スペクターきたあ」と思ったんですよね(笑)。
SUKEROQUE:ありがとうございます。すごく嬉しいです!
――『Blue Cheese Blues』は、自分のマニアックさと上手くつき合えたからポップスにできた、そんな作品だと思います?
SUKEROQUE:まさにその通りな気がしますね。昔はもっと小難しいものを作ってたし、わかりやすいものを作ろうと思うと、自分の中で面白くないものになってたんですよ。ハードルの下げ方を間違っていたみたいな。こだわりとかクオリティを担保しつつハードルを下げるっていうのは、『Blue Cheese Blues』は今までの中でも特に挑戦できたなっていう感じがしてます。
1000本ノックみたいな歌入れも“楽しい”
――では、歌についても伺います。歌に本気で向き合ってSUKEROQUEをやっていこうと思った時、自分の歌声・声質などは研究しましたか?
SUKEROQUE:そうですね。ここ数年、自分の声を自分で録音してかなり聴きました。ちゃんと(機材で)視覚的にも見えるようにして、「ここを削ったら微妙なんだ」とか、いろいろ試しながらやりました。「こういう音程の時はこういう出し方がいいんだな」と思ったら、それを反復したり。スポーツみたいなことをやってましたね。
――喉の開き方とか、喉のどこに力が入っているかとか、そこを意識して反復して練習したってことですよね。
SUKEROQUE:そうです、そうです。
――試して、練習して、今の歌のスタイルになっているということですよね。それは根気がいるというか、猛特訓に近い。
SUKEROQUE:本当に1000本ノックみたいに歌ってましたね。レコーディングの歌入れもそうでした。
――笑顔で話してますけど、それって楽しいですか(笑)? 不躾な質問、すみません。元々、歌いたくなかったという人にはどうなのかなと思いまして。
SUKEROQUE:うーん………やっぱり楽しいかもしれない(笑)。「あぁ、こうすると、こうなるんだ。なるほど」と思うと面白い。練習していなかったら次の楽しさはないんですよ。できるようになるために練習しているから、結構楽しいんだと思います。だんだん成長していくのがわかるから。
――『Blue Cheese Blues』の中で、自分が歌っていて一番気持ちがいい曲は?
SUKEROQUE:わー、難しいなぁ……(真剣に考え中)……。
――ワンフレーズでもいいですよ。
SUKEROQUE:あ! レコーディングでも歌ってて楽しいなと思ったのは「中央線とビター」ですね。この曲って、自分の声の一番いいところで歌えてると思うんですよ。あと、言葉とリズムがすごく合ってて、歌っていても気持ちよくて楽しかったですね。逆にライブで歌ってて一番楽しいのは「Blood on the floor」ですね。
――なるほど。6月には東京でのワンマンライブ『ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール”』、7月には名阪ツアー『ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール” ツアー』が控えてますね。
SUKEROQUE:今回のEPのテーマをすごく広く言うと“一喜一憂”なので、それを大きくしたバージョンというイメージのライブにしたいと思っています。いろんなことを歌っているんですけど、来た人にはシンプルに100%楽しんでもらえるライブにします。ライブはやっぱり、頭(の中)を真っ白にして楽しめるのがいいなと思っているんです。
――ご自分も頭空っぽになれるのがライブ?
SUKEROQUE:そうですね、だいたい頭空っぽになっちゃいますね。僕も思いっきり楽しんでるんですよ、ライブは。
◾️リリース情報
『Blue Cheese Blues』収録曲
2024年5月1日(水)リリース
配信:https://nex-tone.link/A00140110
M1.中央線とビター
M2.レモネード
M3.トランジスタレディオ
M4.Blood on the dance floor
M5.最終回
M6.サーモンピンク
■ライブ情報1
『SUKEROQUE 1st Oneman live「ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール”」』
2024年6月8日(土)
・会場:渋谷TOKIO TOKYO
・開場:17:45 開演18:30
・チケット 3,500円(D別)
■ライブ情報2
『ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール” ツアー』
7月23日(火)SUKEROQUE / lilyclone / 場違いクラウン / and more
・会場:名古屋ell.SIZE
・開場:18:15 開演18:45
・料金:前売2900円 当日3400円(+1D)
7月24日(水)詳細は続報(対バンあり)
・会場:大阪 天王寺 寺田町Fireloop
・開場:18:30 開演:19:00
・料金:前売2900円 当日3400円(+1D)