Vaundy、キタニタツヤ、JO1、Creepy Nuts、スキマスイッチ、ヨルシカ……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「タイムパラドックス」、キタニタツヤ「私が明日死ぬなら」、JO1「Your Key」、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、スキマスイッチ「Lovin' Song」、ヨルシカ「晴る」の6作品をピックアップした。(編集部)

Vaundy「タイムパラドックス」

 2020年代前半における最重要アルバム『replica』(2023年11月リリース)のインパクトがさらに強まるなかで届けられた新曲「タイムパラドックス」は、3月1日に公開される『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』の主題歌。楽曲の軸になっているのは、クラシカルな弦楽器の響きから連なる、愛らしくて軽やかなピアノの旋律。ゆったりとしたテンポのなかで穏やかで耳馴染みがいいメロディが紡がれ、小さな子どもでも自然に楽しめる楽曲となっている。歌詞にも難しい言葉はまったくなく、まさに世代を超えた普遍的なポップソングと言えるだろう。〈笑っててほしいから〉というワードに象徴される、“この曲を聴いた子どもたちの未来が明るいものであってほしい”という思いも心に残る。そのメッセージは『ドラえもん』という作品と強くリンクすると同時に、ポップミュージックの大切な役割でもあると思う。(森)

タイムパラドックス

キタニタツヤ「私が明日死ぬなら」

私が明日死ぬなら / キタニタツヤ - Promise Me / Tatsuya Kitani

 ニューアルバム『ROUNDABOUT』の1曲目。アルバム2曲目が『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でも披露した「青のすみか」なので、まずタイトルも強烈なこの曲から聴かせることに意味があるのだろう。もし明日死ぬなら、の前提に立ち、数々の後悔や呪いの言葉を吐き出していく前半から一転、最後のサビになると「それでも、もし生きていたなら、どれだけ素敵なことがあるかわからないよ?」というイメージを精一杯広げていく。歌詞だけでなく歌唱の熱量そのもので生を肯定するさまに胸を打たれる。メロディはルーツのひとつであるASIAN KUNG-FU GENERATIONを彷彿とさせるもの。鍵盤やストリングスでアレンジしてはいるが、間違いなくロックの熱量を持った一曲だ。(石井)

JO1「Your Key」

JO1 | 'Your Key' Teaser (TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』オープニングテーマ)

 初のアジアツアー&初の単独ドーム公演開催、2年連続で『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出場するなど、昨年、さらなるスケールアップを遂げたJO1。2024年最初の楽曲「Your Key」は、アニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』(TBS系)第2クールOPテーマとして制作された楽曲だ。心地よく飛び跳ねるシンセベース、サビに入った瞬間にシンプルな4つ打ちに変貌するトラック、そして、メンバーの個性やセンスを活かしたボーカル/ラップ。レトロフューチャー的な音像を含め、現在のJO1のスタイルをさらにアップデートさせた楽曲と言えるだろう。〈運命のDoor 掴もう It’s Your Key〉をはじめとする、明るい未来へと踏み出そうとする姿を描いた歌詞は、アニメの物語はもちろん、JO1のキャリアとも重なって映る。(森)

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