NUMBER GIRL×ZAZEN BOYS、Galileo Galilei×BBHF……同一メンバーならではの意義深い対バン

 現行の音楽シーンで数多くのバンドを掛け持ちしているアーティストと言えば川谷絵音(Vo/Gt)だろう。彼がボーカルを務めるindigo la Endとゲスの極み乙女はデビュー初期から対バンすることも多く、近年は『馳せ合い』というツーマンライブを開催している。

ゲスの極み乙女「スローに踊るだけ」

 indigo la Endはセンチメンタルなメロディとエモーショナルなギター、そして表情豊かなリズムが支える上質な歌が特徴だ。そしてゲスの極み乙女は軽妙洒脱なグルーヴによるダンサンブルなサウンドや、キャッチーさとユーモアを全面に押し出した楽曲が持ち味である。一方で、常に実験精神を忘れることなく、刺激的な楽曲を作り続けているのはこの2組の共通点である。同一ソングライターのバンドながら互いに切磋琢磨し合うような関係性と言えるだろう。

indigo la End - 邦画 (from 日本武道館公演「藍」)

 また向井秀徳(Vo/Gt)も多くの形態で自分自身が所属するバンドやユニットと対バンを行っている。2021年5月4日、日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にて無観客公演として行われた『THE MATSURI SESSION』ではNUMBER GIRLとZAZEN BOYSが共演。切れ味鋭いオリジナリティ溢れる楽曲で現代のロックシーンに大きな影響を与えたNUMBER GIRLが2019年に復活したことで実現したこの対バン。NUMBER GIRLの後期に芽生えたリズム重視の濃厚なサウンドを引き継いだZAZEN BOYSとの共演は、向井秀徳の過去と現在がぶつかり合う劇的な瞬間だった。

ZAZEN BOYS - COLD BEAT @ THE MATSURI SESSION

 また翌年の同イベントではZAZEN BOYS、KIMONOS(LEO今井と向井のユニット)、そしてソロによる弾き語りの向井秀徳アコースティック&エレクトリックとして共演。その表現欲求は限りなく、フォームは自由そのもの。それぞれの個性がお互いをより際立たせるような異端さが向井秀徳のアウトプットにはある。

NUMBER GIRL - OMOIDE IN MY HEAD @ “THE MATSURI SESSION”

 同じメンバーを擁するバンド同士と括ってはみたが、その存在意義はそれぞれであり、音楽性も近接するものから、かなり遠いものまで様々である。そんなバンド同士が共演する場でこそ実感できる、表現の奥深さや音楽の豊かさがきっとあるはずだ。

※1:https://e.usen.com/interview/interview-original/galilei-galileibee-and-the-whales.html

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