エルトン・ジョン、60年以上にわたって成し遂げ続けてきた偉業の数々 イギリス最終公演となったグラストンベリーも振り返る

エルトン・ジョンがツアー引退、偉業の数々

 そして、2018年から開始された引退ツアーのなかで、今年の6月に開催された『グラストンベリー・フェスティバル』のヘッドライナーを務めたことも大きなハイライトだろう。イギリス最終公演となったグラストンベリー公演だが、76歳のエルトン・ジョンにとって初出演となった。彼はMCで「グラストンベリーで演奏するとは思わなかったけど、今ここにいる。もしかしたらイギリスで最後のライブになるかもしれないし、とても特別で感情的なライブだ。ずっと座って待ってくれていたみんなを楽しませるためにも良い演奏をしたい」と語った(※4)。

エルトン・ジョン(『Glastonbury Festival』25 Jun 2023)

 常に新世代のアーティストにも注目し、影響を与えてきたエルトン・ジョンだが、『グラストンベリー・フェスティバル』のステージでもリナ・サワヤマや、テネシー州出身で弱冠20歳のシンガーソングライター スティーブン・サンチェスらが参加。普段から自身のラジオ番組などで若手アーティストを紹介している彼は、このような大舞台でも次世代へのメンタリングを気にかけていることがわかる。

 セットリスト終盤では「Crocodile Rock」「Saturday Night's Alright for Fighting」「I'm Still Standing」といったロックナンバーを連続で披露し、会場の盛り上がりは最高潮に。エルトン・ジョンが出演した6月25日は故ジョージ・マイケルの誕生日であり、ラストから2曲目にはジョージ・マイケルとのコラボ曲「Don't Let the Sun Go Down on Me」を披露し、彼に想いを捧げた。ラストを飾った「Rocket Man」のクライマックスでは大量の花火が上がり、母国イギリスでの最終公演に幕を下ろした。

Elton John - Rocket Man (Glastonbury 2023)

 ツアー活動には区切りをつけたエルトン・ジョンだが、今後も楽曲制作は続けると語っており、「一回限りの公演は開催するかもしれない」(※5)という発言からも、新たな活動への期待が募る。音楽に対する熱い思いによって生み出され、数々のステージを彩ってきた名曲たちは、今後も世代を超えて愛され続けるだろう。

エルトン・ジョン(『Glastonbury Festival』25 Jun 2023)

(※1)https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/127431/2
(※2、筆者訳)https://globalnews.ca/news/9821144/elton-john-last-show-stockholm-concert-video/
(※3、筆者訳)https://www.instagram.com/reel/CuhdZgygAJr/?utm_source=ig_embed&ig_rid=7a5dbf77-8257-4848-a7c4-cdd360f5d5f8
(※4、筆者訳)https://www.theguardian.com/music/2023/jun/26/elton-john-at-glastonbury-review-headline-pyramid-stage
(※5、筆者訳)https://thenewdaily.com.au/entertainment/music/2023/07/10/elton-john-retire-farewell-tour/

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