ONE OK ROCK、Mr.Children、宇多田ヒカル……映画『キングダム』主題歌に共通する“生きろ”というメッセージ

 楽曲に対するアプローチは違えど、それぞれが『キングダム』シリーズのテーマに寄り添ったトラック。だがリリックに着目すると、ある共通点が浮かび上がってくる。それは、今の自分に対する“葛藤”だ。

 〈Be afraid that you didn't try〉(挑戦しないことを恐れるんだ)(「Wasted Nights」)はチャレンジすることに勇気を持てない自分への暗示なのだろうし、〈自分は小さな点の一つでしかない その当たり前を突きつけてくるんだ〉(「生きろ」)は、ちっぽけな存在であることを認めたくない気持ちが如実に表れている。〈幸せは側で待ってるだけ〉(「Gold ~また逢う日まで~」)に至っては、もはや諦観にも似た想いが刻印されている。

 〈それなら 追いかけろ 問いかけろ〉(「生きろ」)や、〈追いかけても追いつけぬ〉(「Gold ~また逢う日まで~」)など、“追いかける”というキーワードも象徴的だ。手が届きそうで手が届かない場所へ、彼らは向かおうとしている。もどかしさ、やりきれなさがあるが、その先に一筋の光があることも歌詞は指し示している。

 〈'Cause by this time tomorrow We'll be talking about tonight〉(だって明日のこの時間まで、僕たちは今夜のことを話し続けるから)(「Wasted Nights」)、〈思いきり笑える その日が来るまで〉(「生きろ」)、〈また逢う日まで また逢う日まで また逢う日まで〉(「Gold ~また逢う日まで~」)。ONE OK ROCK、Mr.Children、宇多田ヒカルが紡ぐ音楽は、決して単なる人生の応援ソングではない。それは、いつか来るであろう“その日”に向かって一歩ずつ歩みを進めていく、“弱い自分を認めるための旅路”だ。

 新型コロナウイルスの流行、ロシアのウクライナ侵攻など、私たちの住むこの世界は次々と新たな社会問題が起こり、目まぐるしく変化している。それでも毎日をサバイブしていくために、これらの楽曲は私達にストレートに“生きろ”と鼓舞する。

〈Let's live like we're immortal Live just for tonight〉(死を忘れたみたいに生きよう 今夜のために生きよう)
(「Wasted Nights」)

〈その日が来るまで 生きろ 生きろ〉
(「生きろ」)

 生きることを肯定し、その意義をしっかりと伝えること。明日があることを、しっかりと伝えること。だからこそ『キングダム』の主題歌は、力強く僕らのハートを震わせるのだろう。私達を力強く、前向きな気持ちにさせてくれるこれらの曲をぜひとも聴いてほしい。

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