三浦大知×TOMOKO IDA、攻めの持ち味活かして初共作 「能動」の挑戦的な制作を振り返る

三浦大知×TOMOKO IDA「能動」対談

自分の弱さを愛して能動的に進んでいくMVのコンセプト

――今回のMVはどんなアイデアから始まったんですか?

三浦:ダンスは見せたいけど、リリックで自分の内側に向けた話もしてるし、普通にフォーメーションを組んでダンスを見せるのは違うかなと。で、最近一緒にMVを作っている監督のシミズヒロタカさんにダンスをどう見せようかと相談しているときに、ツアー(『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2023 OVER』)が控えているから、ツアーメンバーと作品を作れたらいいねという話になって、そこから進んでいったんです。

――映像のコンセプトは?

三浦:人間って嫌な部分を抱えてるじゃないですか。負の感情とか欲望とか弱さとか。でも、それごと自分を愛して、それごと能動的に進んでいく感じがいいなと。何かを乗り越えていくというよりは、そういうものと向き合って理解して、それごと引き連れて精神的にレベルアップしていくみたいな。そんな感じがいいから、ダンサーたちにいろんな感情を連想させる役になってもらって、そのダンサーと対峙していくというコンセプトで撮りました。

――振り付けはどんなイメージで作りましたか?

三浦:そんなに考えずに曲に導かれるまま形を作っていった感じでしたね。

――ダンスブレイク部分の細かく素早い動きはどこから?

三浦:あれはタタタタタタというリズムを全部取りたい、みたいな(笑)。最初に曲を聴いたときから「全部取ってやる!」と思ってたから。

TOMOKO:あはは。

三浦:なので、いろんなステップをやってみたり、手だけで取ってみたり、いろいろ試した結果、今の動きが「能動」に合っていたっていうことなんです。

三浦大知 (Daichi Miura) / 能動 -Music Video-

――最後のフェイク部分で見せる、メロディ曲線にあわせた動きはどんな発想から?

三浦:アカペラパートがあるからダンスもアカペラでやってみようということで無音ダンスを発想したのと同じで、あのフェイクに振りがついていた方が面白いよなって。あそこでダンサーがバッと止まって、俺だけが歌い上げてる絵が想像できなかったんです。しかも、完全にシンクロしたダンスだったら相当面白いだろうと思って。やっぱり誰も見たことがないものをやりたいから。そういうチャレンジがあった方が絶対良いだろうなって。

――MVでは1人で踊っていますが、最初からダンサーと踊ろうと考えていた。

三浦:そうです。あそこは絶対シンクロダンスだと決めてました。で、やってみたらすっごいやりづらくて(笑)。

TOMOKO:でしょうね(笑)。

三浦:毎回ドキドキしながらやってます(笑)。

――動きをビシバシ止める系のダンスだったらまだしも、柔らかで滑らかな動きですからね。

三浦:あのフレーズに対して動きますからね。ダンサーたちも難しいと思います。

――息を合わせたりリズムを合わせるのが。

三浦:一応、ブレスのタイミングとかは決めてるんですけど、フェイクだから毎回100%同じにならないんで。それをダンサーたちが感じ取って動いてくれてるんです。

――歌が一呼吸変わっただけでタイミングが変わりますからね。

三浦:そう。音符の長さによって動きのタイミングが変わるから。

――毎回、ダンサーたちはすごい緊張感を持ちながら構えているわけですね(笑)。

三浦:だと思います。今日は同じフレーズで来るかなって(笑)。

――TOMOKOさんは今回のMVをどう見ましたか?

