「UniteUp!」ユニットセンター鼎談 戸谷菊之介&助川真蔵&masaが語る、“多次元アイドル”の可能性

「UniteUp!」ユニットセンター鼎談

PROTOSTAR、LEGIT、JAXX/JAXX…三者三様の楽曲の魅力

――ではEP『ELEVEN』について、一曲ずつお話をお聞きします。一曲目のLEGIT「MAGIC」は実写MVもありましたが、今までのクールなイメージとは違うリラックスした雰囲気でしたよね。歌ってみていかがでしたか?

LEGIT - MAGIC

助川:早い段階でデモをいただいたのですが、そのタイミングでもう僕たちは、“よりプライベートなLEGITを魅せられるな”と思っていました。デモをもらった帰り道、ちょうど車を運転しながら曲を流していて「あ、この感じいいな」と思ったので後日、レーベルの方に「MV撮っちゃいましょうよ!」って言ったら、本当に撮れることになったんです。自分たちで物を集めたり、僕はスケボーを持っていったりとか……。

戸谷:えっ、そうなの? 私物を?

助川:そうだよ。MVの中で僕がつけているドッグタグのネックレスもそうだし、それぞれの私物や、森蔭(晨之介/二条瑛士郎役)が集めてくれた衣装だったり。“キャスト自身”っていう色が強いMVになっていて、曲調自体も割とラフで、僕たちの休日というか「どっか遊びに行こうぜ」みたいな感じ。今まではキャラクターやLEGITのイメージにフォーカスした曲が多かったんですが、今回の「MAGIC」は助川、森蔭、坂田(隆一郎/東郷楓雅役)自身にフォーカスした部分が大きくて。LEGITのキャスト3人の仲の良さや、パーソナルな部分がより垣間見える曲調とリリックになっていると思います。

助川真蔵
助川真蔵

――masaさんと戸谷さんは、この曲を聴いてみてどう思われました?

masa:LEGITの曲って、いつもはゴリゴリのヒップホップ、ダンスチューン、R&Bを感じるんですけど、今回はヒップホップではあるけど“尖ったカッコよさ”というより、尖りがゆるくなった感じで、別のカッコよさがあるなと思いました! 振り付けもつい真似しちゃうくらいキャッチーだし、何回も聴ける、リピートしちゃう曲だなって。

戸谷:確かにそうだよね。

masa:ドライブにもぴったりだなって思いますし。まあ僕、免許持ってないんですけど(笑)。免許がなくてもドライブしてるところが想像つくような、風を感じるような曲です。

戸谷:晴れてる日のイメージ。ゆっくりできる曲だよね。

助川:うん、海沿いのドライブとかね。

masa:そうそう。ギャップがある曲で、いろんなLEGITが観られるんだなって思った。実写MVも“多次元アイドルプロジェクト”をやってくれてる! って思った。

戸谷:MVの森蔭くんがよかった! あ、真蔵くんもよかったんだけど(笑)。〈いつもよりスパゲッティを大盛り〉のところ!

助川:森蔭が本当にスパゲッティのナポリタンが好きなんですよ。彼の作詞した「good time」という曲にも、〈喫茶店でさ 食べたナポリタンが〉っていうリリックがあるんですけど、そういうパーソナルな部分に今回はフォーカスしてくれたんです。……本当にずっとあいつスパゲッティ食べてるよね、プライベートでも曲中でも(笑)。

masa:本当にそう(笑)。「パスタ」じゃなくて「スパゲッティ」っていうのがかわいい。かわいいで言うと、真蔵くんのパジャマ姿なんてなかなか見られないんじゃない?

戸谷:確かに、LEGIT3人のパジャマ姿なんてレア。かわいかった!

masa:MV含めて、いっぱい魅力が詰まってると思います!

