ammo、ねぐせ。、KALMA……若手バンドにおけるショートチューンの増加 My Hair is Badが影響源に
ここまで述べてきた“ショートチューン”という言葉を一言で定義することは難しい。しかし、ライブではBPMを上げて披露されていることを踏まえると、1stフルアルバム『ファンタジーな祝日を!!!』より先行配信された「あの娘の胸に飛びこんで!」は、間違いなくねぐせ。流のショートチューンだ。「日常革命」や「スーパー愛したい」など、柔らかなナンバーが印象的なねぐせ。の一味違う側面が垣間見える2分間。すでにキラーチューンとして定着しつつある同曲では、〈あの娘の胸に飛びこんで! 窒息して死ねるなら本望じゃない?〉と「包まれる」ともリンクする欲求をシンガロングしている。リーダーのなおと(Dr)は、My Hair is Badをコピーしていたことを明かしており、彼らも影響下にあるといえるだろう。
ねぐせ。が登場SEとして「ねぇミスター」を使用するなど、2020年代のシーンにおいてより存在感を強めているバンドがKALMAだ。彼らのライブでは「1分間の君が好き」や「モーソー」といった一度聴いたら覚えてしまう人懐っこい歌が幾度もドロップされ、ファンの間では同曲の演奏時間に合わせて「今日は“○分間の君が好き”だった!」と言われている。ショートチューンを駆使したアグレッシブなライブはKALMAのストロングポイントになっているのである。KALMAがスリーピースバンドとして歩み始めた背景にはMy Hair is Badの存在があり(※2)、影響は楽曲のみならず編成にまで及んでいると言える。
このほかにも、ammoのレーベルメイト・アルステイクの「光れ」、「走れ」や、京都発のスリーピースバンド・hananashiの「足りない」など、My Hair is Badの影響を公言しているバンドが生み出したショートチューンの名曲は数多に存在する。My Hair is Badが蒔いた種は、それぞれのバンドによって水を与えられ、確かにライブハウスで芽吹いているのだ。
※1:https://natalie.mu/music/pp/ammo
※2:https://natalie.mu/music/pp/kalma
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