エド・シーランのオリジナリティに酔いしれる ワンオクTakaも登場した東京ドーム公演

エド・シーラン 東京ドーム公演レポ

 昨年、『- (Subtract)』と『Autumn Variations』の2枚のフルアルバムをリリースしたイギリスのシンガーソングライター、エド・シーランが4年9カ月ぶりとなる来日公演を行なった。これは、『+-=÷x Tour(ザ・マスマティクス・ツアー)』と題した世界ツアーの一環で、日本では1月27日と28日に京セラドーム大阪、31日に東京ドームにて開催。本稿では、最終日となる東京公演をレポートする。

 ドーム内に入ると球場中央に円形のステージが設置され、客席はその前後左右に配置されるという「360度」仕様。ステージ上部には筒形の巨大な液晶モニターが吊るされ、そこに映し出された数字の映像が、開演まであと何分かをカウントし続けている。開演時間が近づくにつれ、客席のあちこちからカウントダウンを叫ぶ声が。定刻となり、ついにエドがステージに現れると大歓声がドーム中に響きわたった。

 黒地に「JAPAN」とプリントされた、お気に入りのサーフ&スケートブランド HOAXのTシャツに黒いパンツという、相変わらずまったく気取ったところのないラフな格好のエド。満面の笑みでオーディエンスに大きく手を振ると、まずは「Tides」からこの日のライブをスタートした。

 前回のドームライブとは趣を変え、今回はドラム、ベース、ギター、そしてキーボードを率いてのアンサンブル。2021年にリリースされたアルバム『= (equals)』の1曲目を飾るこの「Tides」は、結婚し娘が誕生した喜びを歌うパーソナルな内容で「静」と「動」を行き来するダイナミックなサウンドスケープが印象的だ。続く「BLOW」は、クリス・ステイプルトン、ブルーノ・マーズとのコラボによるハードロックナンバー。ソリッドかつヘヴィなギターリフが、特効の火焔と共に会場のボルテージを一気に上昇させる。

 オーディエンスのハンドクラップがドームいっぱいに鳴り響いた「I'm a Mess」を経て「Shivers」は、エドのトレードマークであるルーパーを駆使しての演奏。アコギのボディを叩いてリズムを組み立て、そこにアコギやシンセのフレーズを次々に重ねていく。ルーパーのペダルでフレーズを抜き差ししながらトラックに立体感を持たせ、ファルセットを駆使してソウルフルなメロディを歌い上げる。

 「東京に来るのはずっと夢だったんだ」とエド。2012年に出演した『FUJI ROCK FESTIVAL』のことを振り返り、「あの頃はまだ僕の音楽を知っている人は少なかった。でもこうやってまた日本に来られて嬉しいし、今もずっと聴き続けてくれているみんなに心から感謝しているよ」と喜びを伝えた。

 アコギを爪弾きながら「The A Team」を歌い始めると、液晶モニターには影絵のようなノスタルジックで幻想的な映像が映し出される。スタンドを埋め尽くした5万人のオーディエンスがスマートフォンのライトをペンライトのようにかざし、エドの演奏をさらにロマンティックに演出した。

 一転してアコギをかき鳴らし、回転するステージの上をジャンプしながら披露したのは「Castle on the Hill」。映画『ヒックとドラゴン3』の予告動画で起用された楽曲ということもあり、それを想起させるファンタジックなアニメーションが液晶に映し出される。美しく雄大な自然を彷彿とさせるメロディに、オーディエンスもシンガロングとハンドクラップで応えていた。

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