――では次は、JAXX/JAXX「JOKER」。masaさんが春賀楽翔名義で作詞作曲されたんですよね。これまでのJAXX/JAXXの明るい楽曲とはまた違った魅力のある大人なサウンドですけど、どういうイメージで作られたんですか? 個人的に、今までは背中を押してもらえる楽曲が多いなと思ってたんですが、今回の曲は、歌詞と同じように思っている人に寄り添っているような優しさがあるなと感じました。

JAXX/JAXX - JOKER (Illustration Video)

masa:ありがとうございます。おっしゃるとおり、いつものJAXX/JAXXは背中を押すような優しさ溢れるユニットで、バンドサウンドが魅力的、全体的に元気な楽曲が多い。でもアニメを観てくださった方はわかると思うんですが、(JAXX/JAXXの前身ユニット)Popping Zooは挫折していたり、楽翔くんは道端の前で倒れていたり、何かしら暗い部分もあるんだろうなって思うんです。そして、楽翔くんは精神年齢が高いので、その前の殻を破るまでの気持ちを書けたらいいな、っていうのが一つのポイントでした。

 あとは“多次元アイドルプロジェクト”の中で、僕自身が「多次元ってなんなんだろう?」と思ったことがあって。僕と楽翔くんは似てると言われることが多くて、自分と楽翔くんとの違いを考えて戸惑った時期があったんです。その時の葛藤を出せたらいいなという気持ちで書いた曲ですね。さっき言ってくださったとおり、優しさみたいなものは忘れちゃいけないなと思っていて……僕、結構周りから優しいって言われるんですよ(笑)。

戸谷:うん、優しいよ!

masa:(笑)。この曲は、棘というか一見キツいワードがあるんですけど、こういう葛藤って歌ったり演技をする人じゃなくても、みんなに通じると思うんです。普通に生きていても、「昔はこう思っていたのに、誰かに似ちゃってるな」とか「でも生きていくためには仕方ないよな」って自分を抑えちゃってる部分もあると思うんじゃないかな、と。だからこそいろんな人に刺さるし、いろんな人に寄り添って、いろんな捉え方ができる、これまでとは違った優しさを見せられた曲かなって思います。

masa
masa

――確かに今までのイメージとは違うけど、JAXX/JAXXの曲と言われたら「そうなんだ!」って受け取れる曲だと思います。戸谷さん、助川さんは聴いてどう思われましたか?

助川:僕の中のイメージは、薔薇みたいな感じ。わかる? 薔薇って美しいじゃないですか。でも棘があって。何にでも美しいだけじゃない部分って絶対あって……。

戸谷:うん、ある。

助川:その腹に抱えているものを、ぶちまけている曲みたいな。見えている部分だけじゃない、見えていない部分を吐露しているなって。だから、キレイなだけじゃないのがいいなと思いました。何にでも汚い部分、裏の部分はあるけど、そこを表現するっていうのは、なかなかアイドルコンテンツではないことだし。

戸谷:うん、目を背けない感じがあるよね。結構キツい言葉とかも歌ってるけど、それをそのまま表現できるってすごい。

masa:「UniteUp!」の中での僕の目標として、“キャラクターにも汗を感じる・僕らにも二次元を感じる”みたいなところをうまく出せたらというのがあって。今回はキャラクターに三次元っぽさを感じられる曲になったかなと思います。

助川:人間臭いよね。

masa:そう、人間臭さ。多次元アイドルプロジェクトにしかできないことかなって思う。……薔薇って表現いいね。今度使おうかな(笑)。

戸谷:じゃあ僕が言ったことにして(笑)。

助川:なんでだよ(笑)!

戸谷:僕はシンプルに「かっこいいな」って。確かに、JAXX/JAXXの曲って言われたらそうだなっていうのもあったし、「JOKER」ってタイトルがいいですよね。JAXX/JAXXって“ジャック”だから、(名前の響きに)ちょっと暗い部分もあるなって今思った。

masa:“ジャックする”とか、そういう?

戸谷:そう。だからJAXX/JAXXの「JOKER」ってすごくイメージ的にもかっこいいなって。

――次のPROTOSTAR「シュガーHi Hi!」、これはもうすごく……。

戸谷:かわいいですよね!

masa・助川:かわいい!

