4s4ki×谷口廣次朗『コードギアス』対談 斬新なインスパイアド・アルバム、創造性を刺激する物語の魅力を語り合う

4s4ki×谷口廣次朗『コードギアス』対談

 4s4kiがInspired Album『CODE GE4SS』を6月28日にリリースした。DTMによるトラックメイクをコアとするジャンルレスなポップサウンドで国内外のファンを獲得し続けている4s4ki。その4s4kiがかねてから「自身のルーツ」と公言していたのがアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』だった。

 『CODE GE4SS』は4s4kiが2年の歳月をかけて自身の“コードギアス愛”を音楽に落とし込んだ『コードギアス』公認の“インスパイアド・アルバム”だ。なぜ、4s4kiにとって『コードギアス』は“原点”なのか? 今回、リアルサウンドでは4s4kiと、『コードギアス』シリーズプロデューサーの谷口廣次朗(サンライズ)の対談をセッティング。オリジナルのCV(キャラクターボイス)キャストも参加した画期的なインスパイアド・アルバムのメイキングから『コードギアス』の魅力までを大いに語り合ってもらった。(内田正樹)

4s4ki - CODE GE4SS(Official Teaser)

「原点を意識して作ったら、自然と『コードギアス』の曲になった」(4s4ki)

――そもそも4s4kiさんは、アルバムのリリースがプランニングされる以前から今作の楽曲を作っていたということですが。

4s4ki:私は『コードギアス』が本当に大好きで、小学生の頃から年に一度は全話通しで一気見する時間を設けていて。初めてのツアーが終わった後に観たとき、改めていろいろな意味で原点に戻れた気がしたんです。それで2021年の4月、リリースとか関係なく自分の原点を意識しながら1曲作ってみたら、自然と自分の中で『コードギアス』の曲になっちゃって(笑)。それがアルバム1曲目の「CODE GE4SS」でした。それをレーベルのスタッフに送っているうちに、「『コードギアス』のスタッフの皆さんにも聴いていただきたい!」という勝手なエゴがむくむくと生まれてしまい(笑)。

――言うなれば制作サイドへの“持ち込み企画”だったんですね(笑)。

4s4ki
4s4ki

4s4ki:本当にそう! 初めて他人にデモ音源を送るような気持ちでしたね。

谷口廣次朗(以下、谷口):まずはそうしたアクションを起こしていただけたことが何より嬉しかったですね。『コードギアス』シリーズは17年目を迎えた作品ですが、17年前はまだSNSもなく、今日のように制作側がファンのビビッドなリアクションを知ることのできる時代ではありませんでした。いわゆる“巨大電子掲示板サイト”などの反応は見られましたが、ほかの機会はイベントくらいで。さらにそれ以前だと、アニメ雑誌に寄せられるお葉書しかなかった。そういう時代も経験しているので、誕生から17年の時を経て、4s4kiさんのような世代のアーティストが直に「インスパイアされた」と言ってくださったのは非常に有り難いことでした。しかし今回のような“インスパイアド・アルバム”ってあまり聞かない気がするんですが、音楽の世界ではよくあることなんですか?

4s4ki:いえ、あまりないと思います(笑)。

――「CODE GE4SS」を送って以降は、どのようなプロセスで曲を作られたのですか?

4s4ki:一方的なラブコールのように、曲を作っては、一方的に送りつけているような感じでしたね(笑)。途中、昔のデモを漁っていると、「この曲、リアレンジしたらこのキャラクターにぴったり」ということもあったし。それは本当に『コードギアス』が自分のルーツだったからこそ、自然とデモに反映されていたんだと思います。制作的にはおよそ2年でしたが、もっと長い年月をかけたような思い入れを勝手に感じていますね。

――4s4kiさんと谷口さんの間で「こういう曲調を」とか「このシーンにインスパイアされた曲を作ろう」といったミーティングも全くなかったんですか?

