SixTONES ジェシー、『新空港占拠』での成長 ポジティブキャラを封印して広げた表現の幅

 「Aha ha ha!」という豪快な笑い方が特徴的なジェシーは、いつも陽気でみんなに好かれていて、まさにSixTONESの太陽のような存在だ。バラエティ番組でも、その明るいムードでお茶の間に笑いを届けてくれている。SixTONESの動画を観るとポジティブな気持ちになれるのは、底抜けに明るいジェシーがいてくれるから。彼には、圧倒的な主人公感がある。

 だからこそ、『新空港占拠』(日本テレビ系)に“謎の男”として出演することが発表されたときには、驚いた人も多かったのではないだろうか。ジェシーが演じた謎の男(新見大河)は、初登場シーンから怪しげな雰囲気を纏っていた。なぜか血まみれで、今にも死んでしまいそうなくらいに覇気がない。そのくせ、武蔵三郎(櫻井翔)の妻・裕子(比嘉愛未)に拳銃を突きつけ、「早くしろ。(車を)出せ。今すぐ出すんだ」と脅迫する。

 ふだんのキャラクターとはあまりに別人であるため、ドラマ放送後にオンエアされるラジオ番組『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)で、ジェシーの軽快なトークを聞き、「本当に大河を演じている人だよね……?」と頭がこんがらがってしまったのを覚えている。ジェシーは、これまでも笑わないクールな役柄を演じてたことはあったが、ここまで影を背負ったキャラクターに扮するのは珍しい。

 大河は、最後まで武蔵と私たち視聴者を翻弄し続けた。とくに印象的だったのは、最終話で駿河悠月(高橋メアリージュン)に銃で撃たれて、(おそらく)息を引き取った場面。ゆっくりと目を閉じながら、すべての恨みから解放されたような安らかな表情を見せていたのだ。姉の新見百花が自殺したことにより、狂ってしまった大河の人生。ここでようやく“ケダモノ”から、姉想いの優しい青年に戻れたように感じて、涙が止まらなかった。

 ジェシーは、『新空港占拠』の前日譚を描いたHuluオリジナルストーリー『新空港占拠前 Run,Mouse,Run!』で主演を務めている。同作では、大河が“制裁こそ復讐”と考える武装集団 獣(ケダモノ)のメンバーになるきっかけとなった事件が描かれる。筆者は、今作を観て、「やっぱり、大河はただ心がない人ではなかったんだ」と安心した。もちろん、彼がしでかしたことは、褒められたことではない。でも、きっとその裏には“何か”理由があると思っていたから。視聴者に、最後の最後までそう信じさせることができたのは、演じていたジェシーの性格が影響しているのかもしれない。

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