Vaundy、キタニタツヤ、JO1、Creepy Nuts、スキマスイッチ、ヨルシカ……注目新譜6作をレビュー
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」
TVアニメ『マッシュル -MASHLE-』(TOKYO MX)第2期オープニングテーマとなる書き下ろし新曲。前シングル曲「ビリケン」のテンションを引っ張るような激しいビートから始まり、途中から入ってくるスパニッシュ調の旋律が心躍るポップネスを運んでくる。造語のタイトルは普通にカタカナで読めば「ブリング・バン・バン・ボーン」だが、実際の響きは「ブリンッ! バンバン、ボウン!」に近い。要は「ッ!」の勢いと、そこに続く破裂音のグルーヴが、意味や理屈を超えた快感を呼び込むのだ。歌うのがとにかく楽しい一曲。強気のボースティングと妙に笑えるユーモアの共存はさすがで、むやみやたらと低音を強調しないところも曲の軽やかさに繋がっている。(石井)
スキマスイッチ「Lovin’ Song」
昨年デビュー20周年を迎えたスキマスイッチの新曲「Lovin' Song」は、ドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日)主題歌。スキマスイッチと『おっさんずラブ』のタッグは、ドラマ『おっさんずラブ』、映画『劇場版おっさんずラブ〜LOVEorDEAD〜』主題歌「Revival」に続き2曲目だ。バンドサウンドと弦楽器を融合させたピュアでエモーショナルな音像は、スキマスイッチの真骨頂。感情の起伏をナチュラルに描くメロデイと緻密に構築されたコード構成もそうだが、“リスナーフレンドリーでありながら、音楽的には高度”という絶妙なバランス感覚もさらに向上している。ジェンダーや性的指向に関わらず、すべての人の愛の在り方を照らし出すような歌詞も素晴らしい。聴きようによっては音楽のことを歌っているように解釈できる言葉選びもスキマスイッチらしい。(森)
ヨルシカ「晴る」
TVアニメ『葬送のフリーレン』(日本テレビ系)オープニングテーマとなる新曲。ポストロック風のギターから始まり、一語一句を丁寧に伝えるsuis(Vo)が歌う穏やかなメロディが響き出す。ここまではいつものヨルシカだが〈晴れに晴れ、花よ咲け〉と力強い言葉が飛び出すサビに生々しい感情の発露を感じ、そのことに驚いた。物語を綴るための歌声ではなく、聴き手に強いメッセージを渡そうとする意思を持った歌声。顔を出さないことや自分語りをしないこと、その代わり大量の文学作品から引用した物語性が高いことなど、ヨルシカはあくまで芸術至上主義を貫いてきたが、この曲は何か根幹が違うのではと思わされる。生き生きと歌うsuisの表情が見えてきそうだ。(石井)
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