水曜日のカンパネラ、あいみょん、アイナ・ジ・エンド、NiziU、ハンブレッダーズ、INI……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は水曜日のカンパネラ「幽霊と作家」、あいみょん「リズム64」、アイナ・ジ・エンド「宝者」、NiziU「Memories」、ハンブレッダーズ「DANCING IN THE ROOM」、INI「LEGIT」の6作品をピックアップした。(編集部)

水曜日のカンパネラ「幽霊と作家」

 “婚活中の小説家のもとに、元カレにしてクズ男がいきなり幽霊となって出現。なぜか二人は力を合わせて婚活に突き進む”というユニークすぎる設定のドラマ『婚活1000本ノック』(フジテレビ系)の主題歌は、水曜日のカンパネラの「幽霊と作家」。場面ごとにガラリと音像とビートを変化させながら、ドラマのストーリーにきちんと寄り添いつつ、〈ときめきのゲシュタルト崩壊〉といったキャッチーでストレンジなフレーズを散りばめたこの曲には、水カンの独創的ポップネスがよりわかりやすく表出している。特筆すべきは詩羽のボーカル。奇天烈なシチュエーションと“理想のパートナーを見つけたい”という思いを的確に表現した歌からは、シンガーとしての確かな向上が感じられる。(森)

水曜日のカンパネラ『幽霊と作家』Lyric video

あいみょん「リズム64」

あいみょん「リズム64」

 心地よく跳ねるリズム、瑞々しい彩りを感じさせるシンセの音色、そして、しなやかな解放感をたたえたメロディ。あいみょんの新曲「リズム64」は、聴く者の心と身体に快い刺激を与えてくれるポップチューンだ。インナービューティーブランド『資生堂ビューティーウエルネス』のオフィシャルソングとして書き下ろされたこの曲で描かれているのは、常に選択を続けながら進んでいく人生。強い確信なんて持ちようがないし、世の中の価値基準も大きく変わり続けている。それでも私たちは何かを選び、日常を重ね、人生を作り上げているーー。聴き心地はとても気持ちいいが、歌詞の内容はちょっとシリアスであり、しっかりとした普遍性を帯びている。現在の彼女の充実ぶりがはっきりと伝わる楽曲だと思う。(森)

アイナ・ジ・エンド「宝者」

アイナ・ジ・エンド「宝者」

 ドラマ『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』(TBS系)主題歌としての書き下ろし。作詞はアイナ、作曲はアイナと河野圭の共作、編曲は河野が手がけている。「今までにないほどまっすぐ歌うことを意識しました」とは本人のコメントで、聴きやすいメロディ、わかりやすく優しい言葉選び、美しいストリングスのアレンジなど、ポップスとしての普遍性を追求した一曲になった。いつものクセに頼らないことを意識したのだろう。〈掠れずに伝えたい〉とは歌詞に出てくる一節だが、高音域で炸裂する掠れ声はこれまで彼女の確かな魅力だった。しかし、この曲のハイライトとなる〈いつかの約束〉のメロディと、どこまでも伸びやかな歌唱はどうだ。こんなアイナ、初めて聴いた。(石井)

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