NiziUの韓国デビューは成功? TWICE、Stray Kids、ITZYらJYPグループの日本デビューと比較

NiziU

 先の3グループが既存曲の日本語バージョンを中心としたアルバムで日本デビューしたのに対し、NiziUの韓国デビューにはJ.Y. Parkが作詞に参加した韓国語詞のリード曲「HEARTRIS」が用意された。「すでに韓国でヒットしているグループの日本デビュー」とは異なる状況とはいえ、あらためて韓国語の新曲を携えてデビューしたというところには、JYPエンターテインメントがNiziUをプッシュしていくのだという意思と、NiziUとして「K-POPシーンに乗り込んでいく」という本気度が窺える。

 さらに、リリース直前の10月2日に公開されたKangNamのYouTubeチャンネル『동네친구 강나미』(町の友だちカンナミ)には、MAKO、RIKU、AYAKAの3人が、10月10日にYouTubeで公開されたKBS KpopのYouTube番組『リムジンサービス』にはMIIHIが出演するなど、メディア露出の機会も多く、JYPエンターテインメントという韓国を拠点に持つ事務所に所属している利点もしっかりと活きている。

무한리필되는 K-국수에 문화 충격받은 강남의 일본 사촌들!? (with.니쥬) [동네친구 강나미]
[リムジンサービス] EP.83 NiziU ミイヒ | NiziU MIIHI | Paradise, One Last Time, 마음을 드려요, All For You

 楽曲自体もこれまでのNiziUのスタイルを継承しつつ、K-POPのトレンドに寄せすぎていないものとなった。たとえば、デビュー当初のITZYは“強い曲×強い女性像”を提示するガールクラッシュ時代の隙間を縫うように、ポップでフレッシュな曲に〈I wanna be me〉(「WANNABE」)といった意思を明示する言葉を入れた楽曲スタイルが当時は珍しく、それによってヒットを生んだと考えられる。同じく第4世代のIVEも、デビュー曲「ELEVEN」から「LOVE DIVE」「After LIKE」とエレガントなイメージの楽曲を続けてリリースしたことで、シーンにおいてひとつの伝統でもあるこのジャンルのガールズグループが好きなK-POPファンからの人気を得る形となったのだろう。NiziUも、こういった隙間を縫う楽曲でデビューしたことは幸先がいいのではないか。

ITZY "WANNABE" M/V @ITZY

 NiziUが韓国で音楽番組『SHOW CHAMPION』(MBC MUSIC)に出演した際には、BTSのJUNG KOOKやIVE、SEVENTEENを抑え1位を獲得した。だが、『SHOW CHAMPION』は他の音楽番組に比べ、音源のストリーミング再生による点数配分が少なく、事前投票における点数割合が高い。さらに、NiziU以外のアーティストたちの放送点数(同局への番組出演回数などを換算)が0点だったことや、デビュー曲ということもありファンによる事前投票(活動拠点である日本からの投票も可能)で1位を獲得するなど、NiziUにとって有利な要素が多くあったのも、首位を獲ることができた要因だろう。日本のグループが韓国でのデビュー曲で成績を残せたこと自体は自信を持っていいことだが、そういったラッキーな面があったこともまた事実だ。

[쇼챔 1위] 11월 2주 챔피언송 <NiziU - HEARTRIS> 앵콜 Full ver. l Show Champion l EP.499 l 231108

 ガールズグループは、NiziUの先輩グループでもあるTWICEやITZYもそうであったように、ファンの心を掴んだまま活動を続けるのに必要なコンセプトチェンジを経ることが非常に難しい。活動が4年目に突入したNiziUも、そんな難しいK-POPシーンでの滑り出しのいいデビューを追い風に、時代の流れを乗りこなしながら日韓のファンの心を掴み続けることを期待したい。

※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/56691/2
※2:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/107427/2

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