ME:Iのデビュー曲「Click」MVで示された、どんなコンセプトも消化できる多面的な輝き

 サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』を経て結成されたME:Iが、3月25日、公式YouTubeチャンネルで「Click」のMVを公開した。同楽曲は、4月17日にリリースされるデビューシングル『MIRAI』のタイトル曲。リラックス感のあるポップサウンドが印象的な楽曲で、特に〈Click〉というフレーズが繰り返されるサビは非常にキャッチーでもあり、何度でも聴きたくなる中毒性を秘めた一曲に仕上がっている。

ME:I (ミーアイ) ⊹ 'Click' Official MV

 そんな「Click」のMVを繰り返し見ていると改めて感じるのが、ME:Iには際立つ多彩な個性を持ったメンバーが集まっているという事実である。そして、その色とりどりの個性が化学変化を起こすことによってグループの“多面性”が強化されており、1本のMVを見ただけでも、今後彼女たちが新しい表現を次々と生み出していきそうな無限の可能性を感じられる。

 今回のMVは、各メンバーの強みや個性が存分に発揮された映像となっていた。印象的なシーンを1人ずつ細かく書き記していきたいところだが、文字数が足りなくなってしまうため、一部のメンバーを例に挙げよう。例えば、オーディションの最終順位1位の笠原桃奈は、ダンスや歌で安定の実力を発揮しているのはもちろんのこと、カメラを捉えた視線だけでハッと惹きつけられるカリスマ性を見せた。佐々木心菜もMVの中でカプセルのようなものの中で眠る清水恵子を見つめ、意味深な表情を見せるなど、全体的に明るい雰囲気のMVに奥行きを与えている。また、オーディション時から歌声に定評のあった海老原鼓、高見文寧、飯田栞月も、歌の冒頭部分や大サビなど、それぞれの特徴が活きる歌唱でリスナーの耳を奪う場面を何度も作り出している。そうかと思えば、清水は得意のラップで爪痕を残し、村上璃杏は歌とラップ、ダンスで変幻自在な魅力を見せ、楽曲を彩った。

 ここに記載しただけでも、かなり彩り豊かな個性を持つメンバーがME:Iに集まっていることがわかると思うが、そうした強烈な個性が集まったときに懸念されるのは、グループとして全体の統一感が失われてしまうことである。しかし、今回公開されたMVを見ている限りでは、ME:Iにはそのような懸念は当てはまらず、逆に圧倒的にカラフルな個性が集まっているからこそ、グループとして表現の幅が広がっているように感じられた。

 今回の「Click」は、楽曲全体を通じてキュートで透明感のある雰囲気が漂っていたものの、石井蘭、山本すず、櫻井美羽の“御三家”の活躍が目立った間奏のダンスブレイクではその空気が一変し、オーディションにダンストレーナーとして参加していたYUMEKIが携わった振付をもとに非常にクールな一体感が生まれていた。また、傘を使ったパフォーマンスシーンでは一瞬の場面にもかかわらず芸術性の高さを感じることができるなど、随所でメンバーの大人びた艶やかな表情も垣間見られた。こうした“多彩な表現の萌芽”が見られたことに加え、歌とダンス、ラップはそれぞれの領域で一流と言っても過言ではないほどの実力を持つメンバーが揃っていることから、ME:Iはどのようなコンセプトの楽曲でも自分たちの表現として昇華させることができそうである。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる