Kroiの初日本武道館公演で味わった圧倒的な自由 「もっと高みへみんなを連れていく」歌に乗せた誓い
ここで“長谷部がセトリを間違えた”という衝撃(?)のトークが炸裂。「11(曲目)と15(曲目)入れ替えます」「業務連絡すぎるだろ」「リハかよ(笑)」という普通に考えたらあり得ない話を楽しそうにしている。こんなアクシデントにも慌てず騒がず、なんなら笑顔でライブを進めるタフさにも驚かされた。
「Never Ending Story」からはメロウ&スロウな楽曲が続いた。その中心を担っていたのはもちろん内田のボーカル。鋭利で攻撃的なラップ、ソウルフルなシャウトもフロントマンとしての大事な要素だが、繊細なメロディを紡ぎ、観客をゆったりとしたグルーヴのなかに巻き込む歌心もまた彼の大きな魅力だ。
15曲目の「Pixie」から再び会場の熱気を上げていき、「ブチブチにアガってください! こっからパーティしますよ」(内田)という言葉に導かれた「Network」からライブは後半へ。曲の途中のブレイクで「……そういえばインディーズのとき、ここで喋ってたよね。いろんなこと思い出してきた(笑)」(内田)としみじみしたトークを挟みながらラップ、ギターソロへと突き進む。さらにアジアン的エキゾチズムと独特のいなたさが絡み合う「selva」(長尺のファンキーなベースソロもカッコいい!)、極上のバンドグルーヴとともに観客がコーラスパートを合唱した「HORN」、そして、切なくも美しいミディアムバラード「WATAGUMO」へとつなげ観客の心と身体を揺らしまくった。
本編ラストは「Shincha」。洗練と快楽を併せ持ったバンドサウンドに乗せ、内田が観客に向かって「Kroiをはじめて5年、6年? みなさんのおかげで武道館に立つことができました。ありがとうございます」と感謝を告げる。「(武道館ライブを)発表したとき“まだ早いでしょ”ってけっこう言われたんですよ。我々としては“やっと武道館か”という感じです、ホントに。Kroiは”行けるところまで行く“のが目標。もっとデカいステージでみなさんと踊れたらと思ってます」という言葉も。そこにあったのは感傷や達成感ではなく、”こんなもんじゃないから“という明確な意識だった。さらにソウルフルなメロディとともに「もっと高みへ。みんなを連れていくから」というラインを奏で、ライブはクライマックスを迎えた。
アンコールでは「Juden」「Balmy Life」とライブで鍛えられたアンセムを連発し、さらなる熱狂を生み出した。最後は「Polyester」。2019年リリースの初のフィジカル盤のタイトルトラックを響かせ、記念すべき最初の武道館は幕を閉じた。
ライブ終了後、「クロイ探検シリーズ」(第961話 「荒れ狂うジャングルの奥に潜むダーマス族の正体とは!」)と題されたオモシロ映像のなかで3rdアルバム『Unspoiled』のリリースと全国10大都市ツアー『Kroi Live Tour 2024』の開催が告知されると、会場は大きな歓声と拍手で包まれた。初の武道館公演をいつも通りのカッコよさとヤバさで貫いたKroiは、自らの本質をまったく損ねることなく、さらなる未来へと突き進む。ブレることなく“行けるところまで行く”を掲げ続ける彼らの次のアクションを心待ちにしたい。
■セットリスト
1.Fire Brain
2.Drippin' Desert
3.shift command
4.夜明け
5.Mr. Foundation
6.Sesame
7.Monster Play
8.Page
9.Hyper
10.侵攻
11.Astral Sonar
12.Never Ending Story
13.risk
14.帰路
15.Pixie
16.Network
17.selva
18.HORN
19.WATAGUMO
20.Shincha
En1.Juden
En2.Balmy Life
En3.Polyester
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