くじら、アルバム『野菜室』で書いた“成熟した一人暮らし” 言語化し続ける人生の大切さ
言語化しない人生って、終了時間を知らされていないランニングみたいで苦しい
――くじらさんにとって、“言語化”は大事なことですか?
くじら:すごく大事です。これをするために生きているといっても過言ではない。音楽を始める前から「こういう時に悲しくなるのはなぜだろう?」「というか、“悲しい”って何だろう?」ということを考えがちで、考えていないと、どんどん落ち込んでいってしまうような感覚があったんです。自分にとっては、ちゃんと答えを探し続けている状態でいることが大事。言語化しない人生って、終了時間を知らされていないランニングみたいで苦しいなと思っちゃいます。
――だけど、言語化し続ける人生もまた、終わりのないものだと思うんです。「野菜室」でも歌っているように、生きていると、生活のフェーズの変化に伴って新しい問いが次々と生じるし、同時に、自分の根底にずっとこびりついている問いもある。そして多くの人は、新しい問いの方で手いっぱいになってしまい、奥で眠っている問いにはなかなか目を掛けられない。自分の問いが全て解消された状態なんて、生きているうちには訪れないんじゃないかと思ってしまいます。
くじら:そうですね。
――その上で、「野菜室」では〈話がしたいよ、このままじゃ僕ら/もどかしさを言葉にできずに/発狂すらできないでいる〉と歌っている。このフレーズからは「発狂してでも、言語化していくんだ」というくじらさんの強い感情が伝わってきたのですが。
くじら:人生長くて飽きるから、問いがいっぱいあることは悲観することではないと思いつつ、「自分はちゃんと言葉にしていくし、その言葉がきちんと意味を持った状態で作品にして、自分が生きていた証にするぞ」と思っています。僕がいつ死んでも、必死で書いた言葉たちは音楽として残ってくれるので。それは、僕が生きていて喋り続けているのとニアリーイコールなので。そういう意気込みで音楽をやっています。いつだって遺作を書いているつもりです。
――一方、世の中には、言語化をそこまで重要視していない人も存在します。自分の中に湧いた感情や疑問を深掘りせず、何となく一様の単語で言い表してしまうような。
くじら:分かります。でも、大学で上手く人間関係を築けている人とか、一流企業にスルスルッと就職していく人とか、社会で上手くやっている人たちにはそういうタイプの人が多い気がしていて。僕はそんな世界では生きていけないので、早々にケリをつけておいてよかったなと思います。
――でも、そういう人と出会う機会はもちろんありますよね。
くじら:言葉の練度がひどい人に出会うと「なんて解像度が低いんだ」と思うこともありますし、学生時代はそういうところに対してすごくムカついていました。だけど今は、学生時代のように、関わりたくない人とのコミュニケーションを強制させられる場面がほとんどないから、嫌な気持ちになる前に自分から距離をとればいいだけの話だし、そういう人たちに舐められないような武装をきちんとできているなと思うし。なので、「お互い勝手に生きていこうよ」という気持ちでいます。「もしかしたら自分も、言語化なんてしなくてもいいのかもしれない」という感じで、そっち側に寄っていかないように気をつけつつ。自分は、自分に必要なことをやっている感覚があるので。
――お互いに違うフィールドで生きていけばいいんだと。それなら、向こう岸にいる人たちが社会で上手くやっているという事実に対して、ムカつくことも今はありませんか?
くじら:うーん……そんなことないかもしれないです……(笑)。
――ですよね。そうでなければ、〈あなた文化の皮膚を撫でて満足? ねえ、、、/あ、そりゃそれで生きていけんのか/否定する気ないけど目眩止まんない〉(「レプリカ」)なんて歌詞は出てこない(笑)。
くじら:(笑)。ムカつき終わることはないけど、今は冷凍中なのかも。
――全ての芸術にはそういう側面がありますが、くじらさんの曲もまた、ある人にとっては救いの音楽であり、ある人にとっては理解のできないものだと思うんです。その上で、向こう岸にいる人たちにどう音楽を届けようかと、考えたことはありますか?
くじら:それはこの活動を始めた時から考えています。向こう側の人の方がきっと母数が多いから、売れていくにはどうしても、そういう人たちにも聴いてもらわないといけないよな、と。自分の考えとしては、歌詞に関しては「分かる人に伝わればいい」という感覚で、サウンドでみんなのことを楽しませられたらいいなと思っています。「何言っているか分からないけど、なんかノレる」という感じで楽しんでもらって構わない。くじらの曲に“歌詞は暗いけど曲調はポップ”というものが多いのは、きっとそういうことだと思います。
■リリース情報
アルバム『野菜室』CD購入:https://whaledontsleep.lnk.to/YASAISHITSU
【完全生産限定盤】¥7,300+tax :https://whaledontsleep.lnk.to/YASAISHITSU_gentei
豪華パッケージ仕様
CD+ショルダーバッグ+ジッパーケース
【通常盤】¥3,300+tax:https://whaledontsleep.lnk.to/YASAISHITSU_tsujo
CD only
▼『野菜室』収録曲▼
1.FRIENDLY・NIGHTMARE
2.レプリカ
3.東京
4.春と修羅
5.ひかりをためる
6.Hollows...
7.BOOK STORE
8.POOL.
9.白鳥
10.続・生活
11.夏
12.夕餉
13.私たち問いを抱えて
14.野菜室
▼店舗別特典▼
Amazon.co.jp(ECサイト):メガジャケ
楽天BOOKS (ECサイト):野菜室ジャケ写 アクリルキーホルダー
セブンネット(ECサイト):くじらロゴ 巾着
HMV&BOOKS(オンライン含む/一部店舗除く):くじらアー写 L判ブロマイド
Sony Music Shop:「続・生活MVオフショット 縦型ショート映像」
※2023/11/20(月)までに予約していただいた方が対象
※こちらの動画は、Sony Music Shop内マイページより確認可能
■応援店:「純喫茶 くじら」 コースター
応援店一覧:https://www.whaledontsleep.tokyo/shoplist/231122/
※全て数量限定・予約優先での先着順配布。
※特典は数に限りあり、無くなり次第終了。
※対象店舗は一部を除く。詳しくは各店舗まで問い合わせのこと。
■ライブ情報
『3rdワンマンライブ「野菜室」』
日程:2023年12月24日
会場:東京・恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 17:00 / START 18:00
チケット代:¥4500(ワンドリンク代別途必要)
主催、問い合わせ:ホットスタッフ・プロモーション
▷チケット購入:https://eplus.jp/whaledontsleep/
■くじら全曲プレイリスト「whale don't sleep 」
https://whaledontsleep.lnk.to/playlist
■関連リンク
Official HP: https://www.whaledontsleep.tokyo/
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