ゴホウビ、新たな一歩を踏み出すための始まりの日 メジャーデビュー発表した2年越しのWWWワンマン
「2年待ったからこそ、今のゴホウビ最高だぜって胸張って言えます。全部出しきるけん、すぐに終わってしまうと思うけど、みんな、一瞬一瞬をしっかり心に焼きつけて忘れられない日にしましょう!」(Cody・Vo/Gt)
ゴホウビが4度目のワンマンライブ『約束の日〜2020.4.27〜』を9月17日、渋谷WWWで開催した。副題にある通り、元々2020年4月に開催予定だったが中止になり、2年以上の時を経て実現したWWWワンマンだ。
ゴホウビはCody、スージー(Vo/Key)、405(Ba)、むんちゃ(Dr/Cho)の4人組バンドで、この日はサポートメンバーに山崎裕也(Gt)を迎えた編成でオンステージ。ジャズやソウルをベースにしつつ様々な曲調にトライ、ジャンルに囚われないポップスを志向するバンドだ。例えば「ゴキゲンなLOVER」はジャズもシティポップもロックンロールもミックスしたポップソングであり、転調も変拍子もあり構成は捻りが効いているが後味はどこまでもキャッチーな「NO RAIN, NO RAINBOW」でも彼らのセンスは存分に発揮されている。
また、男女混声のツインボーカルバンドであり、Codyがメインボーカルをとる曲もあれば、スージーがメインボーカルをとる曲、2人のハーモニーを聴かせる曲もあり、ギタリストが曲の雰囲気に合わせて音色を変えるのと同じくらい自然なテンションで、2声を効果的に使っているのが大きな特徴。関係性が変わる一歩手前の夜を過ごす男女にフォーカスし、恋愛の美しい部分と純粋なだけではいられないもどかしさを2声の掛け合いやハーモニーで表現する「友達だったよね」には、ツインボーカルスタイルの美味しいところが詰まっている。
温かい歌声の持ち主で、声を張った時には感情がグッと表出するCodyのボーカルと、ゴホウビの楽曲を懐かしくもファンタジックなものに昇華させるスージーの人懐っこいハイトーンのコンビネーション。“歌”がゴホウビの一つの武器であることは間違いないが、2人の歌と感情をともにする楽器隊の熱い演奏を直に堪能できるのがライブならではのポイントだろう。「XYZ」アウトロの白熱具合、「ターミナル」におけるCodyのロングトーンを引き継いで鳴らされるギターソロなど、熱量高い演奏に惹きつけられる場面も多かった。
この日1曲目に演奏された「ミッドナイトコンビニドラマ」が深夜のコンビニに買い物に来た2人のやりとりを描いた曲であるように、ゴホウビの鳴らす音楽は日常に根ざしたもの。カラフルなサウンドによるポップスは日常の中の何気ない幸せを彩ってくれるものであり、“何だか今日は上手くいかなかったな”という日に寄り添ってくれるものでもある。例えば「俺たちにとって大切な曲を歌います」と紹介された「ハート」がまさにそう。“自信がなくて何が悪い”というコピーとともに“男女混声豆腐メンタル四人組”を自称する彼らが、自分たちと同じく自信を持てずにいる“君”に“一緒に行こうよ”と伝える等身大のエールソングだ。
この日ゴホウビは、1stデジタルシングル「ミッドナイトコンビニドラマ」で始まり新曲「スポットライト」で本編を終える、バンドの歩みを感じさせるセットリストを展開。“ゴホウビエクササイズ”としておそろいの振り付けで踊った「ラムネ」、スカのリズムに拳が上がった「NATSU DE SKA」などライブならではの楽しい場面もありつつ、「そんな気がした」はむんちゃがコンガ、Codyがアコースティックギターを演奏する“近さ”を感じさせるアレンジで披露。また、Codyとスージーの二重奏から始まり、後にバンドインするアレンジで届けた「好きなんだろ」も心に残っている。「遠く離れてしまっても、会えなくなっても、一緒に過ごした時間はちゃんと残っていて、ずっと大切で。今でもふとあなたを思い出します」(Cody)という言葉が添えられたこの曲は、今は会えない人への想いを歌ったラブソング。同時に、12カ月連続で新曲を配信リリースするなど、ライブがなかなかできない日々でも音楽を届ける方法を模索してきたこのバンドと、リスナーがやっと再会できた“今”と重なる感じもあり、そんな曲を丁寧に届けるメンバーの姿が印象的だった。