yama×是、互いの音楽性に惹かれる理由 分かり合えない葛藤と向き合ったコラボ制作を振り返る
yama×是、音楽以外でも通じ合う感性
――是さんはこれまで顔出しされていなかったこともあり、謎めいてましたよね? 最初から音楽家を目指していたのでしょうか?
是:絵を描いたり映像を作ったりするのが好きで、クリエイティブなもの作りをする職業に就きたいって、ずっと思っていました。今はボーカロイド中心で活動をしています。
――ボカロだと、どのあたりのソフトを使っているのでしょう?
是:ボーカロイドは初音ミクがメインで。あと、UTAUのカゼヒキですね。
――制作環境について、二人で会話することは?
yama:自分もイラストを描くので、「ストロボ」のMVをフルアニメーションで描こうとして、そのときに「ソフト何使っているの?」とか、「アニメーション書き出すとき何を使ってるの?」とか聞きました。
――では是さんから見た、yamaさんの第一印象はどんな感じでした?
是:私もそれこそ、yama名義で活動を開始された初期段階から追っていて。
yama:それが謎なんだよね(苦笑)。
是:どっちが先だったのかなって思うけど、自分の方が先に追ってたんじゃないかな。だって、(当時の)Twitterのフォロワー数が1,000人もいない頃から好きで。
yama:ああ、それはめっちゃ初期だね。
是:実際会って、その後電話しながら話を重ねていくうちに、内面が似通っている部分があるなって気づいたというか。歌声に惹かれていたのも、どこか似ている部分があったからなんだろうなって。ネット中心で活動していて好きなアーティストって何名かいるんですけど、yamaさんはずっと気になる存在でした。
――二人で共作するようになって、音楽以外で共通する話題とかありました?
yama:めちゃくちゃあるね。
是:それこそ、一度話し出すと止まらなくって。共通するのが音楽だったから、最初のうちは音楽について語ったけど。
yama:だんだん、「死んだら魂はどこに行く?」とかね。
是:答えのない話を永遠とするのが好きで。そこは共通しているよね。
yama:あとは一緒に山登ったよね。その間もずっとノンストップで話していて。
――すごい。yamaさんと山に登った……(笑)。ハイキングしていると頭の回転がよくなるから、いろいろアイデアも湧いてきそうですね。
yama:空気もいいですからね。最近よく登山しているんですけど、自然が好きなんですよ。
是:そこも共通していますね。私も自然が好きで。そんな話題からハイキングへつながったんです。まあ答えのないような、取り留めのない話も多いですけどね。お互いの価値観についてとか話したりしてます。
yama:あ、思い出した。映画『BLUE GIANT』、一緒に観に行ったよね。
――仲良いんですね。『BLUE GIANT』はクリエイター魂、プレイヤー魂を刺激されたんじゃないですか?
yama:映画館で泣いてたよね。くらっちゃって。
是:終わったあと、二人とも暗かったよね(苦笑)。
yama:カフェに入って、二人で「あのときどう思った?」ってシーンごとに話したりしました。
「誰も傷つかない作品はないからこそ、繊細に考えた」(是)
――濃いですね。そんなお二人がコラボした今回のプロジェクトを通して、音楽はどんなカルチャーや社会問題とも溶け合えるということを改めて教えてもらった気がします。「パレットは透明」のリリースにあたって、「ここは一番こだわったぞ!」というポイントがあったら今一度教えていただきたいのですが。
是:プロジェクトの内容を聞いたときに、まず、どんな作品であれ、誰も傷つかない作品ってないと思って。でも、今回のプロジェクトでは言葉の部分などを繊細に考えなければいけなかったので、いい意味で棘のない曲にしたいと思いました。そこは一貫していましたね。それこそ、最後の一文とかそうなんですけど。
yama:〈混ざらない個の色に染まったままの/僕にあいたい〉だよね。
是:〈君〉を〈僕〉に変えたり。最後の一文は、いちばん変更の多かったこだわった箇所です。
yama:最初は〈生まれた日のままの/僕にあいたい〉という言葉にしていて。自分はすごく好きなフレーズだったし、めちゃくちゃピュアだってことなんですよ。でも、今回のテーマに落とし込むには鋭利すぎるかもしれないし、受け取る人によっては違う捉え方になる可能性があるかもねって話して。そういうのがいっぱいありました。
あとはボーカルに関しても、表情のつけ方をこだわりながら歌っています。最初は吐き出しながらぽつりぽつりと、最後は自分に対しても、思い浮かべている〈君〉に対してもどんどん心を開いていくような。そんな過程を表現した曲になりました。
――まさにそうですよね。ちなみに、制作中に話題に上がった音楽アーティストってどなたかいましたか?
yama:「パレットは透明」を作っている最中は、ボカロPの椎名もたさんがずっと脳内にいました。もたさんに「パレットには君がいっぱい」という曲があって。でも、口には出してなかったんですよ。そしたらレコーディングの日に是さんが、「もたさんの曲でさ……」って言い出したから「えっ、マジ!」って思って。そこはシンクロしてましたね。
是:椎名もたさんはボカロPで一番ぐらいに好きで。yamaさんもそうだったから、そこも共通していました。
yama:もたさん以外には、ササノマリイさんとかね。
――それは話が止まらなくなりそうですね。では今後もyamaさんと是さんによる共作というかコラボは続いていきそうですね?
yama・是:続けたいと思っています!
――かぶった(笑)。
yama・是:(笑)。
■楽曲情報
yama デジタルSG「パレットは透明」
・作詞:是、yama
・作曲:是
ダウンロード/ストリーミング
https://yama.lnk.to/2qlupo
『Raising Awareness of NMOSD with yama』詳細
https://onemedia.jp/news/nmosd-with-yama/