エド・シーラン、『=』というタイトルが示すもの 最新アルバム楽曲がチャート上位にランクイン
参照:https://spotifycharts.com/regional/global/weekly/latest
Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第7回となる今回は、11月4日公開(10月28日~11月3日集計)のチャートを見つつ、エド・シーランの新アルバム『=』にフォーカスする。
エド・シーラン『=』の楽曲 4位、5位、14位にランクイン
トップ3は先週から変わらず、アデル「Easy On Me」、ザ・キッド・ラロイ「STAY」、リル・ナズ・X「INDUSTRY BABY」という結果となった。トップ3以降も、ニューアルバム『=』をリリースしたエド・シーランの楽曲が4位、5位、14位にランクインした以外は特に先週から変動はなく、夏頃からバイラルヒットとなっているGlass Animalsの「Heat Waves」が4位から6位にランクダウン。エド・シーランの楽曲がいつまでチャート上位をキープできるのか、さらにアデルが新アルバム『30』を11月19日にリリースしたときに現在上位をキープしている楽曲がどこまで食い込めるのかに注目が集まる。
「自身にとって成人式のような作品になる」
5thアルバム『=』を10月29日にリリースしたエド・シーラン。1stアルバム『+』、2ndアルバム『x』、3rdアルバム『÷』といった、数学記号をモチーフとしたアルバムシリーズの4枚目となり、2019年にリリースされた『No.6 Collaborations Project』以来のアルバム作品である。今回の『=』について、エド・シーランは「自身にとって成人式のような作品になる」と、人間的成長と人生経験を表現した作品になると語っていた(※1)。結婚生活、愛、娘の誕生、そして今年の3月に亡くなった彼のメンター的な存在であったマイケル・グディンスキーについて歌っている。
世界的に大ヒットとなり、Spotifyで最も再生された楽曲(2021年10月時点)「Shape of You」が収録されているアルバム『÷』から4年。『=』は、この4年間で彼の人生に起こったことを表現したパーソナルな作品でもある。高校時代の同級生と結婚し、娘が生まれたことが作品のメインテーマになっており、彼は1曲目「Tides」で〈私は大人になり、父親になった。全てが変わったけど、まだ何も変わっていない〉と、自身の状況と心境を歌っている。同楽曲からは、人生が大きく変わったが、自身の中ではまだ前に進めていないという不安が伝わってくる。また、〈数字を上げて気持ちよくなることを追いかけているうちに、自信を失くしてしまった〉という歌詞(※2)から、トレンドを追いかけてしまう彼の不安のようなものも感じる。