エルトン・ジョン、60年以上にわたって成し遂げ続けてきた偉業の数々 イギリス最終公演となったグラストンベリーも振り返る

エルトン・ジョンがツアー引退、偉業の数々

 7月8日にスウェーデン・ストックホルムのテレ2・アリーナ公演にて、正式にツアー活動を引退したエルトン・ジョン。2018年1月に引退ツアー『Farewell Yellow Brick Road Tour』を発表し、同年9月から今年の7月8日のストックホルム最終公演に至るまで全330公演を完走した。約600万人のファンが押し寄せ、約9億ドル(約1,300億円)の興行収入を達成した同ツアーは、ツアー収益を記録する「Billboard Boxscore」によると、エド・シーランの『The Divide Tour』(7億7,640万ドル)を抜き、歴代最高の興行収入だという(※1)。

 数々のヒット曲を披露しただけではなく、同じくスウェーデンでライブを行っていたColdplayのフロントマンであるクリス・マーティンも生中継で登場。彼はColdplayのファンが歓声を送る中、エルトン・ジョンに向けて「ここにいる全員から、そしてあなたが愛し、影響を与え、手助けをしてきた全アーティストから、みんなあなたを愛していると伝えたい。あなたが私たちのためにしてくれた全てのことに感謝しています」(※2)と述べた。それを受けたエルトン・ジョンは、アンコール後のラストソング「Goodbye Yellow Brick Road」の演奏前MCで、「みんなのことを一生忘れない」とファンへの感謝を述べた。

 また、公演後にInstagramにて投稿された動画では、「全ての道のりにファンがいてくれた。常についてきてくれたし、サポートしてくれた。今夜は魔法のようだったし、まだ実感が湧いていない。しばらくツアー活動を終了した実感は湧かないだろう。ファンに会えないことがどれだけ寂しいかを伝えきれない」と引退をする寂しさを明かした(※3)。

Elton John - Goodbye Yellow Brick Road (Live From Dodger Stadium, USA / 2022)

 これまで33枚のオリジナルアルバムをリリースしてきたエルトン・ジョンのレガシーは、1962年にバンド Bluesologyを組んだときに始まった。彼は1967年からソロ活動を開始する際に、バンドメンバーのエルトン・ディーンとロング・ジョン・ボルドリーから名前を取り、エルトン・ジョンというステージネームを作り出しており、同年にはその後長年のパートナーシップを組むことになる作詞家 バーニー・トーピンとも出会っている。

Elton John - I Guess That's Why They Call It The Blues

 通算で3億枚以上のセールスを記録したエルトン・ジョンは、特に1970年代において最も成功したアーティストの一人と言えるだろう。1972年から7枚連続で全米アルバムチャート1位を獲得し、最も売れたアルバムとなった『Goodbye Yellow Brick Road』(1973年)は全世界で約3000万枚のセールスを達成。1976年の『Blue Moves』リリース後、一旦ツアー活動などを休止し、トーピンとの関係も一時的に解消したものの、1980年の『21 at 33』で復活し、「I Guess That's Why They Call It The Blues」「I'm Still Standing」などのヒット曲を世に送り出す。1986年にはディオンヌ・ワーウィックやスティービー・ワンダーらとのコラボ曲「That's What Friends Are For」で初のグラミー賞を受賞。1992年にはトーピンと共にソングライターの殿堂入りを、1994年にはロックンロールの殿堂入りを果たしている。

Dionne Warwick - That's What Friends Are For

 1997年にはダイアナ妃を追悼した「Candle In The Wind」の再録バージョンが22カ国で1位を獲得し、葬儀でも演奏した。また、1998年にエリザベス女王によってナイトの称号を授与され、2021年には「コンパニオン・オブ・オナー勲章」をチャールズ3世によって授与される。同勲章は、君主以外の定員が65人に限定された非常に特別なものであり、いかにエルトン・ジョンがイギリスにて名誉ある人物、そしてアイコンとして讃えられているかがわかる。また、2022年には音楽のキャリアとHIV/エイズに関する長年の活動が認められて、ジョー・バイデン大統領から米国人文科学勲章を贈られている。

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