B'zは味の素&日産スタジアムで計4公演開催 ONE OK ROCK、King Gnu…ドーム/スタジアム級公演を実現するバンドの共通点

 そして最後に、最も重要な共通点を挙げたい。それは、会場最後部にまで伝わるアーティストのメッセージの熱量である。歌や演奏の上手さは重要なファクターであり、もちろんこのようなパフォーマンスの足腰の強さが大前提ではある。しかしながら、スタジアム規模の会場となると、それだけでは乗り切れない部分が出てくる。音響も昔から比べると改善されたとはいえ、ドームやスタジアム会場ではライブハウスやホール会場のような音響体験を生み出すことは難しいし、会場の最後部席ともなればアーティストのパフォーマンスを肉眼で見ることも難しい。そんな音楽を「聴く」には適さない環境でもなお、人々が会場に足を運ぶのは、言葉を超えた「なにか」を伝えようとするアーティストの姿を目の当たりにするため、そしてその「なにか」を受け取るためなのではないだろうか。

 その「なにか」はアーティストによってそれぞれだ。例えばポリティカルなメッセージもそのひとつである。ONE OK ROCKのこの春のドームツアーでは、Taka(Vo)から今の時代を生きるアーティストとしてのあり方についての言葉がしきりに語られていたことが思い出される。また、B'zであれば伝えたい「なにか」は感謝であることが多い。周年ライブに限らずとも、B’zのライブにおけるMCで大きな割合を締めているのはオーディエンスやリスナーへの感謝の気持ちである。

 以上の通り、「幅広い年齢層へのリーチ力」「誰もが盛り上がるライブ演出」「会場最後部にまで伝わる熱量」の3点にフォーカスし、今年スタジアム級の会場をわかせた(わかせるであろう)アーティストの共通点を分析してみた。パフォーマンスにおいて、ライブハウスやホール、アリーナとも違った筋肉を使うスタジアム規模のライブ。好きなアーティストのライブを、至近距離でより良い音響環境で観るという楽しみ方もあるが、スタジアム級の大型公演でしか味わえないダイナミズムや祝祭感もあるはずだ。

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