Chevon、音楽シーンを蹂躙する“大行侵”の始まり 熱狂が観客を飲み込んだ最新ツアー東京公演

Chevon、対バンツアーを観て

 圧巻のパフォーマンスで高揚するフロアへ、続けて「Banquet」を投下。Chevonというバンドやライブの在り方そのものを提示したような、メッセージ性の強い歌詞を届ける。彼らのエネルギーが伝播したフロアでは、前方から後方、そして柱の後ろまでほぼ全て観客が踊り出し、その力強い音楽に身を委ねていた。

 熱くなりすぎたフロアを冷ますように中間SEを挟み、切ない青春のラブソング「サクラループ」から、「セメテモノダンス」へ。人生の苦悩を切々と語りながらも、サビでは〈敢えて明るい曲調で歌って せめて君だけでも踊らせるよ〉と切実な思いを乗せて歌い上げる。一人ひとりに語り掛けるように歌う谷絹や、その横で共に優しい眼差しをフロアへ向けるオオノとKtjm。その姿に救われた観客が、会場のどこかにきっと居たはずだ。

 求心力の高いバラードソング「占っていたんです。」から、「クローン」で再びボルテージは急上昇。パワフルなプレイとメンバーの煽りで熱気が渦巻く中、さらに「アイシティ」、「antlion」とアッパーな楽曲を続けて披露する。観客は、タオルを回したり手拍子を鳴らしたり拳を突き上げたりと、一体感のある盛り上がりを見せた。

 本編ラストは、「光ってろ正義」。すべてを出し尽くすように、エネルギッシュなパフォーマンスを見せ、この日集まったすべての観客へ彼らなりのエールを送る。曲中に「もっと来てよ! もっと来て!」と貪欲に求める谷絹の思いに応えるよう、観客は一斉に飛び跳ね、声を合わせて歌い、この日最高潮の盛り上がりを見せた。

 熱い声援に応えて始まったアンコールでは、2024年7月に初のワンマンツアー『冥冥』の開催を発表。「みんなのおかげで東京公演はLIQUIDROOMで開催します!」と告げると、あたたかい拍手が送られた。

 最高の空気の中、「No.4」を披露。谷絹は「決まった歌詞を歌ってるんじゃない、今本当に思ったことを歌ってるから。覚えておいて」と宣言し、素直な気持ちを歌にのせて今夜限りの言葉を届ける。そしてラストの曲へ……と思ったところで、谷絹が急遽ストップをかけ、「ワガママでごめん、もう一回「大行侵」やらせて!」と告げ、なんとこの日2度目の「大行侵」がスタート。思わぬサプライズに観客は歓喜し、フロアを揺らす。その様子に、谷絹は「よくできました!」と満足そうな笑顔を見せた。そしてラストは、「革命的ステップの夜」。ダンサブルなビートで踊らせ、未来への希望を託すような歌詞で光を届けた。

 唯一無二のパフォーマンスと存在感が放つカリスマ性、音楽や言葉を通してリスナーの心に寄り添う姿勢。その2つを併せ持つChevonは、まるでヒーローのようなアーティストだ。この先、彼らを特別な存在として深く愛するリスナーがたくさん生まれていくだろう。

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