4s4kiに与えられた音楽という“ギアス”とファンに継承される願い 『CODE GE4SS』再現など濃密な3部構成ライブをレポート

4s4kiワンマンライブレポ

 壮絶なパフォーマンスを経た4s4kiは、「明日は明日、今日は今日を楽しもう」と告げ、激しいビートとともに病みも不安も焦りもお菓子とともに溶解していく「m e l t」を皮切りに、この場をファンとともに楽しむため、再びパーティの始まりを告げた。Masayoshi Iimori製の極太のベースミュージックが会場を激しく突き動かす「pure boi」「35.5」から、あまりの歌詞のカオスっぷりに途中で自ら吹き出してしまった「OBON」と、クライマックスに向けてそのポップな混沌は手がつけられないほどに加速していき、遂に迎えた本編ラスト、このイベントを実現させてくれた人々への感謝を告げた4s4kiが選んだ最後の曲は、「STAR PLAYER」だった。

 笑顔で目の前のファンの一人ひとりと戯れながら〈違う星でまた遊ぼう〉と歌うその姿は、4s4kiだからこそ実現できるユニークでポジティブなエネルギーに満ち溢れおり、3部構成という濃密なイベントを通して様々な感情を分かち合った会場には、この日、最も祝祭的なムードが広がっていた。地球という場所は、私たちが過ごすにはあまりにも息苦しすぎる。でも、ここでなら、エイリアンとして自由に生きることができるのだ。

 終演後、熱烈的なアンコールの声に答えるとともに、「やっぱり宇宙行けなかったわ」と冗談を飛ばして戻ってきた4s4kiは、人気曲「風俗嬢のiPhone拾った」を披露。Gokou Kuytのヴァースを見事に大合唱する観客の姿は、このイベントを用意してくれた4s4kiへの感謝を示しているかのようでもあった。

 改めて自らを支えてくれた様々な人々に対して惜しみない感謝の声を送った4s4kiは、「超破滅的思考」を歌い、最後の瞬間まで、なんとか生きようとする姿を示し、ファンと戯れながら、その場を去っていったのであった。

4s4ki

 『CODE GE4SS』のために描き下ろされたイラストが象徴する通り、今回の一連のプロジェクトにおいて、「音楽」こそが4s4kiの持つギアスとしての能力であり、それは(前述の)C.C.から受け継がれたものとして描かれている。

 『コードギアス 反逆のルルーシュ』には、次のような言葉がある。

 「願いとは、ギアスに似ていないか?」

 音楽こそが4s4kiに与えられたギアスとしての能力なのであれば、その歌は自分自身を支えてくれる人々への願いでもあるだろう。3部構成という大ボリュームのイベントとなった『NEW ALTERNATIVE FESTIVAL“AREA 44 vol.2 ; CODE GE4SS”』は、『コードギアス』という作品から4s4kiという人間へと、そして4s4kiというアーティストからファンへと受け継がれていく想い、あるいは願いの“継承”を示していたのではないだろうか。

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