THE JET BOY BANGERZ、1st EP『PHOTOGENIC』チャート首位 息の長い活動を期待したい地力
CD Chart Focus
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2024-02-12/
2024年02月12日付(2月6日発表)のオリコン週間アルバムランキングで1位だったのはTHE JET BOY BANGERZの1st EP『PHOTOGENIC』で、推定売上枚数は49,734枚だった。その他、トップ10圏内の初登場作品としては、3位 ケツメイシ『ケツノポリス13』(22,133枚)、6位 Ken Yokoyama『Indian Burn』(12,424枚)、7位 milet『Anytime Anywhere』(11,410枚)、8位 Pipping Hot『5EVA』(8,009枚)だった。
今回取り上げるのは1位を飾ったTHE JET BOY BANGERZ『PHOTOGENIC』。LDHのオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』第二章から誕生した10人組のダンス&ボーカルグループで、昨年2023年8月に「Jettin'」でメジャーデビューしたばかりだ。『PHOTOGENIC』は同名のリード曲をふくむ4曲入りのEPで、大人数のグループらしさが映えるダイナミックな展開が詰まった曲が揃っている。
前述のデビュー曲「Jettin'」からして、アグレッシブなサウンドに多彩なボーカルが絡む力強いパフォーマンスが印象的だったが、今作のリード曲「PHOTOGENIC」はブラスのサンプルづかいをはじめヒップホップのテイストが強めで、ハードさが高まっている。その一方で、メロディアスなボーカルの魅力も対比的に強調されていて、大人数グループならではのパフォーマンスの幅広さが光る。自己肯定感がバキバキに強く貪欲さを隠さない歌詞の「圧」も含めてエネルギッシュ。
2曲目の「TEN」はエグめのベースが光るフェスティバル系のトラップに、おなじみのジャージークラブのパターンが顔を出し、そこからメロディアスなパートを挟んで一気にビートスイッチしてファンキーなブーンバップに突入……とやたらと手数の多いビートでグループの魅力を披露するショウケース的な楽曲。さまざまなビートに多様なアプローチでパフォーマンスを組めるという意味で、この曲も大人数グループの強みを聴かせている。つづく3曲目の「Banger」では4つ打ちのクールなトラックに抑制の効いたボーカルが映える。歌い上げない肩の力を抜いたやわらかなトーンが印象的だ。
ラストを飾る「WEEKEND」はブライトなピアノと太いベースラインが楽曲を引っ張るしっとりとしたバラード曲。メロディアスな歌唱が堪能できるLDHマナーのR&Bチューンとして非常に満足度が高い。「Banger」のクールさと対照的なこってり感がラストの余韻をふくらませる。
どの曲も「手堅い」という印象で、サウンドやパフォーマンスに新奇さがあるわけではない。「PHOTOGENIC」のキャッチーなフックやシャッター音のギミックもトリッキーというよりは、もはや現代のダンス&ボーカルグループの音楽としてはウェルメイド。しかしグループのカラーが明確で、クオリティも盤石。息の長い活動を期待したくなる地力が感じられるEPだ。『iCON Z』の第一章で結成されたLIL LEAGUE、第二章から誕生したKID PHENOMENON、WOLF HOWL HARMONYといった同世代のLDH所属グループもふくめ、新しい世代のボーイズグループが盛り上がっていくことに期待したい。
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