ONE OK ROCKとback numberが初ドームツアー完遂 過去にはGLAY、ミスチル、B’zも……バンドにとっての一つの到達点に
コロナ禍を乗り越えたライブシーンが活発化しつつある。特に今年はロックバンドのドームツアーが盛況だ。単発のドーム公演ならまだしもドームツアーを成功させるバンドは歴代数えても少なく、一つの到達点である。そこに辿り着くために必要なものは何なのだろうか。
今年1月からはONE OK ROCKのドームツアー『ONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR』が開催された。バンテリンドーム ナゴヤ、福岡PayPayドーム、京セラドーム大阪、東京ドーム、札幌ドームという5大ドームに埼玉ベルーナドームを加えた6大ドームツアーだ。当初は札幌除く5カ所で予定されていたが、5月13日に札幌ドームにて追加公演を開催した。このツアーは2022年にリリースされた10thアルバム『Luxury Disease』のリリースに伴うものであり、北米ツアーを経ての開催となった。並行して、MUSEの北米ツアーにも参加するなど、世界規模の活躍が当たり前になった彼らにして、初めてのドームツアーである。
前作『Eye of the Storm』は海外水準のポップミュージックに振り切った作風だったが、最新作『Luxury Disease』でスケール感溢れるロックサウンドへと回帰。代表曲「The Beginning」をはじめバンドと強く結びついた映画『るろうに剣心』シリーズの主題歌「Renegades」「Broken Heart of Gold」など、ドームで鳴ることを求めているかのようなスケール感を持つ楽曲ばかり。1stアルバム『ゼイタクビョウ』と同じ意味を冠したタイトルなども含め、彼らが今ドームという会場を選ぶのは必然だったと言える。
またback numberも3月から4月にかけて初の5大ドームツアー『in your humor tour 2023』を開催した。1月にリリースした7thアルバム『ユーモア』を携えてのツアーである。若い世代を中心に着実に支持を集めながら、昨年末には『第73回NHK紅白歌合戦』特別企画への初出場も果たし、名実ともに全国/全世代規模となった直後での、待望のドームツアーとなった。
情けなさや弱々しさもさらけ出しながら、多くのリスナーを獲得してきたback numberだが、この数年で生んだ新たな代表曲はさらにファン層を広げたように思う。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の主題歌となった「アイラブユー」のようなストレートな愛の歌や、コロナ禍で中止になったインターハイの出場選手を想い作った「水平線」など、広く深く愛される曲たちがドームで多くの人々に共有されるのを待っていたはずだ。
ONE OK ROCKもback numberも、アニバーサリーツアーなどの位置づけではなく、ともにオリジナルアルバムツアーであるという点が興味深い。1つの作品がドームツアーに結実していることから、ドームツアーを行うには一過性の人気だけではなく、着実なステップが重要だと言える。