ホロライブの壮大な歴史を体感 星街すいせい、AZKiら登場した『hololive 5th fes.』DAY2を振り返る

『hololive 5th fes.』DAY2レポ

〈覚えてるかな? 最初の歌 私 声が震えていた あの日から続く未来は みんなと掴んだ今日だよ〉

 この大型イベントを締めくくるようにスタートした『hololive stage3』の1曲目「キラメキライダー☆」の冒頭には、このような歌詞が綴られている。

 正面・左右のステージにそれぞれ6人ずつ、国内外から揃った計18人が並び歌う。その様子に、強いメッセージが込められているのは自明である。

 公式サイトのなかで「Capture the Moment」という言葉を「瞬間を感じて記憶に残す」と解いていたことからもわかるように、史上最大級のイベントだからこそ、過去から現在までの連なりに想いを馳せ、そして未来を感じさせるステージが要になっていたともいえよう。

 そんなライブだが、注目ポイントは多い。海外所属のメンバーでは、まずムーナ・ホシノヴァとクレイジー・オリーの伸び伸びとしたパフォーマンスに驚かされたファンは多かっただろう。

クレイジー・オリー
クレイジー・オリー

 オリーがKANA-BOON「ソングオブザデッド」と自身のイメージにピッタリなアニソンをカバーすれば、ムーナはオリジナル曲「Who's Toxic? It's You!」のポップ&ロックなナンバーで会場を沸かせていた。

ムーナ・ホシノヴァ
ムーナ・ホシノヴァ

 これまで配信であまり日本語が得意でないと知られていたワトソン・アメリアが、拙いながらも「シュガーソングとビターステップ」を歌ったことは、ファンに驚きを与えたのは言うまでもない。

ワトソン・アメリア
ワトソン・アメリア

 ここまで多くの観客を目の前にしてライブをするだけでも未体験であるのに、得意ではない日本語にも挑戦する。そのチャレンジ精神は非常に重要だ。勢いを増すホロライブEnglishやホロライブインドネシアのバイブスそのもののようなパフォーマンスは、ファンの記憶に刻まれただろう。

 そんな海外組に負けじと、国内のホロライブメンバーも良いパフォーマンスを次々と見せてくれた。

 オリジナル曲「合縁事変」でエレクトロ系ダンスミュージック特有の“圧”にキレのあるダンスをあわせ、力強さとカッコよさを表現したラプラス・ダークネス。自身の5周年記念楽曲「君の最推しにしてよ!」でファンとの繋がりを色濃く表現した湊あくあ。リリースの発表がされていなかった新曲「melting」をライブで披露した百鬼あやめなど、各々の持つイメージや楽曲に合わせて次々とパフォーマンスしていった。

 そんなライブも終盤、「ファンから推しへと届けるみんなの楽曲」と謳っていた「LETTER☆彡」を白上フブキがハイトーンボイスとハイテンションで届ければ、さくらみこが「アワーツリー」を歌った際には、過去のライブや配信のワンシーンをステージに流しながら歌った。

 白上・さくらともに内容は違えども「ファンへの感謝・愛情」を表現し、この日集まったファンの心を大きく揺らしたのだった。

星街すいせい
星街すいせい

 そんな2人に続いたのは、同じく長くホロライブを支えてきた星街すいせいだ。「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」「Newton」「ソワレ」とオリジナル楽曲のメドレーを披露したが、「おまたせー!」と声をかけただけで沸き起こった大歓声は、まるで怒号のよう。彼女がいかに支持され、愛されているかが伝わってきた。

AZKi×星街すいせい
AZKi×星街すいせい

 最終日の最後を飾るライブ、そのハイライトは星街すいせいとAZKiによる「The Last Frontier」だったのは間違いない。クリーンかつ細めの歌声のAZKi、力強い歌声の星街、対照的な2人のシンガーが「The Last Frontier」の高音域の音程をファルセットで歌い合わせていく。

 元来この曲はAZKiが作詞・作曲を務め、自身の活動と進退が不透明になっていたころにリリースされたこともあり、曲の最終部分は星街すいせいへのエールとなるような歌詞になっていた。星街はこの最終部分を、ライブのために歌詞を書き換え、未来への明るい展望を含ませたメッセージにして歌い上げたのだ。

 ライブ中にも2人が語っていたが、元々彼女たちはホロライブに所属していたわけではなく、「ホロライブプロダクション」内の音楽レーベル・イノナカミュージックの一員として活動していた。

 お互いに当初は音楽にフォーカスした活動を模索し、その後は活動内容も変化させ、現在はホロライブに所属して配信・音楽の両軸でメインにしている。いわば"同志"といっても過言ではない。

 曲を歌い終え、星街はサプライズとしてAZKiへの手紙を読む。その内容はぜひアーカイブで見てほしいが、「瞬間を感じて記憶に残す(Capture the Moment)」と題されたこのイベントらしい、特大なインパクトあるハイライトシーンであった。

 国内外のタレントがそれぞれに良きライブパフォーマンスをみせながら、ファンへの感謝・新しい挑戦・ある種の到達や精算を見せてくれた一夜。音楽イベント『hololive 5th fes. Capture the Moment』は、史上最大級のスケールであっただけでなく、史上最高級のシーンをいくつも生み出したといっていいだろう。

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