ENHYPEN、新たな姿でカムバックした韓国5thミニアルバム『ORANGE BLOOD』 リリース記念ショーケースレポ
ENHYPENが、5thミニアルバム『ORANGE BLOOD』発売を記念したメディアショーケースを11月16日に開催した。
まず司会者が登場すると、さっそくフォトセッションがスタート。メンバーのソロカットのあとにグループカットの撮影が続き、タイトル曲「Sweet Venom」内の人差し指を口元に当てる特徴的なポーズや、グループのシグネチャーポーズで応えた。7人が纏う衣装はスーツにロングコート、襟付きのシャツとシックな雰囲気で統一されており、これまでのENHYPENとはまた一味違った姿を見せてくれるのではないかという期待が高まる。
あらためてリーダー JUNGWONの掛け声で挨拶をすると、最初にコメントをしたのは最年少のNI-KI。集まった記者に感謝を伝えたあと、「6カ月のあいだワールドツアーをまわったり、日本でもシングルを出したりと、ありがたいことに忙しく過ごさせていただきましたが、新しいアルバムでまた一段階成長した姿をENGENE(ファンの呼称)の皆さんにお見せできるよう精一杯頑張ります」と韓国語、日本語の両方で伝え、続けてJAKEは「新しい姿をお見せできるアルバムなので楽しみにしてください」と英語でもコメントした。
「Sweet Venom」のパフォーマンスを初披露するためENHYPENが一度退席すると、同曲のMVが会場に流れ、そのまま暗転。カジュアルな衣装にチェンジした7人が再び登場した。ステージを見ると、タイトル曲としては今回が初となるイージーリスニング曲になっているぶん、トラックのシンプルさが彼らのボーカル力を示す楽曲だという印象を受ける。さらに、サビではフォトセッションでも見せた口元に人差し指を当てる振付があり、そこでは全員が立ち止まったまま首のアイソレーションだけでダンスを魅せる。ここでもシンプルゆえに一つひとつの動きの丁寧さ、少ない動きでも「かっこいい」と思わせる佇まいが求められるだろう。ENHYPENはこれらの課題をなんなく乗り越え、進化した姿を見せてくれた。シンプルなサウンドと振付を作ったこと自体が、彼らの実力あってのことだったのかもしれない。
パフォーマンスを終えたENHYPENが再びステージに戻ると、さっそくツアーとミニアルバムの準備を同時に進めてきたと語ったSUNGHOON。「皆さんに愛していただきたいという気持ちを込めて努力しました。記者の皆さんにも僕たちの努力が届くことを願っています」と続けた。さらに、K-POPボーイグループ史上デビュー最短での東京ドーム公演実現や『SUMMER SONIC 2023』への初出演など今年の活動を振り返る時間もありつつ、話題は『ORANGE BLOOD』のコンセプトへ。
『ORANGE BLOOD』では、“君”を忘れる罰を受けた少年が“君”の存在を自覚し、自分を捨てる犠牲まで覚悟した前作『DARK BLOOD』のビハインドストーリーが伝えられる。“君”と再会した少年はすべての出来事が初めてであるかのようにときめくが、永遠かと思っていた力を失い、世のなかのどんなものも無限ではないことを悟る。しかし、少年は生きているこの瞬間に忠実になれという「カルペ・ディエム(Carpe diem)」のように、最善を尽くし“君”を愛そうとする。『ORANGE BLOOD』では、このような少年の誓いを最もあたたかい色であるオレンジの光で見せていくのだという。
そして、少年と“君”の物語はENHYPENとENGENEの物語でもある。パンデミック以降、ENGENEに対する感謝と大切さを感じたENHYPENは「愛される資格」に対して自己疑念や不足感といった闇に直面した。それでも、両者の繋がりを邪魔する闇を乗り越えていきたいという想いが込められたミニアルバムに仕上がった。
また、タイトル曲「Sweet Venom」は、韓国語の原曲に加え英語バージョン、アメリカのシンガー Bella Poarchを迎えたバージョンと3つのバリエーションでのリリースとなる。「英語バージョンは初めてのトライで、韓国語の歌詞を訳すだけではなく、新しく作詞しました。違う歌詞と歌声を選んで聴ける楽しさがあると思います」とJAKEが語ると、作詞に参加したJAYも「これまでは個人的な感情で歌詞を考えていましたが、今回はチームに合う歌詞を考えながら作詞しました」と新たな挑戦になったことを窺わせた。パフォーマンスについては、JUNGWONが「ENHYPENといえばダークで強いイメージを思い浮かべる方が多いと思いますが、今回はほのかな色気とセンチメンタルな印象のダンスを用意しました」と説明。SUNOOもポイントとなるサビのダンスをあらためて説明すると司会者からリクエストが飛び、JUNGWONとNI-KIが代表してお手本を見せた。
その後は、不完全な愛をテーマにし、プロデューサー Pdoggとのコラボレーションを果たした収録曲「Still Monster」をパフォーマンス。NI-KIが「振付の構成が歌の優しい雰囲気を活かしてくれたと思います」「モンスターを表現するためにワイルドでダイナミックな動作をたくさん採用しました」と語った通り、ジャケットの肩を落としたり、余裕を持ってコンパクトなダンスを踊ったりと大人な表情を見せた「Sweet Venom」とは対照的なステージになっていることも印象的だった。だが、他のメンバー全員がステージから先に立ち去り、SUNGHOONがステージにひとり残るラストでは〈흉터 가득한 내게 너는 유일한 savior〉(傷跡いっぱいの私にとって、君は唯一のsavior)という歌詞にも表現される怪物の傷も想像させるような静かさも感じられる。