星野源、Official髭男dism、BE:FIRST、WANIMA、いきものがかり、PSYCHIC FEVER……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は星野源「Orange(feat.MC.waka)」、Official髭男dism「日常」、BE:FIRST「Mainstream」、WANIMA「夏暁」、いきものがかり「うれしくて」、PSYCHIC FEVER「FIRE feat. SPRITE」の6作品をピックアップした。(編集部)
星野源「Orange(feat.MC. waka)」
星野源、若林正恭(オードリー)のトークバラエティ『LIGHTHOUSE』(Netflix)。この番組のために書き下ろされた5つのエンディング曲の一つである「Orange(feat.MC. waka)」のはじまりは、2人が下積み時代について話したエピソード1「暗黒時代」収録後に若林が綴ったリリックだ。星野がトラックメイクと作曲、一部作詞を担当したこの曲には、彼らが不遇な時期を過ごした高円寺と阿佐ヶ谷への思い、そして、エンタメの世界で成功を収めた現在も心の片隅に残るモヤモヤとした感情が描かれている。特筆すべきはやはり若林のラップ。やりきれない思いを滲ませながらも、決して自己憐憫に陥らず、言葉の響きとリズムに配慮した詩として成立させるセンスは言うまでもなく、ヒップホップへの深い造詣に裏打ちされている。(森)
Official髭男dism「日常」
Official髭男dismの新曲「日常」は、タイトル通り、聴き手の日常とつながっている楽曲だ。歌のテーマは、日々の生活のなかに存在する憂鬱や葛藤。常に評価に晒され、やりがいは手からすり抜け、かといって環境を変えるだけの決め手もない。低い位置で安定してしまった毎日のなかで、気がつけば「明日なんてなきゃ良いのに」とつぶやいているーー。「日常」のなかで歌われていることは、多くの人が「わかる」と共感するだろう。しかしこの曲は、暗くもなければ重たくもない。抑制の効いた心地よいグルーヴ、穏やかなラインを描き出すメロディ、洗練されたフレーズが交差するアレンジがバランスよく共存し、安心感のあるポップソングとして機能しているのだ。決して派手さはないが、だからこそ長く愛される楽曲になるだろう。(森)
BE:FIRST「Mainstream」
SKY-HIとRyosuke“Dr.R”Sakaiプロデュースによる最新型ヒップホップナンバー。無機質な電子音以外は骨組みのリズムのみ、いや骨組みさえ曖昧な無音空間も多い、最低限まで音数の絞られたトラックだ。これに乗ってアグレッシブに踊り、一糸乱れず動きを合わせるのは至難の業だろう。1stアルバム『BE:1』の収録曲「Scream」では〈得体が知れないだろ?〉〈まるでエイリアンさ〉と自分たちの革新性をアピールしていた7人だが、今回は英語を多用した歌詞で堂々の「Mainstream」宣言。首都高速を舞台に東京をジャックしてみせるMVも圧巻だ。ちなみにコレオグラフは振付師のReiNaとともにメンバー・SOTAも担当。人気ボーイズグループのイメージが次々と更新されていく時代の最先端にある一曲。(石井)