谷口:そうですね。今回は“インスパイアド・アルバム”というコンセプトでしたので、こちらからもあえて「何も言わない」というスタンスが最良だろうと判断しました。外部とのコラボレーションの場合は「いや、ルルーシュ(・ランペルージ)はキャラクター的にこのような台詞を言いません。本編との設定に齟齬があります」などといった意見をお伝えする場合が多いですし、サンライズとしての立場上、ガチガチに監修させてもらっています。でも今回は4s4kiさんというアーティストの世界を尊重して、4s4kiさんが感じるままの思いが落とし込まれる方が良いだろうと思いました。

4s4ki:嬉しい。ありがとうございました。

谷口廣次朗
谷口廣次朗

谷口:谷口悟朗監督も、大河内一楼さん(原案、シリーズ構成、脚本)も『コードギアス』の世界が広がるのであればと、懐広く私に判断を委ねてくれております。アニメでも映画でも、例えば楽しい作品を観て、友達同士で共有するとき、「面白かったよね」「あのシーン、感動したね」と最初に喋り出す人がいますよね。私としては、今回の4s4kiさんはそういったことをしてくれる方という捉え方でしたね。

4s4ki:「rolo」と「GREEN GIRL」をKOTONOHOUSEさんにしてもらった理由が、まさに今の谷口さんのお話の感じでした。せっかくアニメのインスパイアド・アルバムを作るなら、アニメに理解がある方と一緒に制作をしたかったんです。KOTONOHOUSEさんもアニメ好きだし、劇伴っぽい音楽も作れる方なので、「好きなアニメを一緒に語り合おうぜ」みたいな気持ちでした。

「『コードギアス』が好きと言ってくださる方は意外と少ない(笑)」(谷口)

――各曲のタイトル通り、収録された11曲は本編における象徴的な設定、キャラクターの心理、事件、シーンなどからの着想を得て生まれていますが、何をどう曲に抽出するか、4s4kiさんとしては迷いなく選べたのですか?

4s4ki:めっちゃ試行錯誤しました。スタッフさんにすら聴かせなかった楽曲も結構ありました。自分なりにいろんな曲を作って、あとから厳選したという感じでしたね。収録しなかった曲で言うと、例えば(紅月)カレンさんの曲は……もう尊敬しすぎて自然と“さん”づけで呼んでいますけど(笑)、もう1曲存在するんです。後に海洋学者になったカレンさんを思って、海で録った波の音をサンプリングした歌なしの曲があって。その後の彼の状況を自分なりに勝手に妄想しながら作ったんですが、あまりに『コードギアス』ファンとしてのエゴが強すぎたのでアルバムからは外しましたけど、とても気に入っているので、いつか何かの機会にお披露目したいですね。

4s4ki

谷口:4s4kiさんが選ばれた11曲はルルーシュが軸になっていますね。

4s4ki:結果的にそうなりました。曲順も、ぶっちゃけてお話ししちゃうと、普段はスタッフさんにお任せしちゃうこともあるんです。今の4s4kiはチームワークという意識で、私は「とりあえず曲を書きまくるから他の細かいことはお願いします! チームなんで!」という場面も結構あって。でも今回は、どうしても自分だけで決めたいという気持ちも強かった。「曲順、これでどうですかね?」みたいなLINEのメッセージを送っては消したぐらい悩んでこだわりました。いつも4s4kiの音楽を聴いてくれているリスナーもすごく大切だけど、今回はとにかくファンとしてのエゴが出まくりました。シンプルに「『コードギアス』を布教したい!」がモチベーションだったので。『コードギアス』のファンである4s4kiが書いた曲を、4s4kiのリスナーが聴いてくれる連鎖がもうそれだけで面白いし尊いなぁって。

4s4ki - CODE GE4SS (Official Music Video)

――実際、Twitterを検索すると、今作のリリースに反応して「楽しみ」「初めて『コードギアス』を観てる」といったツイートを目にしました。

4s4ki:私も見ました。めちゃめちゃ嬉しかったです。

谷口:私も嬉しいです。そもそも『コードギアス』って、お陰様でものすごく多くのファンの方に支えられている作品ですが、こうして面と向かって直に「好きです」と言ってくださる方にお会いする機会が意外と少ない(笑)。人の生き死にも描いているし、主人公もどちらかと言えば露悪的というか、悪役側に近いメンタルも持っているので。弊社の作品の『機動戦士ガンダム』や『ラブライブ!』といったシリーズと比べても、表立って「好きです」と言いづらいアニメなのかもしれませんね。

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