ソ・イングク「音楽は自分の人生そのもの」 日本デビュー10周年、歌手活動への特別な思い

ソ・イングク、音楽活動への特別な思い

 国境を越えた人気を誇るソ・イングクが日本デビュー10周年を迎えた。人気ドラマの出演で注目を集める機会が多いアーティストだが、プロとしてのキャリアは歌手のほうが長い。しかもソウルフルで骨太な歌声と既存のジャンルに収まらないスタイルは、個性派や実力派がひしめき合うK-POPシーンの中で独自のオーラを放っている。ひとりの音楽家としてどう生きてきたのか、これからやりたいことは何なのか、そして長い間支えてくれた日本のファンに対してどのような気持ちを抱いているのか——。10周年記念シングル『THE X』(ザ・テン)を出したばかりの彼に率直な思いを聞いた。(まつもとたくお)

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ソ・イングク、日本デビュー10周年 ファンへ感謝のメッセージ

当初は日本のリスナーが自分の音楽を気に入ってくれるのか不安だった

ソ・イングクインタビュー写真(撮影=林直幸)

――日本デビュー10周年、おめでとうございます。韓国での活動と並行して日本でも精力的に活動されてきました。この10年を振り返ってみてどんな思いがありますか。

ソ・イングク:ありがとうございます。僕が日本でデビューしたばかりの頃は、何も分からない状況だったので期待と怖さが半々といった感じでしたね。当初は日本のリスナーが自分の音楽を気に入ってくれるのか相当不安だったのですが、実際にやってみると、みなさんが喜んでくださって本当に幸せでした。今では忙しい時期に来日しても、日本のファンのみなさんの顔を見ると疲れが吹き飛ぶんです。

——このインタビュー以外にもたくさんの取材が入っているそうですが、確かにあまり疲れていませんね。

ソ・イングク:はい。それに取材が終わってから美味しいものをたくさん食べますから大丈夫です(笑)。

——2009年に韓国でプロの歌手としてデビューしました。あれからだいぶ経ちましたが、当時と比較して音楽的に変わったところはありますか?

ソ・イングク:ものすごく変わりました。初期の頃は自分が本当にやりたい音楽が何なのか分かっていなかったし、周りとのコミュニケーションもうまくできていませんでした。それゆえにプロデューサー主導で制作せざるを得なかったんです。現在は自分が直接プロデュースして、自分がやりたいものができていることもあり、音楽の面ではとても自由になったという実感がありますね。だからそういった点で面白くなってきたと思っています。

ソ・イングクインタビュー写真(撮影=林直幸)

——初めての自作曲は2012年の「運命(バカみたいに)」。人気ドラマ『ラブレイン』の挿入歌ですが、ストーリーにぴったりのサウンドでしたね。

ソ・イングク:少女時代のユナさんがこのドラマで演じた役を観ながら、こういうムードの曲が似合いそうだなと思って作ってみたところ、『ラブレイン』の監督が気に入ってくださって採用されたんです。

——この曲はバラードでしたが、昔からこういったタイプの音を好んで聴いていたのでしょうか?

ソ・イングク:いいえ。むしろR&Bをたくさん聴いていますね。ブライアン・マックナイトやBoyz II Men、スティーヴィー・ワンダーとか。そのあたりです。

——イングクさんのフェイク(元のメロディに変化を加えて歌うテクニック)も、今おっしゃった人たちと共通するものを感じます。

ソ・イングク:ありがとうございます!

——ソ・イングクさんの名前が日本で広まったのは、K-POPの人気ガールズグループ・Apinkのメンバー、チョン・ウンジさんと歌った「All For You」(大ヒットドラマ『応答せよ1997』のテーマソング)がきっかけだったと思います。ご本人にとってもやはり思い出深い1曲なのでしょうか。

ソ・イングク:そうですね。自分のコンサートでこの曲を歌うと、ファンも一緒に歌ってくれるんです。だからいつも言うんです。「みなさんがチョン・ウンジさんですよ」って(笑)。

——2013年4月にはシングル「Fly Away」で日本デビューを果たしました。この曲での日本語は相当クリアだと思いましたが、事前にかなり勉強したのでしょうか。

ソ・イングク:レコーディングした時の担当ディレクターのおかげです。発音の指導を受けて気をつけながら歌いました。かなり苦労した記憶がありますね。

ソ・イングクインタビュー写真(撮影=林直幸)

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