三代目 J SOUL BROTHERS、再結集したメンバー7人の自由なやり取り ドームツアーにも高まる期待

「13年間オリジナルメンバーでやってきたじゃないですか」

 10月28日にABEMAで配信された特別番組『密着36時間 三代目JSBを2日間自由にさせてみた』で、富士急ハイランドの絶叫系アトラクション・ZOKKONに乗ることを渋る小林直己に対して、ボーカル・今市隆二がさりげなく発したフレーズである。三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)がデビューしたのは、2010年11月10日。今年で丸13年経つ。その間が、まるでこのフレーズを聞くための年月だったのかとさえ思ってしまう。それくらいのパンチラインではないか。

 同企画が配信されたのは、9年ぶりとなる単独アリーナツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2023 “STARS”〜Land of Promise〜』と11月開幕のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』のちょうど合間。言わば、幕間的なブリッジ期間に、超多忙を極めるメンバー7人が、デビュー合宿で汗を流した縁の山中湖周辺でアウドドアに興じる。しかも揃って泊まりで出かけることが意外にも初めてだという。“再始動”と銘打たれた2023年にはまたとないミラクルな企画だ。

 三代目JSBについてはライブアーティスト以外のバラエティな面も特筆すべきなのだ。昨年はLDHが独自の動画コンテンツを配信する「CL」で、パフォーマー・山下健二郎の古民家にメンバーが集合し、バーベキューを楽しむ「健二郎の古民家で夏休み」が配信された。気が置けない同士の自由空間でのやり取りを何時間でも見ていたかった。それが大胆にも36時間に大幅拡大され、2日間にわたる三代目JSBのわちゃわちゃ感を視聴者も参加者のひとりのような気分で楽しめる。あぁ、これぞ三代目JSB。ぼくらもオリジナルなMATE(三代目JSBのファンネーム)なんだと再確認させてくれる。

『〜Land of Promise〜』として伏線回収

 このわちゃわちゃだけでパフォーマンスが成立してしまう気配すらある。2013年にリリースされた3rdアルバム『MIRACLE』のタイトル通り、三代目JSBとはミラクルな存在。一度もメンバーチェンジすることなく第一線での存在感を維持し続けてきたことは奇跡に等しく、メンバー一人ひとりの個性がこれほど粒立っていることも珍しい。バラエティ番組的なノリで好き放題散らかしているようで、ちゃんとひとつの方向性が示されるのも三代目JSB流儀。

 2021年12月26日、10周年ドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 “THIS IS JSB”』千秋楽公演に足を運んだぼくは、1日遅れのクリスマスソング(Wham!「Last Christmas」のEXILEカバーのカバー版)で、メンバー7人がサンタクロースの格好で再登場する光景を鮮烈に記憶している。このカバーが昨年(Last)の思い出としていつでも反芻できる仕掛けなのだが、だからこそ年を越してグループ活動がほとんどなかった2022年がさみしくて仕方なかった。

 でもソロ活動がメインになった2022年ですら愛おしく思えてしまったのは、その先に必ずグループ全体での活動が約束されているという絶対的な安心感が担保されていたからだ。それは実際に今回のアリーナツアーのサブタイトル『〜Land of Promise〜』として絶妙に伏線回収されている。ØMIが2ndフォトエッセイ『LAST SCENE』を発売したり、岩田剛典がブランニューシングル「モノクロの世界」をリリースするなど、2023年もそれぞれツアーの合間を縫う出色のソロは目立つが、個人的にはABEMA企画のクライマックス、戦慄迷宮で思い思いに絶叫するユニークなリアクション芸を今年のソロ活動のハイライトとしたい。

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