FLYING KIDS、ファンキーな演奏で大盛り上がり 伏島和雄の還暦を華やかに祝したビルボードライブ

FLYING KIDS、ビルボードライブレポ

 ひとしきり盛り上がったところで浜崎が「今日はセクスィーなElliさんから、素敵な歌を届けてもらいたいと思います」と声をかけ、Elliが「今日はハロウィンかなと思って、こういう格好でステージに上がってみたんですけど、いかがでしょうか」とポーズをとると「カワイイ〜」と声が飛んだ。「FLYING KIDSでツアーを回れてたくさんの方々とお会いできてよかったです」と振り返り、「歌詞が心にしみる曲。皆さんの心に届いたらいいな」とソロナンバーを披露。「愛しさの中で」はピアノだけでしっとりと、「抱きしめたい」は軽やかなバンドの演奏をバックにソウルフルに歌い上げた。

 「それでは一緒に歌おうじゃないか」と浜崎が呼びかけた「風の吹き抜ける場所へ」ではオーディエンスも歌いながら腕を左右に振り、「Oh, 胸がドキドキする、恋かもしれない、病気かもしれない、青春は短く、そして永遠でもある。僕と君が今夜会えたのは絶対奇跡だよ。『FunKでしか言えない本当のことがある』、そんな言葉に騙されて皆ここにやってきた。本当のことなんてない。でもこうやって僕たちが会えたからには、言葉にできない何かで君と僕はつながっている、そう思うけど君はどうだい?」とオーティス・レディングか忌野清志郎みたいなMCから始まった「ファンキースター」ではミラーボールがムードを盛り上げ、ダンサブルな「ディスカバリー」はステージの上も店内もファンクサインを掲げてステップを踏んだ。

 一息入れた浜崎が穏やかに話し始めた。

「今日はありがとうございます。最近は暗いニュースも結構ありまして、祈るしかない。何もできない。そんなことがたくさんありますけど。それでも良くなってほしいという願いが心にあったりして。僕らのデビュー曲『幸せであるように』ーー今世界で起きている非常に難しい問題からすれば、本当に甘っちょろい歌でございますが、それでもこの世の中に(向けて)、今日のコンサートの最後にこの歌を、心を込めて歌って、少しでも世界が良くなるように祈りたいと思います」

 「幸せであるように」は浜崎が24歳になる年、1989年に書いた曲で、彼はバンドであれソロであれ、この曲を自らのアンセムとして歌い続けてきた。どんなつもりで書いたかは知らないが、これは生きる上で最もシンプルで大切なワードだろう。そして今こそ世界に向けて歌うべき歌だろう。そんな思いを共に抱いてバンドとオーディエンスは一つになってこの曲を歌った。

 アンコールでは、まずは金髪のカツラをつけた伏島が歌いながら物販を紹介する“フセマンクリニック”で和ませた後に、浜崎が「今日が最終日っぽい感じでおりましたけど、来年もこのツアーが続くことになりました」と、『FunKでしか言えない本当のことがある』の2024年1月27日名古屋TOKUZO公演、1月28日の京都磔磔公演を発表。さらに90年代のCDシングル全アイテムが配信解禁になったことを告知。その中のアルバム未収録の曲から「やってみたらカッコよくなって、これが俺らのスタイルなのかもと思えた原点の曲」と言って、思い切りファンキーにアレンジした「傘がない」へ。そしてこの曲がカップリングだった2ndシングル曲「我想うゆえに我あり」を、洗練されたアレンジのニューバージョンで聴かせてラストを飾った。FLYING KIDSはまだまだ進み続ける。そんな気概を感じさせるライブだった。

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