『響界メトロ』、7つの楽曲が出揃い明らかとなったストーリーの全容 クライマックスに向けて揺れるキャラクターたちの運命
カナタが自身と引き換えに世界を元に戻したことで、カイは平穏な日々を過ごしていた。しかしカナタの存在を思い出してからは、カナタを忘れた世界に疑問を抱くようになり、メトロの都市伝説――響界線の伝説を目指して、最果ての駅へ向かう。ここで「響界」という言葉がストーリーの中で初めて登場し、いわゆる“タイトル回収”を迎えたわけだ。
最果ての駅で、Qと対峙したカイ。しかしカイがカナタを救えば、今度はそのカナタがカイを救おうとして無限ループに陥ってしまうだろう。そこでカイが出した答えは、これまでのキャラクターのように平行世界へ行くのではなく、過去へ飛び、未来に起こる大災害を防ぐこと。これこそがQlover計画であり、過去に飛んだカイは、「トキオ」と名乗ることとなった。
トキオといえば、リンネの育ての親として初期から登場していた男だ。そう思い至るや否や、ストーリーを頭からもう一周しに行ったファンは多いはず。かくして各ストーリーの時系列や全てのキャラクターの関係が明らかとなり、まるで路線図のように音楽原作プロジェクト『響界メトロ』の全容が見えてきた。作中ユニット Qloverは最後のピースである4人目のメンバー・カナタを迎えた「Tik[Q]et -解-」を発表。本プロジェクトのサウンドプロデューサー・廣澤優也(HANO)氏いわく「全歌い分けを変更して再構築」された「究極完全体のTik[Q]et」となったとのこと(※2)。
ピースが揃った上で、8月9日にはいよいよ7曲目「轍」がリリースされた。作詞曲は物語楽曲群『カゲロウプロジェクト』を手掛けたじんが担当しており、歌うのはもちろんリンネ、セツナ、イツカ、カナタの4人だ。これまで『響界メトロ』の楽曲は、様々な曲調がありながらも、共通してどこか不穏さを感じさせるものがあった。その点、今回は既発表曲とは一線を画しており、底抜けに爽快なバンドサウンドに、リリースカットピアノがかすかな切なさを演出。逆再生のような効果音から始まり、歌詞割りは4人が順番に歌い上げていく形だ。その応酬に、彼女らがそれぞれどんな経験をし、どんな思いで響界線を越えてきたのかが思い起こされる。
物語の大部分が明らかとなったが、個人的にはトキオ、いやカイが、世界とカナタのために自身の人生を賭けたQlover計画の成否が気になるところだ。「Tik[Q]et」のストーリーを見る限り、3人では失敗だった。では、4人が歌った「Tik[Q]et」は何かを起こせたのか? カナタに「少年A」と揶揄されたカイは、Qに対するA=解となれたのか? 「轍」リリース後の動きも追いながら、その結末を見届けたいと思う。
響界メトロの楽曲はすべてが主題歌級のパワーを持っており、楽曲単体でもハマってしまう中毒性をそなえている。しかしストーリーを追った上で楽曲を聴くことで、その視聴体験はより濃いものになるはずだ。楽曲から興味を持った人も、ぜひYouTubeショートのショートボイスストーリーもチェックしてほしい。
※1:https://realsound.jp/2023/07/post-1372190.html
※2:https://twitter.com/planetscape0516/status/1684172641375256576?s=20
■リリース情報1
Qlover from 響界メトロ
「F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈)、カナタ(CV:わかばやし)」
2023年7月12日(水)デジタルリリース
Streaming & Download
https://lnk.to/DisSonance_
■リリース情報2
Qlover from 響界メトロ
「轍 feat. リンネ(CV:内田真礼)、セツナ(CV:konoco)、イツカ(CV:秋奈)、カナタ(CV:わかばやし)」
2023年8月9日(水)デジタルリリース
Streaming & Download
https://lnk.to/Wadachi