TOMOKO:想像していたMVと全然違いました。ソロで踊ってるダンサーが出てきたから、大人数で踊るんじゃないんだって。しかも、いっぱい変なの出てきたぞって(笑)。

三浦:あはは。MVの話は事前にしてなかったもんね。

TOMOKO:でも、映像からすごく日本感が伝わってきて、それが良かったです。

――確かに和のテイストを感じるMVですよね。東洋的というより、祭事みたいな方の和。

三浦:動きが舞っぽいから。神楽的な、少し神事っぽい感じ。

――衣装にもそういうテイストを感じましたし。

TOMOKO:でも、それが嬉しかったんです。サウンドはTOMOKO IDAっぽいものを作ってと言われて、映像がめちゃくちゃ洋楽に寄ってる仕上がりだったら違和感を覚えただろうから。音と映像が合うってすごく大事だと思ってるんです。そういう部分でめっちゃカッコいい! こういうのほしかった! と思いました。

――来年1月24日にリリースされるニューアルバム『OVER』は、どんな内容になりそうですか?

三浦:TOMOKOをはじめ、今までやったことのない作家の方や、すごく久しぶりに一緒に作る方に参加してもらっています。“丸いまま尖る”だから自分のベースはありながらも、次のフェーズにタッチできるような面白いアルバムになるんじゃないかなと思います。アルバムは全曲新曲にしたくて、そのために今年シングルコレクション(『DAICHI MIURA DOCUMENTARY 2019-2023 + SINGLE COLLECTION 2018-2023 “COLOR___S”』)を出したんです。そうしたことで次の新しい世界がちゃんと見せられるんじゃないかなと思っています。

TOMOKO:そんなアルバムのリード曲にしていただいてね。何度も「これがリード曲で大丈夫?」って聞きましたから(笑)。

三浦:これしかないです(笑)。

TOMOKO:「能動」っていうワードは、ひとつのことを長くやってる方に刺さる言葉だと思うんですよね。能動的に行動すると、いろんなものがついてくるというか、いろいろと動き出す。

――でも、長くやっていると、なかなか能動的に行動できないですよね。どうしても受け身になるというか。

TOMOKO:そう。なかなか能動的になれない。特に私のような作家業はオーダーを受けて作ることに慣れちゃうと能動的にやらなくなっちゃう。でも、私は能動的に行動して、毎年EPかシングルをリリースしているし、それが今回の大知との共作に繋がったから。そういう意味で「能動」というワードで今回一緒に作れたことがめちゃめちゃ嬉しかったです。

――出会いから十数年を経て、今回初めて一緒に曲を作れたことについて、どんな思いですか?

三浦:「お互い、大人になりましたね」みたいな会話はあったよね(笑)。

TOMOKO:お互い成長したね、みたいな。けど、最初の出会いが飲んでるときですからね。

三浦:会うときはほとんど飲んでたもんね。

TOMOKO:飲んでるときのことってそんなに覚えてないじゃないですか。きっと中身のない話をしてただろうし(笑)。

――そこから十数年経て、作家とアーティストとして向き合ったわけで。

TOMOKO:そう考えると感慨深いですよね。

三浦:ようやく意味のあることができたっていう(笑)。その飲みが今に繋がってるわけだし、こうしてTOMOKOと一緒に面白いものが作れて俺も嬉しいですね。

「能動」JKT
「能動」

■三浦大知リリース情報
Digital Single「能動」
配信中:https://DAICHIMIURA.lnk.to/nodo

7th Album『OVER』
2024年1月24日(水)リリース
予約・購入はこちら:https://miuradaichi.lnk.to/OVER
【商品形態】
[AL+DVD]¥5,500(税込)
[AL+Blu-ray]¥5,500(税込)
[AL]¥3,410(税込)
【収録内容】
-CD- 
・能動
 他9曲、全10曲の新曲収録予定
-Blu-ray / DVD-
・能動 -Music Video-
その他、収録内容は後日発表

三浦大知 オフィシャルサイト

『TOKYOITE』

■TOMOKO IDA リリース情報
インストゥルメンタルシングル『TOKYOITE』
11月8日(水)リリース
<収録曲>
1. zento
2. TOKYOITE
3. somehow nostalgic

TOMOKO IDA Instagram

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