再燃する“ケイドロ”、BLACKPINK JISOO 夢の共演、『グラミー賞』での歴史的快挙まで――韓国トレンドレポート 2026年2月号
K-POPや韓国ドラマにとどまらず、2026年の韓国カルチャーはアート、ファッション、フード、ストリートまで多彩な分野を横断し、グローバルでの存在感をさらに強めている。この連載では音楽・ファッション・食が交差する“今”の韓国を毎月スナップしていく。
今号では、Z世代の間で自生的に広まっていた“遊び”をラッパーのイ・ヨンジが巨大エンターテインメントへと昇華させたケイドロ=“경도”(キョンド)、BLACKPINKのJISOOが長年の愛を実らせたハローキティとのコラボレーション、韓国のデザイナーズブランド・SONGZIOとATEEZのSEONGHWAが美学を共鳴させたキャンペーン、K-POPの歴史を塗り替えた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(Netflix)の快挙、そして仁川国際空港の風景を変えたラーメンライブラリーまで、1月の韓国を象徴する5つのトピックを深層レポートする。
若者の間で再燃する“경도”(キョンド)、イ・ヨンジの呼びかけに10万人が応募
ブームの発端は、2025年後半から韓国の大学キャンパスや漢江公園で散見されたある奇妙な光景だった。スマートフォンを置いてひたすら走り回る若者たち。彼らが熱中していたのは、日本の“ケイドロ”、“ドロケイ”にあたる伝統的な遊び“경도”(キョンド)=警察と泥棒”(경찰 과 도둑)だった。複雑なルールもデジタル機器も必要としないこの童心への回帰が、20代、30代の間で流行している。
この動きをキャッチし、メジャーな社会現象へと押し上げたのが、“Z世代のアイコン”とも呼ばれるラッパー、イ・ヨンジだ。彼女がSNSで「大規模な『警察と泥棒』をやりたい」とつぶやくと、その投稿は瞬く間に拡散され、わずか1週間で約10万人もの参加希望者が殺到。1月下旬、選抜された精鋭メンバーがソウルに集結し、ナ・ヨンソクプロデューサーが率いるYouTubeチャンネル『チャンネル十五夜』(『Channel Fullmoon』)チームの制作支援のもと、大規模な追撃戦が繰り広げられた。このイベントは単なる遊びで終わらず、イ・ヨンジが私財と収益を合わせた計3億ウォンを「韓国白血病子ども財団」などに寄付するという美しいエンディングを迎えた。
BLACKPINK・JISOO、ハローキティへの長年の愛が結実した“運命のコラボ”
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BLACKPINKのJISOOといえば、ファンの間では有名な“ハローキティマニア”だ。デビュー当初からキティのスマホケースやマスクを愛用し、空港ファッションには常にキティのチャームが登場、誕生日にもキティケーキでお祝いする姿は、彼女のアイデンティティの一部となっていた。その長年の“片思い”がついに実を結び、サンリオとの公式コラボレーションが実現した。
1月中旬、ソウルの島山公園付近で開催されたコラボ記念ポップアップには、JISOOの愛情が凝縮されていた。今回のグッズは、JISOOが実際にデザイン監修に参加。オールブラックとオールピンクのキャラクタードールや、JISOOのオリジナルキャラクターとキティが共演するバッグなど、彼女の特徴を反映し、ウィットに富んだデザインが印象的。この特別なアイテムを求め、連日氷点下10度を下回る寒波の中、早朝から建物を囲むほどの「オープンラン」行列ができた。ポップアップ終了後の現在は、オンラインでの一般販売も開始されており、世界中のファンによる争奪戦が続いている。
『SONGZIO』:写真家 チョ・ギソク、ATEEZ・SEONGHWAと描く“自我の叙事詩”
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1993年の設立以来、パリとソウルを拠点に活動し、東洋的なシルエットと前衛的なデザインで知られる韓国のハイエンドブランド「SONGZIO」が、26SSキャンペーン「POLYPTYCH」を公開した。今シーズンは、ブランドと縁の深い二人の特別なクリエイターと手を組んだプロジェクトとして注目を集めている。
撮影は、DEANからJENNIEまで幅広いアーティストとのコラボレーションでも知られ、世界的なブランドからラブコールを受ける写真家 チョ・ギソクが担当。彼とSONGZIOのタッグは今回で5回目を迎える。そしてモデルには、圧倒的なパフォーマンスとビジュアルを誇り、同ブランドのグローバルアンバサダーを務めるATEEZのSEONGHWAが抜擢された。
本キャンペーンは、複数のパネルが連なって一つの絵画を成す多面画「ポリプティック」(Polyptych)をテーマに掲げ、過去と未来、現実と幻想が交差する歪んだ時間の流れの中で分裂、衝突、再構成されていく“自我の叙事詩”を描き出している。SEONGHWAは時空の境界を行き来する旅人として見る者を強烈に引き込み、SONGZIOとチョ・ギソクの芸術的な世界観を見事に体現してみせた。
『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』、『グラミー賞』も制覇した歴史的快挙
Netflixのアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が、K-コンテンツの歴史を塗り替えている。K-POPガールズグループが悪魔退治をするという内容の本作は、1月11日(現地時間)の『第83回ゴールデングローブ賞』で「主題歌賞」と「長編アニメーション賞」の2冠を達成したのに続き、2月1日(現地時間)の『第68回グラミー賞』でも、劇中歌「Golden」が「最優秀映像作品楽曲賞」(Best Song Written for Visual Media)を受賞する快挙を成し遂げた。
今年の賞レースは、韓国関連作品がかつてないほど存在感を示したシーズンとなった。『ゴールデングローブ賞』では、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の3部門ノミネートに加え、パク・チャヌク監督の映画『しあわせな選択』も計3部門に名を連ねた。続くグラミー賞でも、「Golden」やROSÉとブルーノ・マーズによる世界的ヒット曲「APT.」が主要部門である「年間最優秀楽曲」(Song of the Year)にノミネート。惜しくも主要部門の受賞は逃したものの、授賞式ではROSÉとブルーノがオープニングで「APT.」を披露して会場を沸かせた。
出国直前まで「漢江ラーメン」を――仁川国際空港に誕生した“ラーメンライブラリー”
韓国を訪れる観光客にとって、漢江公園で専用調理機を使って即席麺を煮て食べる“漢江ラーメン”は欠かせない体験の一つだ。このB級グルメ的な楽しみが、仁川国際空港の最もプレミアムな空間に進出した。
大韓航空は食品大手オットギと提携し、1月中旬より仁川国際空港第2ターミナルの大韓航空のプレステージ東ラウンジ内に“ラーメンライブラリー”を新設。ここでは壁一面にジンラーメンやヨルラーメンなど、オットギの代表的な袋麺が本棚のように陳列されており、利用客は好みのラーメンを選んで、設置された自動調理機でその場で調理することができる。
これまでラウンジでのラーメン提供といえばカップ麺が主流だったが、“袋麺を煮込む”という韓国式スタイルを導入した点が画期的だ。搭乗直前まで韓国の味を本格的に楽しめるとあって、旅行客がSNSに投稿する“認証ショット”が絶えない新たなホットスポットとなっている。


























