超特急、予想外の連続で8号車を魅了 ソロコーナーでも沸かせたぴあアリーナMM公演

超特急ぴあアリーナMM公演レポ

 12月9日に始まった超特急のアリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2023 T.I.M.E -Truth Identity Making Era-』が24日、大阪城ホール公演で幕を閉じた。予想外の連続で今ツアーもファンである“8号車”を魅了した9人。本稿では10日に開催されたぴあアリーナMM公演をレポートする。

 今回のツアータイトル“T.I.M.E”になぞらえてメインステージには大きな時計の文字盤が掛かっており、2本の針が真上を指してぴたりと重なるといよいよライブの始まりだ。一曲目は初披露の新曲「Countdown」。超特急の2023年のテーマであった“Cool & Stylish”の集大成とも言えるような、洗練されたパフォーマンスで魅せる一曲だ。続くは「Secret Express」。見事に揃ったコールやペンライトの動きと、キレがありながらもキャッチーで真似できる振り付けでこれぞまさに超特急のライブと言えるような空間となった。メンバーの名前が含まれる粋なラップの9人ver.は8号車の念願だっただろう。

 ツアーのサブタイトルには“それぞれの個性の確立”という意味が込められており、今回のライブではメンバー一人ひとりのソロコーナーが設けられた。まず始まったのはユーキのソロだ。“赤髪ユーキ”は冬の季語。今年も真っ赤に染まった髪は火傷しそうなほどに燃え滾る彼の魂をそのまま映し出したようだ。赤い光が照らす花道を優雅に歩く姿は先ほどまでの熱いダンスが夢だったのかと疑うまでの静けさを帯び、ひりつくような支配力があった。

 センターステージで始まった「Time Wave」では正面を次々と変えて360°全ての観客を魅了していき、続くはマサヒロのソロ。シンプルな音に効果音を乗せたり、途中でテンポを速めたりと確実なスキルに遊び心をプラスした彼のダンスは観る人を飽きさせず、次の「KNOCK U DOWN」「MORA MORA」へと繋いだ。

 MCを挟んで始まったのはアロハのソロ。前回のツアーの最終公演で「まだ本当の僕を出せていない。二年目は自分と超特急を上手く中和できるように頑張りたい」と涙ながらに語っていたアロハ。弾けるようなパッションを放出しながらバックダンサーとグルーヴを共有する姿は、己の得意分野を超特急のパフォーマンスのスパイスとして溶け込ませているように見えた。続く「DJ Dominator」ではミラーボールの煌めきで会場が一瞬にしてクラブに様変わりし、心地良い音楽に全員が身を委ねる。そして「We Can Do It!」では誘うような眼差しを漂わせ、時にはメンバー同士で目線を絡ませる姿に神聖な美しさすら感じられた。

 カイのソロではタカシの歌声とともに「Chill out @JP」を披露。ステージを自由に動き回りながら目線の移ろいや些細な仕草から色気を零す姿にうっとりする時間だった。ステージにギターとピアノを迎えて始まったのはシューヤのソロでの「refrain」。大切な人へのもどかしく切ない思いが描かれたこの曲だが、シューヤの丁寧で伸びやかな歌声からは暗闇の先に光が見えるようなひたむきな希望が感じられ、曲に新たな顔を作った。続くタカシのソロでは「小さな光」を披露。時に声を震わせ時に力強く歌う彼の感情が会場に伝染し、歌詞が心に沁み込むような歌唱だった。

 そして9人での「Starlight」「Billion Beats」へ繋がる。「Billion Beats」の落ちサビでは8号車の美しく揃った合唱にタクヤが目頭を押さえ、涙の代わりに「ありがとう」の一言を零した。タカシがひとりで見つけた小さな光から9人で星明りを見つけ、その億千万の光を鼓動に変えて共有していくようなセットリストに脱帽だ。

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