――本当にかわいらしい曲ですよね。この曲はどうやって制作が進んだんですか? 初めて聴いた時の印象もお聞きしたいです。

戸谷:最初は「僕らでタイトルを決めよう!」ということになって、ブレインストーミングみたいに単語と単語を組み合わせてアイデアを出していった中に(平井)亜門くんが出してくれた「シュガーHi Hi!」があって。そこから曲を作っていただいたのが始まりです。

 最初にデモを聴いたときは、「なんてかわいい曲なんだ!」と思ったし、PROTOSTARっぽいけど今までになかった曲調だし、「めっちゃいい曲じゃん!」「これは人気出そうだな」と。そこから3人で話してレコーディングに臨んだ曲ですね。レコーディングも、“かわいいを突き抜けて”って感じで、“かわいい”にパラメータ全振りしたような歌い方とセリフの言い方を、テンションを上げてやった記憶がありますね。

戸谷菊之介
戸谷菊之介

――出来上がった曲を聴いて、どうでしたか?

戸谷:もう最高ですね! 天才だと思いました(笑)。自分たちPROTOSTARもそうだし、曲を作ってくださった方もそうですし、ジャケットイラストの衣装もかわいいし、「シュガーHi Hi!」の全部が“かわいい”要素だなって思ったので。ファンの方もすごく喜んでくれそうだなって作っている段階から思いました。

――TikTokでのダンスチャレンジ企画もありましたよね。

戸谷:ありました! サビの〈シュガシュガシュガシュガ〉のところの振り付けもかわいいし。MVもすごくかわいく作ってくださって。お菓子がいっぱいだし、ケーキをみんなで作ったりして。

助川:背景もキラキラしてたよね。映像の色合いが、ちょっと昔のアイドルみたいな感じもいいし。

masa:平成を思わせる感じね!

助川:そうそう。すごくいい。

戸谷:MVの衣装を、ジャケットのイラストに寄せて用意していただいたんですよ。僕が着ている3色のセーターはわざわざ作っていただいたんです! イラストを再現しようとする意気込みがすごいなっていう。力が入っているなっていうのをすごく感じましたね。

PROTOSTAR – シュガーHi Hi! (Music Video)

――お二人は、楽曲を聴かれてどうでした?

masa:本当にかわいい! LEGITやJAXX/JAXXはいい意味でギャップを見せた楽曲でしたけど、PROTOSTARはPROTOSTARを突き進んでますよね。アニメ1期のPROTOSTARが成長する物語が終わった後にリリースされた楽曲っていうのもあって、悩みながらも明良が何かを見つけて、あらためて「PROTOSTARとはこういうことです!」っていうのがちゃんと表れている。PROTOSTARの代表作! って感じがあって、すごく好きです。

助川:僕の中でPROTOSTARのイメージとして、今までの楽曲は「(Anelaの辻堂)真音さんが作った曲を歌ってます」って感じだったけど、「シュガーHi Hi!」は自分たちでいろいろ考えて作ったというのがすごく伝わってくるから、成長がファンの方にも伝わるんじゃないかな。

masa:すごくわかる。軸ができた感じあるよね。

戸谷:そう、こんなにはっちゃけて歌い上げてるのも実は初めてだし。

助川:あとは、ライブでめちゃめちゃ盛り上がりそうだなって。最初に聴いた印象はそれでした。いい曲だとか、かわいいというのはもちろんあったんですけど、「これ、ライブでやったらお客さん超楽しいだろうな」って。振り付けも、ペンライトを持ちながらやってくれる人もいるだろうし。PROTOSTARはこれまで「吠えろ!クロスファイヤー」がライブで盛り上がる曲って感じだったけど、それに打ち勝つレベルの曲が出てきたなって思いましたね。

masa:ライブで盛り上がるの、JAXX/JAXXの「STORM's EYE」の冒頭〈Wow!〉と、PROTOSTARは「シュガーHi Hi!」、LEGITはどれだろう……。

戸谷:「Twenty Four」の最初、〈Twenty four〉の掛け合い!

masa:そうだ、そこは声出し勝負だね!

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